’25年シーズンのレース活動に向け、早くも闘志を燃やしながら準備を進める岡崎静夏さん。
とはいえシーズンオフにはしっかり休養することも大切……というわけで今月は、遅めの秋を探しに、「GB350 C」を富士山周辺へと走らせたのでした。
レトロな容姿になってもやっぱり走りはイマドキ
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(岡崎静夏プロフィール)ルックスはキュートなバイク女子
走りは全日本ロードレース選手権J-GP3クラスでシリーズランキング4位を獲得する実力!!
’24年の全日本ロードレース選手権最終戦で、鈴鹿サーキットに対する苦手意識を克服しました。
日曜日朝のフリー走行で、走り方の意識を変えたことがその要因。このことから〝嫌い〟や“苦手”にはちゃんと理由があることを学びました。
そこで、’25年シーズンに向けたトレーニングには、ずっと苦手だと思っているトライアルなんかにも再挑戦してみようかな……なんて、漠然と考えているところです。
一方で「GB350 シリーズ」は、苦手どころか、最初に乗ったときから本当に大好きなバイク。私の中では“本気で欲しいバイクランキング”の上位にいます。
そしてこの秋、このシリーズに新たな仕様となる「GB350 C」が登場。さっそくツーリングに連れ出してみました!
実車を見てまず驚いたのは、開発ベースとなった「GB350(スタンダード仕様)」との違い。
外装だけをちょっと変更してそれっぽくしているのではなく、シートや燃料タンクまで新作されていたり、前後サスにカバーを追加してあったり、ハンドルグリップまで樽型になっているなど、とにかく徹底的に専用仕様化が施されています。
その中でも私がとくに注目したのは、いわゆるキャブトンタイプのマフラー。水平基調で長めのデザインにより、レトロな雰囲気を高めることに大きく貢献しています。
このマフラーによる効果なのか、どこかアメリカンクルーザーに近いイメージもあり、他のどんな現行モデルにも似ていない、「GB350 C」だけの個性がたっぷり確立されています。
デザインの完成度は非常に高く、カフェなどにポツンと置いてあるだけで絵になるほど。リーズナブルなバイクにはまるで見えません!
安定感のある操縦性がライダーに自由を提供
前後スチール製フェンダーの大型化などにより、車重は「GB350」と比べて7kg増。
そのおかげもあってか、走ると低重心で車体の安定感に優れるフィーリングが強めで、これがコーナリングでの扱いやすさにもつながっています。路面をしっかり捉えてくれる感覚があるので、安心して操れます。
「GB350」と同じく後輪は18インチ径が選択されていて、19インチ径の前輪とともに、穏やかなハンドリングをもたらします。
ルックスはクラシカルですが、昔のバイクみたいな扱いづらさは皆無。クセのない旋回特性で、ワインディングもスイスイ走れます。
ハイエンドモデルのように高価なパーツが導入されているわけではないのですが、全体のバランスがいいバイクという印象。極低速域での安定感と扱いやすさも抜群で、ハンドルフルロックでのUターンさえもバッチリ決まります。
ちなみに、さまざまなシーンでスムーズな走りに貢献しているアイテムのひとつは、コントローラブルなリヤブレーキ。
ペダルを踏んだときに制動力が急激に立ち上がらないので、車体がバンクした状態での入力もしやすいです。
もちろん、「GB350 シリーズ」共通のエンジンも、楽しい走りのためには欠かせない存在。
排気量348ccの単気筒なので、低中回転域でのスロットルレスポンスがよく出足は機敏ですが、その鋭さが高回転域まで続くわけではないので、バイクに急かされたりパワフルすぎると感じたりすることがありません。
ある程度の余裕があるけど、のんびり走るのが似合うというのが、このエンジンの長所。100km/hの速度域ならまるで不足は感じられず、しかも燃費は良好なので、ツーリングにとても向いていると思います。
さらに、不快な振動がないのに鼓動感がたっぷりある点や、アシスト&スリッパークラッチのおかげでレバー操作が驚くほど軽い点も大きな魅力。
これに座り心地がさらにいいシートが組み合わさることで、長めの距離を乗っても疲れにくいと思います。
もちろん、このルックスなのでオシャレに街を巡るのにも最適ですが、乗るとつい遠くまで走りにいきたくなってしまうバイクでした!
個人的な好みとしてはシンプルでカジュアルな「GB350」がイチバン……と思いつつも、スポーティに仕上げられた「GB350 S」のカッコよさも捨てがたいし、レトロ路線をブレることなく突き進んだ「GB350 C」の唯一無二なルックスも好印象。どのGBを選んでも正解しかないので、これは本当に悩ましい!
GB350 C:SHIZUKAの評価
1)スタイリング:ベースモデルに対して細かい部分にまで手が加えてあり、コンセプトに対する完成度はかなり高め。現行モデルでは唯一無二の姿!?
2)スポーツ性:「GB350」を知らずに乗ったら、意外なスポーツ性に驚くかも。もちろん速く走るためのバイクではないけど、けっこう楽しめます!
3)ツーリング:近場をプチツーリングしても、高速道路も使いながら長距離を旅しても、タンデムで楽しんでも、満足できる走行性能と快適性です。
4)街乗り:つい遠出したくなるバイクですが、市街地移動も得意分野。オシャレなスタイリングで、どこに置いてあっても違和感がない点も魅力。
5)コストパフォーマンス:「GB350」と比べたら10万7800円アップですが、このデザイン性や走りを総合的に考えたら、かなりコスパがいいと思います!
SHIZUKAのお気に入りポイント
【こだわり抜かれたC専用のデザイン】
「GB350」をベースとしながら、各部のデザインが徹底的に専用化されていて、かなり印象が異なる仕上がりになっているのが驚き。中でも水平基調のキャブトンタイプマフラーは、車体を長く見せる効果も生んでいると感じました。
【シリーズ共通の絶妙すぎる単気筒】
エンジンは低回転域で適度に力強く、出足の鋭さや低速走行時の扱いやすさは十分。一方、高回転域でパワーがありすぎないので、ゆったり走ることを促してくれます。雑味のない鼓動感を含め、公道での気持ちよさがたっぷり!
●まとめ:田宮 徹 ●写真:楠堂亜希
※当記事は(株)内外出版社ヤングマシン掲載記事(2025年2月号)の内容を編集・再構成したものです。