長年の歴史の最後を飾る『CB1300 SUPER FOUR Final Edition』の実車を初公開!
最後のCB1300、全部見せます!
最後を飾るのに『派手さ』は必要ない
1992年のCB1000 SUPER FOURから端を発し、Hondaの大型バイクを代表するモデルとして2025年の今日まで変わらぬ存在感を放ち続けていたビッグネイキッド『CB1300 SUPER FOUR』。既に発売の速報とファイナルエディションだけの特別な仕様については発表されています。
しかし、実車を公開するのはこれがはじめて……
これまで、このバイクを愛してくれたみなさんに感謝を込めて、HondaGO BIKE LABでは『CB1300 SUPER FOUR Final Edition』のすべてを公開します!
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CB1300 SUPER FOUR SP Final Edition
ここで紹介するのは前後の足まわりが強化された『CB1300 SUPER FOUR SP Final Edition』なのですが、実車をはじめて見た時に感じたのは『落ち着き』でした。言ってしまえば、わかりやすい派手さはそこにありません。
例えば、強烈な印象を与えた赤フレームに前後ゴールドホイールを履いて2022年に限定発売された「CB1300 SUPER FOUR SP 30th Anniversary」のようなギラギラした感じではないんです。長年の歴史に幕を引くファイナルエディションはどこまでも純粋に、初代BIG-1へのオマージュを感じさせるバイクとなっていました。
それを代表するのが『CB1300 SUPER FOUR Final Edition』にのみ採用される「HONDA」ロゴ。
従来型ではウイングマークのエンブレムとなっていますが、このファイナルエディションでは原点回帰。初代BIG-1を知る人にとっては万感の思いでしょう。
そして燃料タンク上には、ファイナルエディションの専用ロゴ……このバイクのオーナーとなる人物は、愛車に跨るたびにこのロゴを目にし、それが特別なものであることに満足感を覚えるはずです。
ですが、それだけでは『CB1300 SUPER FOUR Final Edition』に対し、初見で感じた「落ち着き感」を説明できないものがあります。
そこに大きく寄与しているのがシルバーに変更されたトップブリッジとステアリングステムカラー、スイングアームです。
それはあまりに自然なため、ともすれば「もともとシルバーだったのでは?」と思ってしまいそうですが、従来型では最近の流行りを取り入れブラックアウトされていました。
ですが、往年のバイクを知るベテランにとって『金属部品はシルバー』というのは重要な要素のひとつ。全体のパッケージとして馴染んでいるものの、鉄を感じる重厚感と共に、古き佳き時代を想起させてくれるはずです。そうそう……昔はこうだったよな、と。
そうしてシルバーのスイングアームを彩るのはカスタムバイクのような趣を感じさせるゴールドチェーンの存在。しかもこのチェーン、ただのゴールドチェーンではありません。
こんなの初めて見た……と、この記事を書いている私(北岡)も思わず目を見張りましたが……
なんとチェーンリンクに『PROJECT BIG-1』の文字が刻まれていました。
バイク乗りのみなさんであればご存じのことでしょうけれど、チェーンは走れば汚れていきます。放っておいたらこの「PROJECT BIG-1」の文字はすぐに見えなくなってしまうかもしれません。だけど、このバイクのオーナーになったら、このチェーンを常に綺麗に保つよう努力を惜しまない予感がします。そうしてメンテナンスに気を配ることで『CB1300 SUPER FOUR Final Edition』は、長く良好なコンディションを維持していけるだろう、とも感じました。
PROJECT BIG-1といえば、サイドカバーのCB1300エンブレムの下にもそのロゴが配置されています。従来型ではこの部分は「SUPER FOUR」あるいは「SUPER BOL D’OR」となっています。これも細かい部分かもしれませんが、例えば同じCB1300オーナーが見れば「おや?」と違和感を感じ、それがファイナルエディションであることに気付くキッカケになるかもしれません。
今回の撮影車両は『CB1300 SUPER FOUR SP Final Edition』だったので従来型にも写真のようなリアルステッチのシートが採用されていますが、ファイナルエディションでは、SPではないスタンダードモデルにもリアルステッチ仕様のシートを採用。SPでないからといって、こだわりに手抜きはありません。
ですが、もちろん、SP仕様ならではの特別な装備は大きな魅力です。
フロントフォークはしなやかな作動性を誇る専用設計のÖHLINS製Φ43mm正立フォーク。このフロントフォークは圧側・伸び側を左右に完全分離させたワンウェイカートリッジを採用し、ワイドレンジ圧側20段、伸び側20段の減衰調整を可能としています。
そこにBrembo製4ポッドキャリパーをラジアルマウント。排気量1,284ccの直列4気筒エンジンが発生する大パワーを自在に制御するための装備が与えられています。
また、CB1300シリーズはリアサスペンションにオーソドックスな2本サスを採用していますが、SP仕様ではそちらもÖHLINS製です。
φ49mmの大容量リザーバータンクを備えたÖHLINS製リアショックアブソーバーは20段調整式のワイドレンジ・コンプレッションアジャスターが装備され、ライダーの好みに応じてきめ細やかなセッティングが可能となっています。
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CB1300 SUPER FOUR SP Final Edition
このファイナルエディションをもって最後となる、大排気量ネイキッドの王道『CB1300 SUPER FOUR』は、最初にお伝えしたようにこれ見よがしな主張をしてきません。
けれど、そうだからこそ……長い時間が経っても色褪せない。CB1300というバイクが現行ラインアップから姿を消したあとも、ずっと長く愛してほしい。そんな想いが『CB1300 SUPER FOUR Final Edition』からは感じられました。
立つ鳥、跡を濁さず。
歴史に残る名車の最後を飾るのに、これ見よがしな『派手さ』は必要ないのかもしれません。
【文/北岡博樹(外部ライター)】