HondaGO BIKE LAB

安全なバイクライフの送るうえでドライバーの視点を理解することは重要!

バイクで公道を走っていると『どうしてドライバーはこっちを見てくれないんだ』と感じたことがないでしょうか? しかし、実際には『見えていない』のではなく『見えていても認識できていない』ケースが多いのです。

バイクを乗るうえで自分の身を守るには、『相手に見せる努力』に加え『相手の行動を読む努力』が欠かせません。今回は、四輪ドライバーの視点を理解することで、事故を未然に防ぐためのポイントを紹介していきましょう。

サイド&ルームミラーの『死角』を避ける走り方

 

ドライバーが車線変更を行なうとき、もっとも危険なのがサイド&ルームミラーにある死角です。多くのクルマではサイドミラーの映り込み範囲は自車後方の30〜40度までで、それより外側のエリア(イラストの斜線部分)にバイクがいると映りません。サイドミラーに映らない場所に長くいると、ドライバーは『誰もいない』と判断してハンドルを切ってくることもあるのです。もちろん目視をして死角を確認するドライバーがいるとは思いますが、必ず全員が確認するとは限りません。

またクルマのフロントガラス両端のAピラーがドライバーの視界を遮り、バイクの認知が遅れることもあります。

ライダーはこのクルマ側の特性を理解し『見られる位置』を維持することが重要になります。たとえば、追い越し前には相手のミラーに自分の姿が一時的でも映る位置をキープすることで、ドライバーに『気づかせる』。これでライダーの安全を生み出せるのです。

ドライバーが『認知』するタイミングを読む

ドライバーは、常に前方と車線の流れを中心に視線を配分しています。ミラーを確認する頻度は高くても数秒に一度。つまり、ライダーがその一瞬の『見ていない時間』にドライバーの死角に入ると、存在自体を認識されないまま進路変更されることもあり、バイクと接触してしまうことも…。

また、ドライバーはバイクの速度を実際より遅く感じる傾向があります。これは『小さい物体ほど遠くに見える』という人間の距離感覚の錯覚によるもの。ドライバーにとって、バイクは想定より近く・速い。ライダー側がその錯覚を前提に動くことが、防衛運転につながります。

たとえば交差点に進入する際、『あのクルマは自分に気づいていないかもしれない。もしくは速度を正しく認識していないかもしれない』と思い、クルマの急な動きに対応できるようにしておく。ドライバーの認知の『遅れ』を読む冷静さこそ、安全を左右するのです。

自身(ライダー・バイク)を『見せる努力』をする

『見せる努力』はライダーにできる最も確実な安全策です。1998年からヘッドライトの常時点灯が義務付けられたのは、ドライバーに自車の存在をアピールするため。それ以前に生産されたバイクに乗る場合も、夜間だけでなく昼間もヘッドライトを点灯させるようにしましょう。加えて夜に走る場合には、ライディングウエアやヘルメットに反射素材を取り入れれば、被視認性が高まり、ドライバーが認識しやすくなります。

また、直線での軽いライン変更や身体の動きによる『動的アピール』も効果的。人間は静止物よりも動くものに注意を向けやすい性質があります。信号待ちや渋滞時でも、自分が『見られる位置』を意識することで、ドライバーの潜在的な注意を引き出すことがでます。安全運転とは、ただ慎重に走ることではなく『相手に気づかせる工夫』を重ねることも大事なのです。

 

ドライバーの『心理』を理解する

ドライバーの多くは、同じ四輪やトラックなど『大きな存在』に意識を向けやすいのですが、バイクは小さく存在感が薄いため『遠くにいる』『スピードが遅い』と錯覚されやすいのです。結果、実際より近い距離でも「まだ間に合う」と判断し、右折や車線変更を始めてしまうことがあるわけです。

また、ドライバーはバイクの動きを予測しにくいと感じています。加減速の幅が大きく、速度感がつかみづらいのです。ライダーがこの心理を理解し『不意に現れた存在』にならないような位置取りを心がければ、事故発生のリスクを下げられるのです。ドライバーも人間です。見落とし、錯覚、過信…。その心理を想定して走ることが、安全に結びつくのです。

『相手の行動を読む』防衛運転

どれほど注意しても、ドライバーがこちらに気づかないという可能性はあります。だからこそ、ライダーは『気づかれていない』ことを前提に動くべきです。交差点手前で前を走るクルマが減速したら『右左折するかもしれない』と減速する。十字路でバイクは青信号なので直進しようとしていますが、前方に右折しようとするクルマがいたら『急に動き出すかもしれない』と備える。

ドライバーの視線の向きや、車体の微妙な動きから意図を読み取る習慣をつけるようにしましょう。相手の行動を『読む力』は、経験ではなく意識の積み重ねで育ちます。守るために観察し、危険を先読みする。その結果『何も起こらなかった』となることが、重要なのです。

 

 『共存』のためのマナーとコミュニケーション

 

交通社会は『見せる・見る』の双方向で成り立っています。ライダーが無理な割り込みなどをすれば、ドライバーはバイクを危険な存在と認識してしまいます。一方で、適切な距離をたもち、車線をゆずってもらったりしたときは大きく会釈するなど、挨拶を交わすことで相互の信頼感が高まります。

こういった意思疎通は、小さなことですが大きな差を生みます。共存のマナーとは、交通ルールを守るだけでなく、相手を思いやる心を行動で示すこと。ライダーもドライバーも同じ道路を共有する仲間であることを忘れずにゆずりあって走りましょう。

 

まとめ:ドライバーを知ることがライダーの安全に結びつく

 

バイク事故は、ドライバーがライダーの存在を『見落とした』ことで起きることが少なくありません。しかし『ドライバーが見えなかった』のではなく『ライダーがドライバーに見える位置にいなかった』と言い換えることができます。ドライバーの視点を理解すれば、自分がどこにいると危険なのかが見えてきます。

ライダーができることは『ドライバーに自分を見せる努力』と『ドライバーの動き読む努力』の両方です。相手に気づかせ、自分も相手の行動を予測して共存のゾーンを意識する。これが、真の意味での『安全運転』なのです。ドライバーの視点に立つことで、バイクの安全は格段に高まることを意識してライディングを楽しんでください。

関連記事

最近チェックした記事