ツーリングバイクとしての適性を高めた『大人のスポーツ』という立ち位置が現代のVFR800F。だけど、走らせれば走らせるほどに『他とは違う』ことが感じられるのでした……
VFR800Fのエンジンは『プロの仕事』をこなす職人気質
普通に乗れば、ちょっと前傾姿勢強めのスポーツツアラー。
だけどライダーが積極的に操ることによって、奥に潜むものが顔を覗かせてくる。
その『奥に潜むもの』を垣間見るプロセスは、先の【中編】でお話しましたが、今回はその核心。V4エンジンについて、です。
【中編】からの続きです
バイクの姿勢をライダーが整えてからコーナーに飛び込み、スロットルオン。
VFR800Fの本領は、おそらくここからです。
まずもって、スロットル全閉からの開けはじめ。ここが最高に扱いやすい! 多分エンジニアもかなり配慮したのではないかと思いますけど、このエンジンはパワーの出方が恐ろしくフラットです。おかげでスロットルON/OFFでの車体の姿勢の変化が少なく、必要なパワーをいつでも気軽に取り出せるような気持ちになります。
コーナーを『開けて曲がる』ことができるVFR800F
普段、街乗りやツーリングといったシチュエーションでは、このエンジンはあまりにもフラットな特性すぎて『すこし面白みがない』と感じるかもしれません。
直4エンジンの高回転域の伸びやかさや、2気筒エンジンの低速のパワー感は感覚的にライダーが『楽しい!』と感じやすいものですが、VFR800FのV4エンジンには基本的にそういう感覚が薄いです。
言うなれば『プロの仕事』感が強い。
気分的な昂揚感よりも、優先すべきは走りのための扱いやすさだ。スポーツバイクって、そういうものだろう? って言われているように感じます。
ライダーの操作に、機械として正確に、最適に応える。
VFR800Fの『V4』はまるで仕事人です。なんというか……エンジン自体が職人気質というか、プロっぽい(笑)
そして、ライダーにも感じ取れないレベルでV4エンジンの不等間隔爆発が路面をきっちり捉え、車体を安定させてくれる。
本当に職人気質なエンジンと言うしかありません。ライダーがコーナーへのアプローチだけ整えて、VFR800Fが仕事をできる環境を用意してやれば、後はバイクまかせで思い切って開けて曲がっていけます。
だけど、そうは言っても最高出力は107馬力。油断は禁物。セーフティとしてのトラクションコントロールが控えているのでちょっと安心感はありますケドね。
VFR800Fで走りを極める
バイクで曲がること。そのスポーツ性の追求。VFR800Fに感じるのは、そういう『本物感』なんです。
まるでレーシングマシンのように、淡々と仕事をこなす職人のように。
VFR800FにはHYPER VTECが搭載されていて、7500~8000回転を境にサウンドが激変し、一気にパワーが増します。それは感覚的にとてもエキサイティングですけれど、冷静にそのフィーリングを感じるよう努めてみると、溢れるパワーはやっぱりフラットで、扱いやすさを損なっていません。徹頭徹尾『仕事人の走り』を貫きます。
往年のレーサーやプライベーターが求めた、純粋な速さへの渇望。
今のVFR800Fはツアラーとしての快適性も備えたバイクとなっていますけれど、このバイクを走らせていると、そんなノスタルジーに想いを馳せることができます。
こうして、VFR800Fに乗ってみて改めて思うのは……やっぱり最初に感じたとおり。
やっぱり、このバイクってちょっとマニアックかも(笑)
でも、現代の『VFR』はこれでいいんじゃないかなって思います。
ガチガチのスーパースポーツは何だかんだ言ってもしんどいですしね。
ツアラーとしての快適さに包まれつつ、V4エンジンが奥底に秘める『本物感』を堪能する。
V4なら何でもいいって訳じゃない。これが『ホンダのV4』あるいは『VFR』だからこそ意味があるんです。
レースで積み上げてきた栄光の軌跡を今に伝える。
そういう意味でVFR800Fは『他に替えの効かない』オンリーワン。ホンダのバイクラインアップの中でも『特別なバイク』なんだってことを思い知りました!
【文/北岡博樹(外部ライター)】
よろしければ【前編】からお読みくださいね!
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