E-Clutchについて、「自分にはまるで不要な技術だと思っていました」という、繊細なクラッチワークがカラダに染みついた岡崎静夏さん。
ところが、初めてCBR650R E-Clutch に乗ってみたら、その考えを完全に改めることに……。

(岡崎静夏プロフィール) ルックスはキュートなバイク女子。
走りは全日本ロードレース選手権J-GP3クラスでシリーズランキング4位を獲得する実力!!
E-クラッチがもたらす超スムーズな変速に感動
今年の全日本ロードレース選手権は開幕が遅く、しかも第1戦はJSB1000クラスのみ実施されるので、私が参戦するJ-GP3クラスの初戦は5月下旬。あまりにもオフシーズンが長すぎですが、2月には応援してくださるファンの方々と交流できるような企画を計画しています。詳細が決まり次第SNSにアップするので、ぜひご確認ください!
さて、開幕はまだだいぶ先とはいえ、トレーニングはかなり真面目に続けているのですが、その合間に今月は、CBR650R E-クラッチでツーリングしてきました。
’24年型のCBR650RとCB650Rに市販車初搭載された、クラッチ制御を自動化する技術がHonda E-Clutch。これにより、発進停止や変速でのクラッチ操作が不要になります。シフトチェンジは常時マニュアルで、左足シフトペダルで操作。また、クラッチレバーも装備していて、これを握るだけでいつでも瞬時にマニュアルクラッチ状態となり、レバーを離してから数秒後には自動クラッチ制御に戻ります。
つまり、これまでにない革新的な機構ではあるのですが、正直なところ今回初めて乗るまでは、CBRやCBに自動クラッチなんて不要だと思っていました。普段からクラッチワークはほぼ無意識でやっているし、それが苦痛と感じたこともありませんし……。でも2日間たっぷり付き合ってみたら、E-クラッチに対する評価は180度変わりました!
E-クラッチの採用は多方面に“効能”あり
まず、クラッチ操作をバイク任せにして発進や停止ができる点は、初心者の安全にもつながりそうだと感じました。エンストの心配がなくスムーズに発進できるというだけで、ビギナーにとっての負担はひとつ減るし、エンストからの立ちゴケなんていう最悪の事態も避けられます。
上級者の場合、自動クラッチ制御での微速発進や極低速走行に、最初は違和感があるかもしれませんが、例えばUターンの際などは、エンストしないという利点を生かして、リヤブレーキをやや強めに利かせながら速度調整することで、スムーズに操れます。
加えて、E-クラッチはレバーを握ると瞬時にマニュアルクラッチ状態になるので、自分の感覚とE-クラッチの自動制御がどうしても合わないと感じたときは、すぐに強制介入しちゃう手もあります。
初中級者には“エンストしない安心感”、上級者には“選択肢”をもたらしてくれるのが、E-クラッチならではの大きな魅力です。
E-クラッチの長所がとくに活きそうだと感じたのはタンデム走行。タンデム時の発進や変速には、とても気を遣いますよね。でも、E-クラッチならどちらも極めてスムーズでギクシャク感は皆無。これなら、後ろに乗せた奥様や彼女も乗り心地に満足してくれるはずです。
また、とにかくスムーズなシフトフィーリングは、サーキット走行との相性も良さそう。自走で走行会に参加して、CBR650Rならではのフレンドリーなスポーツ性を満喫し、自宅とサーキットの往復はオートクラッチで楽に移動する……なんて使い方も容易に想像できます。
そもそもCBR650Rは、扱いやすさとパワーのバランスに優れていて、ツーリングからサーキット走行までさまざまな遊びに適応できるモデル。そこにE-クラッチという新たな機構が加わったことで、走りの質や操縦しやすさがさらに磨かれています。加えて、’24年型ではスタイリングにも変更が施され、フレンドリーな乗り味は維持したまま、よりシャープで最新CBRらしい雰囲気に。つまり、これまで以上に多様な魅力が備わっています。
スタンダードとE-クラッチ仕様の価格差はたった5万5000円。以前からコスパ最高のエンジョイモデルとして注目していたCBR650Rですが、そのE-クラッチ仕様は、本当に多くのライダーにオススメしたいバイクでした!
CBR650R E-Clutch:SHIZUKAの評価
1)スタイリング:’24年型のテールまわりは私好みのシャープな雰囲気。フロントまわりは現行CBRシリーズとのイメージ共通化がさらに進みました。
2)スポーツ性:E-Clutchのおかげでクイックシフターの変速ショックは極めて少なく、楽するための機構と思いきやスポーツ性も大幅アップ!
3)ツーリング:渋滞に巻き込まれても疲労が少なく、誰でもスムーズな変速ができるなど、E-Clutchにはツーリングを楽しくする要素がたっぷり!
4)街乗り:発進停止や低速走行時にエンストするリスクがなく、レバーを握るだけでマニュアルクラッチになるので、とても乗りやすいです。
5)コストパフォーマンス:自動クラッチ制御でもマニュアルクラッチ操作でも乗れて、ツーリングもスポーツも最高に楽しいのにこの価格。超お得です!!
SHIZUKAのお気に入りポイント
【シフトショックがとにかく少ない!!】
上下クイックシフターの標準装備は、ミドルクラス以上のスポーツモデルなら珍しくない時代になりましたが、変速時もクラッチを瞬間的かつ繊細に自動制御するHonda E-Clutchは、シフトチェンジが超スムーズで感動しました。
【肩肘張らず乗れる適度な車格と性能】
そもそもCBR650Rは、以前から大好きなバイク。レースユースも考慮したスーパースポーツと比べたら、ツーリングや街乗りは快適で、サーキットではギンギンに攻めなくてもスポーツライディングの楽しさを満喫できます
●まとめ:田宮 徹 ●写真:楠堂亜希
※当記事は(株)内外出版社ヤングマシン掲載記事(2025年3月号)の内容を編集・再構成したものです。