2021年1月28日に発売された原付二種スクーターの新型『PCX』に試乗しました。乗ってすぐに感じた歴代モデルとの大きなちがいを紹介します!
従来のラグジュアリーさにキビキビ感をプラスし、舗装路での万能性を大幅アップ
これまでの『PCX』は扱いやすさや親しみやすさ、安心して乗れるというのがもっとも強い印象でした。
そして、原付二種でありながら、身体が窮屈にならず、ゆったりと長時間走り続けることができるというのが魅力だったと思います。
【中編】からの続きです
新型『PCX』は、シート高は従来モデルから変わらず764mmで足つき抜群。ハンドルの距離感や広々したフットボードも踏襲され、またがった時に「そうそう、これがPCX」とライディングポジションは慣れ親しんだものだと思いました。
ただ、ひとたび走りだすと印象が一変。
ひと言で表すと、キビキビ感が増している!
新型『PCX』はエンジン・フレーム・装備にいたるまで、全面的に進化を遂げました。
キビキビ感が増し、鋭い走りができるようになったのには、さまざまな要因がありますが、一番顕著に感じられたのは、出足の良さとブレーキの効きの良さです。
エンジンは新設計され、出力特性も変わっています。
最高出力は12PSから12.5PSにアップ、最大トルクは変わらずに1.2kgf・m。最高出力が0.5PS向上したのを感じるのは、なかなか難しいものでしょう。
出足がいい、と感じた理由は、発進から加速にかけて使われる回転数でのトルクのアップが大きな要因と思われます。
125ccの原付二種の場合、普通に走っていてもスロットルをガバっと大きく開けることはしばしばあると思うのですが、新型『PCX』はレスポンスがよく、軽く開けただけでスッと前に出る軽やかさと力強さを感じました。
この発進・加速の心地よさは、通勤通学などの街乗りでも信号毎に体感できるものなので、よりいっそう『PCX』に乗る喜びや楽しさは増しています。
その鋭さに驚く人もいるかもしれません。しかし、新型『PCX』には加速力とともに、制動力がアップしているのでご安心を。
リアブレーキが従来のドラムブレーキから、ディスクブレーキに変更されています。ディスク径はフロントと同じΦ220mm。さらにフロントにはABSを新搭載。
この新たな前後ブレーキがとにかくよく効きます。とくに後輪ブレーキの形式変更は絶大で、日常でももちろん、万が一の急制動の際でも安心感は大きくなりました。
スペックを見てすこし不安に感じたのは、タイヤサイズの小径化。リアタイヤが14インチから13インチに変更され、新型『PCX』は前14・後13インチという組み合わせになりました。
従来の持ち味だったクラスを超えたラグジュアリーな乗り心地が損なわれるのでは……なんて思っていたのですが、まったくの杞憂でした。
リアタイヤのサイズは小さくなったものの、前後ともに幅をアップ。エアボリュームを増やして、衝撃吸収性が高められていたんです。
また、合わせてリアサスペンションはストローク量を10mmアップ。これにより、タイヤ径のサイズダウンしながらも、余りある乗り心地の向上を実現したというわけです。
総じていうと、これまでの『PCX』の持ち味だった、原付二種とは思えないラグジュアリーな乗り心地という面でも進化を遂げ、さらに「キビキビ感」がプラスされたという、いいことづくめ。
その上、Honda セレクタブル トルク コントロールまで備わっちゃって、安心感は従来モデルの比にならず、あらゆるメーカーの中でも間違いなく最高峰の先進装備を搭載する125ccコミューターといえます。
原付二種の常識から飛びぬけたという面において、3度目のフルモデルチェンジを遂げた新型『PCX』は、確実に歴代ナンバーワンの衝撃進化です!
【文:西野鉄兵(外部ライター)】
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