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暖かくなってきても注意!ツーリング中の道路に撒かれている「白い粉」ってなに?【バイクライフ・ステップアップ講座/路面凍結の注意点 編】【Safety】

季節が春に向かって暖かくなってきても、標高の高い山間の峠道などで“白い粉”が路面にまかれている場所を目にしたことがあるでしょうか?

この白い粉って何? バイクで走っても大丈夫なの?

標高の高い峠道などで見かける謎の白い粉…… これって一体何なの?

真冬の寒さも随分と落ち着いて来ましたが、ツーリングで長時間の移動や山間部をツーリングしているとまだまだ寒さを感じますよね。

近年は防寒性能に優れたライディングウェアも数多くラインアップされているので、春先であれば「すこしくらい寒くても走りたい!」という元気なライダーはたくさんいるだろうと思います。

しかしながら、気温の下がる早朝や夕方などの時間帯に標高の高いエリアを走る際には、まだ注意が必要な場所が多いのも確かです。

ちなみに皆さんは、冬の時期にバイクで走っていて、路面に「白い粉」がまかれているところを見たことがあるでしょうか?

標高の高い峠道の陽の当たりにくいようなカーブや、路面が湿っている場所などに部分的にまかれていることも多いのですが、この得体の知れない“白い粉”は一体なんなのでしょうか?

白い粉の正体は路面の凍結を未然に防ぎやすくする「凍結防止剤」と雪を溶かすための「融雪剤」

出典:PhotoAC

結論から言うと、冬の路面にまかれている白い粉の正体は「凍結防止剤」もしくは「融雪剤(ゆうせつざい)」と呼ばれる、路面凍結などを防ぐための薬剤です。

見た目は同じように見える白い粉ですが、実は少し目的が違う2種類の用途で使い分けられています。

出典:PhotoAC

凍結防止剤

「凍結防止剤」とは、凍結温度を下げて路面を凍りにくくする塩化ナトリウムなどの成分が含まれた薬剤です。

主に雪が降る前や路面が凍結する危険性がある場所に、事前に散布して路面凍結や積雪を予め防ぐ目的で使用されます。

融雪剤

「融雪剤(ゆうせつざい)」には、塩化カルシウムや塩化マグネシウムの成分を利用して氷点を下げて雪を溶かす役割があります。

路面に積もるか積もらないか程度の雪が降った場合に、雪の粒を速やかに溶かし、雪溶け水の凍結を防止する効果もあります。

他にも防氷剤、融氷剤、凍結抑制剤などと呼ばれる場合もありますが、いずれも「水分に塩分が混ざると0℃以下になるまでは凍りにくくなる性質」を活かして主に自治体や道路管理者が路面凍結を防ぐために意図的に散布しています。

バイクで走っていて融雪剤や凍結防止剤がまかれている道に遭遇したらどうすべき?

道路にまかれている状態ではほとんど違いがわからない「凍結防止剤」や「融雪剤」ですが、いずれも路面凍結を防ぐために散布されているものなので、バイクでもこのような道を走ることは基本的に可能です。

しかし普通の速度で安心して走れる……と思うのは少し早計。

凍結防止剤や融雪剤がまかれた後は、言わば白い粒々の砂の上を走っている状態に近いですし、薬剤が溶けた状態でも氷や雪が完全に消滅するわけではなく“水に変化して路面が濡れた状態”になっています。

これはあくまでも筆者の体感ですが、薬剤が溶けて黒く湿っている状態の路面は、外気温で冷くなった水分がしばらく残っていて、しかも塩分も混ざっているので、通常の雨で濡れた路面よりも滑りやすい気がしています。

いずれにしてもこれらの薬剤がまかれている場合は路面の凍結やスリップの恐れがある道路として充分注意しながら走行する必要があります

特に標高の高いワインディングや人里離れた山間部では、長い区間に渡って薬剤が散布されている場合も多いので、このようなケースの道に遭遇した場合は、状況によっては引き返す判断をするのも賢明かもしれません。

路面状況や道路標識、道路情報などをよく確認しながら、無理のないツーリングと安全運転を心掛けたいですね。

融雪剤や凍結防止剤がまかれた道を走った後に「必ず洗車したい」理由とは?

そして、凍結防止剤や融雪剤がまかれた路面の上を走った後は、できるだけ「速やかに洗車」するようにしたいです。

塩化カルシウムや塩化マグネシウムなどを含んだ凍結防止剤や融雪剤は、言わば「塩分」。金属類などがとても酸化しやすい成分を含んでいます。

そして皆さんもご存知の通り、バイクは鉄を含む金属の塊。

車体が白く汚れるのはもちろん、塩化ナトリウムや塩化カルシウムを含んだ水分や汚れが金属部分に付着すると、化学反応で酸化して「サビ」が発生しやすくなってしまうんです。

冬場のツーリングを終えた後は、特に白い粉の上を走ったつもりがなくても、気がつかないところで薬剤や汚れが付着しているケースも多いので、愛車の状態維持のために帰宅したらなるべく速やかに車体の汚れを細部までよくチェックしてみましょう。

普段ならあまり見ないようなエンジンの下側やマフラーの裏側などを隅々までチェックして、汚れていたら綺麗に洗い流しておくのがベターです。

ちなみに塩化ナトリウムや塩化カルシウムを含んだ汚れは、皮膚などに付着すると炎症を起こしてしまう場合もあるので、洗車の時はゴム手袋やゴーグルなどをして、肌や眼を露出しないようにするのがおすすめです。

塩分の含んだ薬剤が付着したままにしているとサビや劣化の原因になってしまいますから、愛車を綺麗に末長く乗り続けるためにも「洗車」を心掛けるようにしてくださいね!

【文:岩瀬孝昌(外部ライター)】

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