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GB250クラブマンからGB350 Cまで。ヒストリーを見たらGBシリーズの素晴らしさが良く分かってきた

GB350シリーズは多くの人達に愛されている車種です。
GB350が登場したのは2021年ですが、実はHondaからGBというバイクが登場したのは1983年。
つまり40年もの歴史があります。

今回はそんなGBシリーズのヒストリーを振り返ってみることにしましょう。

最新の性能とレトロスタイルの融合【GB250クラブマン】

GBの名が最初に与えられた最初のバイクは1983年に登場したGB250クラブマンです。
エンジンにはDOHC・RFVC単気筒エンジン(249㏄)など最新の技術を投入したロードスポーツでした。
※RFVC :Radial Four Valve Combustion Chamber の略(放射状4バルブ方式燃焼室)

その特徴は1960年代の伝統的なスタイルを継承しているという点にありました。懐古主義ではありません。
いつまでも変わらない普遍的な美しいデザインであると考えられていました。

GB250 クラブマンが採用していたRFVCとは吸排気バルブを放射状に配置して理想的な燃焼室形状を作る、Honda独自のメカニズム。

これによって優れた燃焼効率と吸排気効率が可能となり、さらにDOHCシステム組み合わせたことで最大出力30PS/9,500rpm、最大トルク2.4kg-m/8,000rpmという高性能と、58Km/L(50Km/h定地走行テスト値)という経済性を両立させていました。
スリムで扱いやすい車体サイズということなどもあり、様々なライダーのニーズに応えられるスポーツバイクでした。

より扱いやすく高性能に進化

1987年にGB250・クラブマンはマイナーチェンジを受けます。
エンジンには軽量なバルブスプリングとコンロッドを採用。
吸気系はΦ38mmの大口径シングルキャブレターと大容量エアクリーナーに変更され、それまで2本出しだったマフラーが一本となって快活な単気筒の排気音を奏でるだけでなく、軽量化することもできました。

フレームの剛性も高くなり、フロントブレーキのディスクローターが大型化されるなどして車体、足まわりの性能も向上しています。
見逃せないのはシートのデザイン変更によりシート高が25mm低い755mmとなったこと。
性能だけでなく、扱いやすさも進化していたのです。

細部にわたって熟成が進む

1988年にはクラッチ板の材質を変更して操作感を向上させ、ヘッドライトに樹脂製レンズを採用。
ハンドルまわりが軽くなったのでハンドリングもより軽快になりました。

ハンドルパイプの絞り角をやや手前に変更したことで乗りやすさも向上しています。

デザインを一新してより美しく

1989年にはデザインを変更。
優美なラインを描くフューエルタンクとなり、シートやシートカウルの形状も変わっています。

よりシングルらしいエンジンへ

1995年に登場したモデルでは、トラッド感がより強調されました。

燃料タンクにツートーンカラーになり、立体風のソリッド・エンブレムを装着。スチール製のクロームメッキ仕上げとなった前後のフェンダーが目を引きます。
リアフェンダーはクラシックバイクなどで良く見られるサイクル型になり、テールランプのボディもクロームメッキ。
シートの形状も変わっています。
エンジンはフライホイールが重くなって中低速域でのトルク感が向上。単気筒らしい鼓動感も強くなっています。

このようにGB250クラブマンは改良を加えながら進化を続けていきました。
トラディショナルな美しいデザインと単気筒エンジンによる力強い走り、軽快で楽しいハンドリングによって多くのライダーに愛され続けたのです。

マン島TTレースのイメージを色濃く反映【GB400TT/GB500TT】

1985年に登場したのがGB400TT(ツーリストトロフィー)とGB500TTです。
デザインは1960年代に英国のレースで活躍した単気筒エンジンのレーシングマシンをイメージ。
新設計の空冷4サイクル単気筒エンジンによる力強い加速感でライダーを楽しませてくれました。

タンクやメーター、保安部品はシンプルながら高級感に溢れたデザイン。
ヘッドライトステーやウインカー、ホイール・リムなどはアルミ。ハンドルは鍛造のジュラルミン製で前後フェンダーやサイドカバーは鉄製とするなど、金属素材を多用して高い質感を漂わせていました。

こちらはGB400TTMkII。

ロケットカウルが装着されていてシングルシート仕様になっています。
今見てもこのスタイルは魅力的です。

GB500TTは一人乗りのシングルシート仕様のみ。
私、ライター 後藤も少し乗らせてもらったことがありますが、このエンジンはとてもパンチがあってストリートからワインディングまで楽しく走れたことを覚えています。

GB400TTとGB500TTは、このように様々なバージョンをラインアップすることで、多くのライダーの趣向に応えることが可能でした。

ちなみにTTの語源となっているマン島TTレースは1960年代に世界で最も注目されていたレースでした。
ホンダはマン島TTレースに挑戦してから3年目の1961年に125ccクラスと250ccクラスで上位を独占。世界にその名前を轟かせることになったのです。
GB400TTとGB500TTは、そんな熱いヒストリーを感じさせてくれるバイクでした。

普遍的な美しさと楽しさを提案【GB350/S】

「GB」の名前は、2021年に GB350が登場したことで復活することになりました。

GB350が目指していたのはライダーの経験やスキルを問わず、豊かな体験を提供できることでした。

強い存在感を醸し出す直立シリンダーの空冷・単気筒エンジンは、ロングストロークで大きなフライホイールを採用したことなどによって、これまでミドルクラスでは感じられなかったような力強い鼓動感と粘り強さを発揮。

路面状況に応じてエンジントルクを制御するHonda セレクタブル トルク コントロール(HSTC)も採用されていました。

フレームは剛性のバランスを確保したうえでしなやかさを重視。
乗りやすく、ゆったりとしたハンドリングになっています。

GB350 Sは、GB350をベースとしてワイドなリアタイヤを装着。そして、後ろが跳ね上がったマフラーと、ショートタイプの樹脂製前後フェンダー、シャープなデザインのサイドカバーを採用しています。

フロントフォークブーツを装備して、ハンドル位置とステップ位置を変更するなどスポーティーなスタイルとなっています。

GB350とGB350 Sは、若者をはじめてとして多くのライダーに支持されています。
それは「日常から遠出まで~The Honda Basic Roadster」というコンセプトが、まさしく現代のライダーたちが求めていたものだったからなのだと思います。

よりクラシカルで重厚なイメージ【GB350 C】

GB350シリーズのシンプルさをそのままに、よりクラシカルで重厚な印象を与えられたのが、2024年に誕生したGB350 Cです。

フロントフォークカバーやヘッドライトカバー、セパレートタイプのシート、大型の前後フェンダーを採用。

タンクからシート、サイドカバー、リアフェンダーへと流れるようなプロポーションや水平に近い状態で後ろにスラリと伸びたマフラーなどと相まって、ロー&ワイドなイメージを作りあげています。

GB350シリーズはカフェレーサー的なスタイルで、スポーティーな走りを楽しむことができた過去のGBシリーズとは方向性が違っているように思われるかもしれません。

しかしトラディショナルで普遍的な美しいスタイルを持ち、最新のテクノロジーによって走る喜びを感じられるバイクであるという点はまったく変わっていません。

時代によって少しずつ姿を変えながら、バイク本来の美しさと楽しさを教えてくれるバイクであり続けています。

▼GB350 Cの記事はこちら!

【文/後藤武(外部ライター)】

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