テントやシュラフ、ライトなど、ある程度の主要なキャンプ道具を揃えたら、次は是非「椅子選び」に注力したいところです。キャンプにおける「椅子(チェア)」は、アウトドアで快適な時間を過ごすためのマストアイテムと言っても過言ではありません。
キャンプやアウトドアにおける“椅子”の重要性
テントを張って、快適な椅子に座り、景色を眺めながら外での時間を楽しむ…。
これだけで、キャンプの醍醐味の半分以上を味わえているのかもしれません。
しかし、たったこれだけのことですが、快適なアウトドアチェアがなければ疲れるだけになってしまい兼ねないんです。
テントの中よりも長い時間を過ごすことが多い外での時間は、如何に「快適な椅子を選ぶか」にかかっていると言えます。
それほど重要なアウトドアチェアは、どんな種類を選べばよいのでしょうか?
折りたたみのアウトドアチェアにはどんな種類がある?
近年のアウトドアブームで、デザインや価格、形状など、様々なコンパクトチェアが登場しました。
写真はコールマン(Coleman)の折りたたみチェアを一部セレクトしてみましたが、同じメーカーでも選ぶのに迷ってしまうくらいの種類があります。
しかし、荷物の積載に限りがあるバイクツーリングでは、大きな椅子は持っていけません。
ですから、バイクでのキャンプツーリングで重宝する椅子は、下記を重要視すれば間違いないでしょう。
1.軽量コンパクトであること(広げたサイズよりも収納した時のサイズをチェック)
2.背もたれが付いていること(背もたれが“有り”と“無し”では快適度に天地の差がある)
この「2つ」だけです。
もちろん、椅子選びもバイクと同じで、価格や好みのデザイン、使用用途などで自分にあったものを選ぶのが一番です。
しかし、筆者の私(岩瀬)の経験上、“背もたれ”が付いていると、付いていないでは、疲れ方や快適さがまるで違うと思っています。
ひと昔前までは、背もたれの付いた椅子はバイクだと大きくて運べないものが多かったですが、今では10数年前とは比べものにならないくらい、軽量でコンパクトな背もたれ付きチェアがリリースされているのです。
ヘリノックス「チェアワン」がキャンピングチェアの時代を変えた
先ほど説明した「軽量コンパクト」と「背もたれ付き」の2つの要素を、高次元で兼ね備えているアウトドアチェアがヘリノックス「チェアワン」です。
ヘリノックス(Helinox)とは、テントやトレッキング用のポールを取り扱っている「DAC社」が2009年に立ち上げたブランド。
近年では、ホンダとのコラボレーションアイテムもリリースしている、大阪の老舗アウトドアブランド「モンベル」が、日本での正規取扱を行なっています。
ここ数年で、ヘリノックス・チェアシリーズにも様々な形状のモデルが登場しました。
サイズや高さなどの違いはもちろん、ピロー付きのものやロッキングチェアタイプのものまで種類も様々。
あまりの人気ぶりに模倣品やコピー品が出回るほどですが、キャンプ場に行けばこのタイプの軽量チェアを2人に1人は使っていると言っても過言ではありません。
ヘリノックス・チェアシリーズの2021年最新モデルは音楽フェスティバルなどに便利なタイプを発売。
ロータイプ且つ後ろに倒し込める可動式になった「フェスティバルチェア」が登場しました。
しかし、なぜヘリノックス・チェアシリーズがキャンパーやアウトドアマンにこれほどまで支持されているのでしょうか?
次からは、ヘリノックス・チェアが、なぜキャンプツーリングに向いているのかを解説します。
コンパクトさや組み立てやすさでアウトドアチェアのシェアナンバーワンに
まずヘリノックス・チェアが優れているのは、収納サイズのコンパクトさです。
写真はヘリノックス・チェアシリーズの中でも一番スタンダードな「チェアワン」のもの。
背もたれ付きのチェアなのにも関わらず、横35cm、縦12cmほどでコンパクトに収まります。
テントやシュラフ、マットなど主要のキャンプ道具と一緒に積載してもかさばらない大きさなのが嬉しいポイント。
次に組み立てる部品点数の少なさです。
本体となる一体型シートと、椅子の骨格フレーム、収納袋の3点のみ。
しかも、それぞれのパーツがすべて理に叶った構造になっているんです。
英語表記ではありますが、収納袋の裏側に組み立ての説明書きがイラスト付きで書かれています。
これならキャンプ道具を久しぶりに使うとき、忘れてしまうこともありませんし、初めて使う時でも安心。
しかも、後に説明しますが、この収納袋はもうひとつの使い方ができるんです。
ヘリノックス・チェアが支持されている理由のひとつに「圧倒的な組み立てやすさ」があります。
椅子の骨格となるフレームは、ゴムワイヤーですべて一体化され繋がっていて、戻すように組み立てるだけ。
ですから、部品をハメ間違えることがないんです。
はい、これでフレームの完成です。
先ほどの収納袋を写真のように吊り下げると、小物入れに早変わり。細かいキャンプ道具や撤収までしばらく使わないパーツなどをここに入れておけます。
夜が明けるとキャンプ道具は結構なくなりやすいので、貴重品や無くしそうで不安なものはここに入れておけば安心なんです。
最後にシートを4箇所フレームに接続します。
接続部分はフレームがシートを突き破らないようにしっかり補強されています。
たったこれだけで完成です!
ヘリノックスのチェアは、シートを吊り下げて座る仕組みで、ハンモックのような座り心地がキャンパーを魅了しているのですね。
包み込むような座り心地でキャンプがもっと快適になる
一日を自然の中で過ごすキャンプは、その楽しさで疲れていることを結構忘れがちになります。
焚き火やアウトドア料理など、キャンプの楽しさはいっぱいありますが、椅子に座ったまま楽しめれば疲れも少なく、何より快適です。
筆者の私(岩瀬)も、いくつかの折りたたみチェアを所有していますが、バイクで行くキャンプツーリングは今のところ、このヘリノックス・チェア一択です。
これからもキャンプ道具は更に進化して行くと思いますが、ヘリノックス・チェアシリーズの登場がアウドドアチェアのひとつの歴史を変えた、と言っても過言ではないでしょう。
【文:岩瀬孝昌(外部ライター)】