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【疑問】『CBR600RR』と『CBR650R』って何が違うの? 排気量が同じくらいのバイクが2台ある理由って?【脱! バイク初心者虎の巻】

Hondaにはミドルクラスの排気量にフルカウルのスポーツバイクが2台あるのって何で? 『CBR600RR』と『CBR650R』って何が違うの?

2台とも4気筒エンジン&フルカウルだけど『CBR600RR』と『CBR650R』はまるで別モノ

ある程度バイクのことに詳しくなってくるとわかることですが、バイク初心者のうちは『これって何で?』と思うことがいくつもあると思います。

そんな疑問のひとつによく出てくるのがHondaの『CBR600RR』と『CBR650R』という2台のバイク。この2台は外観的にもソックリなカラーリングがラインアップされているし、セパレートハンドルでフルカウルのスタイル。さらに搭載しているエンジンの形式も直列4気筒で同じ……排気量だって50ccくらいの差しかありません。

そういった共通する部分も多いことから『なんで同じくらいの排気量のバイクが2台もあるの?』と思ってしまいがち……

でもこの2台、実はまったくと言っていいほどに『別のバイク』なんです。

『CBR600RR』と『CBR650R』の最大の違い

その違いで最も大きなものは「これらのバイクが生み出された目的」にあります。

まず、このお話をするにあたって知っておいて欲しいのは、CBR600RRには『レースベース車』という一般公道を走ることができないサーキット専用モデルがラインアップに存在することです。

CBR600RR レースベース車(HRC)

この「CBR600RR レースベース車」というのは現行モデル2024年型「CBR600RR」から不要な保安部品等を外し、レーシングキットパーツのECU、ハーネス、前後サスペンション、フロントブレーキキャリパー/板厚ディスクを装着したバイクで、さらにサービスショップが独自開発したレース走行に必要なパーツ(カウル・ステップ等)が組み込まれたサーキット走行専用モデル。

趣味としてサーキットで走ることを楽しむ使い方もありますが、ざっくりとした認識としては『レース用のバイク』だと思ってもらってかまいません。

つまり『CBR600RR』というのは基本的な軸足が「レーシングマシン」なのです。

特に現行モデルの『CBR600RR』は開発段階から「レースで勝つこと」を第一義として生み出されているため、レーシングマシンにナンバーや保安部品を付けて公道を走れるようにしたバイクに限りなく近い存在です。もちろん公道走行を可能とするためには様々な規制に適合させる必要があるので「そのまま」という訳にはいきませんが、バイクの生い立ちとしては『ガチのレースバイク』となります。

ちなみにCBR600RRの総排気量が600cc(厳密には599cc)なのは国内外のレースに出場するためのレギュレーション(規則や基準)に適合させるため。その排気量設定にも理由があるんです。

CBR650Rは『バイクを楽しむこと』が第一義

そんなCBR600RRに対し、排気量が50ccほど大きい『CBR650R』は一般公道の走行をメインとして「走ることを楽しむため」に生み出されたバイクです。

ワインディングでスポーティな走りを楽しめるだけなく、街乗りやツーリングも快適に。もちろんHondaのフルカウルスポーツバイクなのでサーキットランを楽しむ実力も与えられています。

ただしこれらはすべて「バイクを楽しむため」に与えられた性能です。対して先の『CBR600RR』は“サーキットでコンマ1秒を削り取るための性能”となり、ここが大きな違いを生みます。

ただ、こう聞くと『じゃあCBR600RRのほうが高性能で良いバイクなのでは?』と思うかもしれません。だけどそこがバイクの難しいところであり、面白いところ。

レースで勝つことを第一義とした『CBR600RR』はパワーや車両重量などのスペック面では確かに高性能と言えます。でも街乗りやツーリングでの快適性は『CBR650R』ほど重視されていないため、公道走行においては「これはレースのためのバイクが原点なのだから仕方ない」と我慢する部分がどうしても出てきます。わかりやすく言ってしまえば「普段使いするには疲れるバイク」なんです。

けれどCBR650Rは一般公道で楽しむことをメインに考えて作られているため、そのあたりの配慮も万全。

見た目こそフルカウルスポーツですがライディングポジション(乗車姿勢)の前傾も節度ある範囲にまとめられていますし、エンジン特性も低~中速域からの扱いやすさを重視。ツーリングでの乗り心地にだって配慮されています。

また、最新モデルでは「Honda E-Clutch」というクラッチ操作を行わなくともギアチェンジができる新機構が搭載されたモデルもラインアップされ、乗り手のスキルを問わず、幅広いシーンで楽しめる性能に磨きが掛けられています。

どちらが自分に合うかは、乗ってみないとわからない

ですが、こうなると本気でミドルクラスの排気量のスポーツバイクが欲しい! と思って探している人には『結局どっちが自分にピッタリなの?』と迷ってしまうかもしれません。

でもバイクの楽しみかたは人それぞれ。一概に「これがいい!」と決めつけられるものではないんです。

でもそんな迷いを一瞬で断ち切る方法がひとつだけあります……それは、実際に乗ってみること!

バイクはバランスと感性の乗り物なので、スペックのパワーや軽さなどの数値だけじゃわからないことがたくさんあります。だけど乗ってみれば、その瞬間に『自分はこっちが好き!』に気付くことができるんです。

これはバイク初心者の人もベテランライダーも同じこと。ぶっちゃけますが、そこに経験はあまり関係ありません。ベテランでも乗ってみるまでわからないものなんです。

だからもし、この2台でどちらが自分に合っているのか迷っている人がいたらHondaのレンタルバイクサービス『HondaGO BIKE RENTAL』などを活用して、実際にこの2台を体感してみてください。

そうしたらきっと『好き』が見つかる。末永く付き合える『愛車』に出会えるはずです!

【文/北岡博樹(外部ライター)】

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