バイクは1人で楽しむだけでなく、後部シートにパッセンジャーを乗せて走ることのできる乗り物です。しかし、すべてのバイクで二人乗りができるわけではなく、二人乗りをするためにもいくつか条件があります。
これを守っていないと思わぬ危険や罰則を課せられるなんてことも……? タンデム走行前にルールについて確認しておきましょう!
バイクのタンデム(二人乗り)には条件がある?
バイクの免許を取得したら、友達や大切なパートナーを後ろに乗せてタンデムツーリングを楽しみたいと考えている方も多くいると思います。また、バイクはツーリングだけでなく市街地での移動にも機動力を発揮するので、二人乗りをする機会も自然とでてくるかもしれません。
しかし、バイクで二人乗りをするためには細かくルールが定められています。なんとなくはみなさんも知っているかと思いますが、うっかりルールを破ってしまうと原点や罰金の対象になるだけでなく、思わぬ事故や危険に繋がることもあるかもしれないので要注意!
教習所でも触れられる内容ですが、忘れてしまった方やこれから免許を取る方はバイクの二人乗りに関するルールを確認してみましょう!
二人乗りできるバイク、できないバイク
大前提としてバイクには二人乗りできるバイクとできないバイクがあります。
まず挙げられるのが排気量50c未満の第一種原動機付自転車、いわゆる「原付」です。大半の方はご存知のことかもしれませんが、原付バイクでは二人乗りは禁止されているのでしてはいけません。
50ccを超える「第二種原動機付自転車(原付二種)」「普通自動二輪車」「大型自動二輪車」については基本的に二人乗りが可能となりますが、二人乗りができるバイクにも以下のような条件があります。
ひとつはパッセンジャー(後部座席に乗る人)の乗車装置が装備されているかどうか。
まず「タンデムシート(パッセンジャー用が座ることができるスペース)」が設けられているのは大前提ですが、その他パッセンジャーが足を置くための「タンデムステップ」、手で乗車姿勢を固定することのできる「タンデムベルト」、または「グラブバー」を装備していることが条件になります。
排気量50ccを超えるバイクでも、中にはタンデムシートやタンデムステップが無く一人乗り用に設計されているものもあり、そういったバイクも二人乗りはできません。
そういったバイクには登録証の「乗車定員」欄に記載があるので、タンデム走行をする前に自分のバイクの乗車定員は確認しておきましょう。
バイクでタンデム(二人乗り)できるライダー側の条件
上記のようにバイクで二人乗りをする際には、当然二人乗りできるバイクに乗る必要があります。
でも、実はバイクの問題をクリアしたからと言ってすぐに二人乗りができるとは限らないんです。
バイクで二人乗りをするためにはライダー自身にも以下のような条件があります。
バイクで二人乗りをするための条件
こちらが道路交通法における一般道での二人乗りのルールですが、簡単に説明すると一般道において二人乗りをするためには、運転免許センターで二輪免許を交付されてから1年以上が経過している必要があります。
これには小型限定普通二輪免許(原付二種バイクに乗るための免許)や普通自動二輪車、大型自動二輪車といった免許区分は関係ありません。
どの免許区分でも1年以上の経過年数が必要となり、免許取得後すぐに二人乗りをすることはできないので注意しましょう。
ただし、例えば小型限定普通二輪免許を取得してから1年以上経過した状態で普通自動二輪車の免許を取得した場合などはその限りではありません。同様に普通自動二輪免許取得から1年以上経過して大型自動二輪免許を取得した際も再び1年間二人乗りができないといったことはありません。
注意したいのが、各種免許を取得してから1年未満に違反等で免許が停止されていた期間がある場合、免許停止期間中は経過期間にカウントされないので注意してください。
高速道路では年齢も条件になるので注意!
こちらも小難しく見えますが、簡単に説明すると高速道路(高速自動車国道および自動車専用道路)においてバイクの二人乗りをするためには、普通自動二輪免許または大型二輪免許を交付されてから3年以上が経過している必要があります。
ここで注意したいのが、一般道と違い高速道路では20歳以上という条件があること。
もし16歳で普通自動二輪免許を取得し3年間が経過しても、19歳では高速道路での二人乗りはできないので注意しましょう。
また、小型限定普通二輪免許(原付二種バイク)ではそもそも高速道路を走ることができないので、高速道路で二人乗りをするためには普通自動二輪免許もしくは大型自動二輪免許を取得してから3年が経過する必要があります。
そして、これらの条件をクリアしていたとしても首都高速道路の一部区間など自動二輪車での二人乗りができない場所もあるので、二人乗りで高速道路を使用する際には事前に地図などを確認するとと共に、現地の標識なども確認するようにしましょう。
高速道路を二人乗りするには3年間という長くも思える期間が必要ですが、高速道路は一般道に比べて速度域が非常に高く場所によっては一般道の2倍以上の速度を出すことができます。
『速度が2倍』になると事故時の衝撃は、その速度の乗数に比例するので『4倍の衝撃』が加わることになります。
したがって、高速道路で同乗者の命を背負って走るのには一般道よりも多くの経験値が必要になるのです。
二人乗りの際は同乗者の装備も忘れずに!
バイクに乗る際にはヘルメットを装着することが義務付けられていますが、もちろんこれは二人乗りの際にも適用されます。
後ろに乗る方をパッセンジャーと言いますが、パッセンジャーのヘルメット装着は必須です。ライダー同様ライディングウェアや各部プロテクター、グローブなどバイク用の装備を着用することも好ましいです。万が一の事故の際に大切な身体を守るためにパッセンジャーの装備もサイズの合ったヘルメットやプロテクターを用意し、「しっかりとアゴ紐が締まっているか」などお互いに正しく装着されているかを確認し合ってください。
また、二人乗りする際にパッセンジャーの年齢や身長などに規定はありませんが、二人乗りをする際にはしっかりとシートに座れてステップに足がのせられること、かつライダーやタンデムベルト、グラブバーをしっかりと掴んで体を固定できることが望ましいです。
二人乗りのルールを守ってタンデムツーリングを楽しもう!
上記のように、二人乗りでバイクを楽しむためには守らなければならないルールがいくつか存在します。
「せっかくバイクの免許をとったのに、すぐに二人乗りできないの?」と残念に思う方もいるかもしれませんが、これらのルールは「安全に二人乗りを楽しむため」のもの。
二人乗りができない期間にしっかりバイクの乗り方・扱いをマスターしてタンデムツーリングに向けて準備をしておきましょう!
また二人乗りを行う場合にも、パッセンジャーはバイクに乗ること自体に慣れていない方も多いので、急ブレーキや急アクセルなどの急が付く走行を極力行わないように意識し、
自分自身だけでなく、大切なパッセンジャーの命をも預かっていることをしっかりと自覚しながら、タンデムツーリングを楽しんでいただければと思います。
【文:石神邦比古(外部ライター)】