今年1月から日本市場にも導入が開始されたCB1000 HORNETシリーズは、ベースエンジンの素性やアグレッシブなルックスとは裏腹に、公道での扱いやすさも重視したモデルのようで、ウインターツーリングを満喫した岡崎静夏さんも大絶賛!!

ルックスはキュートだけど、全日本ロードレース選手権J-GP3クラスに長年参戦し、昨年はランキング4位を獲得した驚速女子!!
従順で力強いエンジンと軽快な旋回性を生む車体
昨年はついに全日本ロードレース選手権で表彰台に立ち、次の目標はもちろん初優勝なのですが、先輩たちから「レースは積み重ねが大事。開幕から優勝狙いではなく、まずはもう一度表彰台に上がる意識で!」とアドバイスを頂きました。
確かに私の性格を考えたら、あまり意気込みすぎると開幕でぶっ飛んでシーズンを棒に振るなんてことにもなりそう……。一歩ずつ着実に、上を目指していきます!
そのために、このシーズンオフは相変わらず地道なトレーニングを続けているのですが、その合間に、今月はCB1000 HORNET SPで何度かお出かけしてきました。
今年1月から日本市場にも導入が開始されたCB1000 HORNETシリーズのエンジンは、SC77の型式を持つ’17 ~’19年型CBR1000RR用がベース。それでいてメーカー希望小売価格は、今回乗った上級版のSP仕様でも158万4000円、装備が省かれたスタンダードなら134万2000円と、エンジンの素性を考えただけでも、かなりお得感のある設定です!
そんなRRエンジンは、全回転域でとてもスムーズ。元々はスーパースポーツ用とはいえ、排気量は999ccもあるし、公道で楽しむことを主題にホーネット専用の仕様変更も加えられているため、低回転域から十分なトルクも発揮します。繊細な制御のおかげで、スロットル操作に対して忠実に反応してくれるため、ドンと意図せず加速してしまうようなことは皆無。低回転域から“力持ち感”のあるエンジンですが、扱いやすさも備わっています。
可変排気バルブ機構を搭載するSP仕様の場合、最高出力は158ps。RRのベースエンジンが192psだったことを考えるとかなり余裕を持たせてあり、余りあるパワーという感じではないのですが、それでも太いトルクと排気音で鋭く加速し、高速道路でもあっという間に制限速度まで達してしまいます。
そしてこのパワフルなエンジンを、全体的に高剛性で前傾姿勢がキツいスーパースポーツの車体ではなく、もっとカジュアルに楽しめるのが、ホーネットの大きな魅力です。
公道で自在に操れる軽快な車体も魅力!
スパルタンな印象もある外観ですが、意外と足着き性は悪くなく、またがった瞬間から扱えそうな感触。バーハンドルは適度にアップライトな位置にセットしてあり、爽快なワインディングだけでなく、狭い場所や市街地、路面が多少荒れた峠道などでも自在に操れるライディングポジションになっています。
180サイズのリヤタイヤを履いていることも効いているのか、コーナリングはとても機敏。リッタークラスの4気筒モデルとしては軽めとはいえ、それなりの車重があるのに、ヒラヒラと軽くターンでき、走らせているときの軽快感は600ccクラスと錯覚するほどです!
新型ホーネットのうち上級版となるSP仕様には、ブレンボ製のフロントブレーキキャリパーとオーリンズ製のリヤサスが装備されており、これは私が大好きな組み合わせ。スタンダードと乗り比べたわけではありませんが、フロントブレーキは非常にコントローラブルで、リヤサスは動き始めが繊細で全体的な作動性に優れており、これらが走りの質をさらに高めてくれます。
もしかすると、初期の効力や動きがもっと伝わるほうが分かりやすくて好みというライダーもいるかもしれませんが、可変排気バルブ機構やクイックシフターも標準装備されていることを考えたら、20万円以上の価格差があるとはいえ私ならSP一択です。
前後サスのセッティングをはじめ、全体的には公道に照準を合わせて設計されているモデルですが、走行会レベルならサーキットでも楽しく操れそう。例えばCBR1000RR-R FIREBLADEと比べたら、当然ながら限界域は低いですが、より気軽にスポーツライディングの雰囲気を味わえると思います。
CBR1000RR由来のエンジンを、自在感のあるライディングポジションで楽しめ、スマホ接続も可能なフルカラーTFTメーターやライディングモードなどの現代的なアイテムも充実。SP仕様はさらに豪華装備なのに、価格はかなり抑えられています。スポーティなツーリングを好むライダーなら、CB1000 HORNET SPの購入満足度は、かなり高いと断言できます!
CB1000 HORNET:SHIZUKAの評価
1)スタイリング:海外の流行に沿う、アグレッシブなストリートファイタースタイル。ホンダの日本市場向けネイキッドとしては、新しさがあります。
2)スポーツ性:公道でスポーティな雰囲気を味わえるモデル。車体が大きすぎず、軽快にバンクさせられるので、さまざまなシーンで楽しく操れます。
3)ツーリング:カウルがないので長距離の高速巡航には向かないかもしれませんが、軽快な走りと快適なライポジはロングツーリングでも活きるはず。
4)街乗り:私の身長でも足がある程度着くし、ハンドルをフルに切っても手が届きます。ワインディングのほうが似合うけど、市街地も問題ナシ!
5)コストパフォーマンス:RRとしては最終型のCBR1000エンジンで、SP仕様はより装備も充実。走りの楽しさも考えたら、間違いなくコスパは最高レベル!!
SHIZUKAのお気に入りポイント
【超お得に楽しめるCBR-RRエンジン】
細部の仕様は異なるとはいえ、エンジンは’17年型CBR1000RR用がベース。一世代前のフラッグシップスーパースポーツに使われていたエンジンを、この車両価格で、しかも気軽に操れるライポジで楽しめるのが最高!!
【走りの質を高めるSP専用アイテム】
SP仕様には数々の専用装備が導入されていますが、その中でブレンボ製のフロントブレーキキャリパーとオーリンズ製のリヤサスというのは、私が大好きな組み合わせ。ハイスペックなエンジンに見合う高性能パーツです。
●まとめ:田宮 徹 ●写真:楠堂亜希
※当記事は(株)内外出版社ヤングマシン掲載記事(2025年4月号)の内容を編集・再構成したものです。