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伊藤真一のロングラン研究所:2024年に乗ったHondaのバイクBEST6

伊藤真一(いとうしんいち)|Astemo Honda Dream SI Racing 代表
1966年、宮城県生まれ。1988年ジュニアから国際A級に昇格と同時にHRCワークスチームに抜擢される。
以降、WGP500クラスの参戦や、全日本ロードレース選手権、鈴鹿8耐で長年活躍。
2025年も監督として「Astemo HondaDreamSIRacing」を率いてJSB1000クラス、ST1000クラスなどに参戦! 当研究所の主席研究員。

2025年モデルが、どのように変わったのか楽しみです!

No.1:X-ADV

スクーター的スタイリングの「X-ADV」は奇抜なモデルに思われがちですが、非常にバランスの良い一台に仕上がっています。
メインバイクに選んでも、2台目の普段乗りバイクに選んでも、使い勝手がとても良いですね。
プラットフォームはNC750系ですが、まるで専用設計車体のようにしっくりくる。スポーツバイクとしてライディングも楽しめ、スクーターのように日常生活でのユーティリティ性も高い。
シート下収納スペースも大きいので、ツーリングに使うのにも向いているモデルで、どのような使い方もできるのが魅力です。

「X-ADV」はDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)仕様のみ用意されていますが、もしMT仕様があったとしてもDCT仕様を選びたくなるくらい、DCTの出来栄えが素晴らしいです。
いずれのライディングモードでもシフトチェンジが的確で、走らせていて違和感を覚えることがありません。
オフロードでは小径タイヤであることを意識させないくらい、気持ちよく走ることができるのも気に入っている点です。


スポーツモードの、活き活きしたフィーリングもとても好きです。750ccのツインエンジンはとても鼓動感があって、アフリカツインの小型版みたいなフィーリングです。
個性的なスタイリングなので選ぶ人を限定しているところもあると思いますが、乗るとその面白さは誰もがすぐに理解してくださると思います。

実はマイナーチェンジを受けた2024年発表モデル、一台注文を入れました。
最初は新色のイエローにしようかと思いましたが、ちょっと目立ちすぎるのも恥ずかしいなと思い、結局自分の年齢的には無難なグレーを選びました。
白も候補でしたが、大人しすぎる印象の白は飽きるかもしれないと思い、最終的には選択肢から外しました。

杞憂かもしれませんが、マイナーチェンジによって自分の好みから外れる方向にいってしまうことを、ちょっと心配しています。
ただリリースを読む限りエンジンはそのままと書いてあるので、まぁ大丈夫かなと信じています。ともあれ早く新しくなったX-ADVに乗ってみたいですね。

残念ながら生産終了ですが……駆け込みで一台購入しました!

No.2:CB1000R


「CB1000R」は、デビュー時からずっと好きなモデルです。操安については初期のモデルが一番好きで、途中タイヤが変わったりして乗り味も少し変わっていきましたが、それでもHondaの中では操安がとても良いバイクの部類に入ります。
あとスタイリングもとても好きです。CB-F系以降のHondaの流れをくむデザインで、とても格好良くまとめられているのが気に入ってます。

実はCB1000Rも、一台購入しました。生産は終了しているので、在庫を探してブラックエディションを注文しました。
後継モデルとして「CB1000 HORNET(ホーネット)」が登場しますけど、シンプルにデザインとしては丸目の一眼ヘッドライトの方が好きなので、駆け込みで購入したという感じですね。

「CB1000 HORNET(ホーネット)」はSC77(CBR1000RR)エンジンがベースですが、「CB1000R」はそれよりかなり古い、SC57エンジンをベースにしています。今のSC82(CBR1000RR-R)は中速にパンチがあり、その一世代前のSC77ベースのホーネットも、きっとCB1000Rより元気の良いエンジンという感じに仕上がっていると思います。

ただ昔のSC57って、峠でも乗りやすかったじゃないですか? あれはエンジン特性が大きく影響していて、「CB1000R」にもその辺は受け継がれています。
言い方が悪いかもしれませんが、SC57系は昔の味というか回して楽しむようなエンジンです。スロットルの開けやすさが、峠道を走らせての楽しさにつながっています。
それでいて「CB1000R」は、現代的な操安にアップデートされている。このエンジンと車体の組み合わせの妙が、「CB1000R」の大きな魅力のひとつです。

145馬力はスーパースポーツに比べると非力ですが、峠道を楽しむには十分です。購入した「CB1000R」でまず試してみたいのは、OEM以外のタイヤと組み合わせたときに、操安にどのような変化があるのかチェックすることです。もうすでに履かせて試してみたいタイヤは注文済みなので、納車されたらすぐに確認してみたいですね!

最新・最速の公道車を欲しい人に、ピッタリのスーパースポーツ

No.3:CBR1000RR-R FIREBLADE SP


80年代レーサーレプリカブームを経験したリターンライダーの人の中には、カブ系のような穏やかなモデルを選ぶ人も多いでしょうが、速いバイクを欲するタイプの方はCBR1000RR-Rを選べば、その期待を裏切られることはないでしょう。
改造しないという前提で、ナンバー付きのモデルとしては最強ですね。この価格で買える4輪車は何? ということを考えると、これだけの高性能車を280万円余で買えるということは、スゴイことだと思います。

足つきに不安がない方は、ぜひ積極的に選んでいただきたい!

No.4:CRF1100L Africa Twin <s>


日本国内のアフリカツイン系はローダウンモデルがメインですが、元々の基本設計は脚長の「CRF1100L Africa Twin<s>」タイプで作り上げてます。
ですから車体関係の印象が悪いわけはなく、走りのフィーリングの良さは「 CRF1100L Africa Twin<s>」 が圧倒的に上です。
バイクを選ぶ際、ビギナーから中級レベルの方にとって足つき性は大きなウエイトを占めると思いますし、足がつかないことは確かに致命的です。
ただそこをクリアできる人は、 <s>を選択肢に入れてくれることを望みますね。

万人に勧めることができる、大型モデルの定番商品!

No.5:NC750X Dual Clutch Transmission


「NC750X」は、大型ロードバイクのスタンダード版と呼べる存在ですね。足つき性もそんなに悪くないですし、乗りやすくてライディングポジションも楽で良い。
お値段以上の仕上がりですね。サスペンションやブレーキなどの足まわりも、とても良くできていて文句のつけようがないですね。
スタイリングに洒落っ気とか色気がないとか、その外観に対する好みはあるでしょうけど、幅広い層にお勧めすることができる大型バイクだと思います。

もう少し、フロントタイヤ側のボリュームが欲しいかな?

No.6:CRF1100L Africa Twin Adventure Sports ES Dual Clutch Transmission


フロント側が19インチになったことでタイヤの選択肢が増えたこと、ブロックタイヤに比べて距離を走ったときに操安性への影響が出にくいこと、そしてタイヤノイズの減少は大きなメリットだと思います。
ただ個人的には、それまでのフロント21インチのハンドリングが好きでした。フロントタイヤは110サイズが選ばれていますが、ワンサイズ幅広い120にするとより良くなる気がしました。
110を選んだ理由に興味があります。

 

(注意書き)
PHOTO:南 孝幸 まとめ:宮﨑健太郎
*当記事は月刊『オートバイ』(2025年2月号)の内容を編集・再構成したものです。

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