全日本ロードレース選手権J-GP3クラスにフル参戦中の岡崎静夏が、ʼ25年3月に熟成が施されたRebel 1100に試乗してきました!
ライポジ変更のおかげで操縦性も大幅アップ!
私が参戦する全日本ロードレース選手権のJ-GP3クラスは、5月下旬にシーズン初戦を迎え、私自身も今季のさらなる走りの進化に期待しているのですが、その事前テスト直前に、新しくなったRebel 1100でプチツーリングを楽しんできました!
ʼ21年に登場したRebel 1100は、シンプルでクールな雰囲気を追求した、ロー&ロングの水冷パラレルツインクルーザー。今回乗ったマニュアルクラッチモデルに加えてDCT仕様も用意され、装備が追加されたバリエーションモデルもあります。
ʼ25年3月には、アドベンチャーモデルのCRF1100Lアフリカツイン用をルーツとするエンジンの圧縮比アップ、ハンドル&ステップ位置とシートの見直し、5インチフルカラーTFT液晶メーターとスマホ連携機能の標準装備などが施されました。
中でもライディングフィールに大きな違いを与えているのが、ハンドルとステップのポジション変更。ハンドルグリップ位置は約12mm高く約28mm手前、フットペグ位置は約50mm前方に移設されており、より自然かつ快適なライポジになりました。
ハンドルとの距離が近くなったことで操縦性も向上。腕が伸び切ってしまうようなシーンが減ったため、車体がひとまわりコンパクトになったような感覚も得られます。そうは言っても実際にはそれなりの大きさがあるのですが、身長158㎝の私でも、シートに座る前後位置を選べる程度の余裕が生まれ、これが操縦時の自在性アップにつながっています。
その恩恵もあり、ワインディングのコーナーでは、意外なほどの寝かせやすさを感じました。もちろんクルーザーなので、バンク角はスポーツバイクと比べたら浅めで、この点だけは注意が必要。操縦感覚としては、リヤから先にバンクし、それに対してフロントの舵角が後からついてくるというイメージです。低重心だからなのか、バンクさせたときの不安はまるでありません!
爽快な走りを演出する厚い低中回転域トルク
ʼ25年型でさらに低中回転域が強化されたエンジンは、低重心で安定感のある車体との相性に優れています。“頑張っている感じ”はないのに、低回転域から太いトルクを使ってドドンと加速するイメージで、クルーザーらしい豪快な乗り味の演出にもつながっているし、そのときに車体が安定しているから、不安なく楽しさだけを抽出できます。
もちろん、キビキビ走らせたいときだけでなく、太い低中回転域トルクのおかげで高めのギアを使えるので、ツーリングなどでのんびり走りたいときにもぴったり。また、Rebel 1100はタンデムしやすいバイクなのですが、低中回転域トルクがあることで、タンデム時の発進や加速でも余裕を感じられます。
フロントブレーキはシングルディスク式で、スポーツモデルほどの制動力は発揮しませんが、キャスター角が大きめなこの車体には最適。リヤブレーキを多めに使うことで、疲れず快適に、そしてギュッと鋭く減速することができます。前後サスペンションを含め、車体は全体がうまくバランスされていると感じました。
唯一とても悩ましいのは、Rebel 1100にはDCT仕様もあるところ。価格は11万円アップで車重は10kg増なのですが、長距離ツーリングなどクルーザーとしての用途を考えると、意外と思われるかもしれませんが、私ならDCT仕様を選ぶと思います。シーンや気分に合わせてATとMTを切り替えられるし、近年のDCTはかなり熟成が進んでいて、Uターンなどの極低速走行時を含めて本当に制御が秀逸ですから……。
とはいえマニュアルクラッチ仕様でも、これまで以上に装備が充実化され、走りに対する自在性と快適性がアップした最新Rebel 1100は、間違いなく満足度高めです!!
Rebel 1100:SHIZUKAの評価
1)スタイリング:Rebel 1100シリーズにはカウル付きもありますが、私はスタンダードが好き。装備を充実させつつシンプルにまとめられていると思います。
2)スポーツ性:バンク角は浅めですが、ハンドリングは素直。でもそもそも、他の魅力がたっぷりあるので、敢えてスポーツ性を語る必要がないような……。
3)ツーリング:まさにツーリングするためのバイク。後席も低めに設計されライダーとの距離も近いため、タンデムでのツーリングにも最適だと思います。
4)街乗り:エンジンの低中回転域トルクがあり、信号待ちで足が着きやすいので、街中でも走りやすいです。でも、つい街を出て遠くへ行きたくなっちゃう!
5)コストパフォーマンス:熟成でメーターはカラーになり、スマホ連携機能も追加。グリップヒーターやクルーズコントロールまで標準装備なので、納得プライスです。
SHIZUKAのお気に入りポイント
【最適化されたライポジ】
ʼ25年3月のライポジ見直しでハンドルが近くなったことで、操縦性が向上して、車体がコンパクトになったようにすら感じます。
(クレジット)
●まとめ:田宮 徹 ●写真:楠堂亜希
※当記事は(株)内外出版社ヤングマシンD掲載記事(2025年7月号)の内容を編集・再構成したものです。