現在発売されているホンダの最新バイクたちには、当然ですが、その祖先や血統に繋がっているバイクが存在します。そんなホンダの歴代バイクを1台ずつ振り返りながら「もし現在のバイクに置き換えるとしたら? 」を考えてみる名車探訪の連載企画。今回は1959年に発売されたホンダ初のスクランブラー『ドリーム CL72』です!
Honda ドリーム CL72 スクランブラー(1962年)
「日本のスクランブラーを定着させたホンダ初のデュアルパーパス」
1960年に登場したドリーム CB72 スーパースポーツをベースに、未舗装路でも走れるように様々な改良が加えられたモデルが「ドリーム CL72 スクランブラー」です。
当時、日本ではまだ「オフロード」という言葉が定着しておらず、“混ざり合う”や“緊急発進”などを意味する言葉から「スクランブラー」と呼ばれるようになりました。
悪路走行時にエキパイなどが接触しないようにマフラーをセンターアップとし、アップライトなハンドルや、サスペンションを専用セッティングに変更。
フロントに舗装路から悪路走行までを可能にしたブロックタイプの19インチタイヤを装着し、バックボーンタイプだったフレームも、剛性アップなどを測って“揺り籠”を意味する「クレイドルフレーム」に改良されています。
CB72から評価が高かった空冷4ストロークOHC直列2気筒250ccエンジンを未舗装路用にリファインし、最高出力は24PS/9,000rpmを発揮。
車両重量153kgと軽量な車体と相まって、舗装された道路はもとより、未舗装路でも軽快な走りが楽しめるマシンでした。
ホンダのCLシリーズはその後、排気量を細かく細分化し、50cc〜350ccモデルのスクランブラーマシンが誕生していきました。
ロードスポーツを未舗装路用に改良したスクランブラーと呼ばれたマシンは、その後“トレール”や“ランドスポーツ”、“デュアルパーパス”などに呼び名が移り変わっていき、現代へと繋がっていくことになります。
【現行車に例えるならどんな車種?】
さて、ここからはあくまでも編集部の私(岩瀬)の個人的な主観で「現行車のバイク」に置き換えてみる妄想企画です。
スクランブラースタイルは異なりますが、ホンダのオフロードシリーズの子孫である「CRF250L」にスポットを当てて比較してみたいと思います!
「2020年にフルモデルチェンジされた3型CRF250L」
CLシリーズの後に「SLシリーズ」や「XRシリーズ」へと進化して行ったホンダのデュアルパーパスモデルは、現行車モデルだと「CRFシリーズ」になるかと思います。
XR250の後継機として、2012年に登場したCRF250Lは、2020年に待望のフルモデルチェンジを受け、現在のスタイルに生まれ変わりました。
ヘッドライトを中心としたスタイル変更が目を引きますが、フレームも完全新設計とし、水冷4ストロークDOHC単気筒エンジンの出力特性やセッティングも変更。
ABSを標準装備しつつも、従来モデルよりも2kg以上軽量化され、前後サスペンションやハンドリング特性も見直すことで、オフロード性能が更にアップしました。
最新型のCRF250Lは、シート高830mmのスタンダードタイプと、サスペンションストロークを伸ばした<S>の2種類がラインアップされ、2020年7月より発売されています。
【文:岩瀬孝昌(外部ライター)】