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レーシング女子岡崎静夏の『いつもバイクで!』【CBR600RR編】勝つためのマシンだけど 公道での扱いやすさも!

ツーリングからサーキットライディングまで、爽快に楽しみやすいこの季節。

“本業”である全日本ロードレースの今季初戦を好成績で終えた岡崎静夏さんは、CBR600RRをパートナーに選んで、絶景に包まれたワインディングツーリングへ。

低めの速度レンジでも満喫できるスポーツ性

私が参戦する全日本ロードレース選手権のJ-GP3クラスは、4月中旬に開催された「スーパーバイクレース in もてぎ」が今季の初戦。決勝の順位は6位でした。

掲げていた目標は「トップグループにしっかりついていく」でしたが、これは達成できず……。転倒者が多いレースで、実質的なサードグループが繰り上がったラッキーな6位でしたが、しっかりバトルはできたし、久しぶりの入賞なので、次戦以降につながる内容だと思います。

そんな感じで今季の初戦を走り終えたリフレッシュを兼ねて、今月はCBR600RRでツーリングしてきました。幸運はレース後も続いているようで、この日は富士山と山中湖が美しく眺められる最高の天候。ワインディングを走る爽快感を満喫できたのですが、そこにはCBR600RRならではの走行性能も大きく関係しています。

“レースの世界”に身を置いていることもあり、私がこのバイクに抱いているイメージは「サーキットを速く走るためのマシン」。そして、実際にレースベース車としての役割も担っているので、これも間違いではないと思います。

しかしこのバイクは、ストリートでの扱いやすさや操縦する楽しさも併せ持っています。例えば1000ccクラスだと、サーキットの速度レンジや負荷でようやく本来の性能を引き出せるイメージ。これに対してCBR600RRは、もう少し低い領域が想定されている印象があり、そのおかげでワインディングもめっちゃ楽しいんです!

ワインディングが楽しい適度な車格とパワー感

車格はリッタークラスほど大きすぎず、車重は軽め。常識的な走りで流すレベルでも、前後サスの動きやタイヤのグリップを感じられるようになり、むしろかなりゆっくり走ったときよりも上質なフィーリングが生まれます。またがった段階ではフロントタイヤの位置が近くに感じられ、旋回中に前輪が切れ込んでこないかちょっぴり疑ったのですが、実際にそのような状態になることは皆無。ハンドリングに神経質さがないことも、ワインディングを爽快に流せることにつながっています。

超高回転型の4気筒エンジンは、ミドルクラスとあって適度な馬力&トルク。スロットルバイワイヤによる制御の恩恵もあり、開け始めでドンと前に進みすぎてしまうことがなく、安心して操縦できます。そして5,000rpmから、力強さが一気にアップ。スポーティに走らせるならここから上の領域を使うほうが圧倒的に楽しいし、車体のポテンシャルも活きてくると思います。

ところで、都市部に住んでいてワインディングを中心にツーリングを楽しむとなれば、市街地や高速道路を走って郊外まで抜ける必要があり、リッタークラスのスーパースポーツが一番辛いのはこの部分。でもCBR600RRは、意外と普通にできてしまいます。低回転トルクはリッタークラスと比べたら控えめですが、ミドルクラスなので十分にあり、むしろ扱いやすく感じるレベル。取り回しやUターンも、スーパースポーツとしてはしやすいと思います。

ちなみに、今回はサーキットを走ることはできませんでしたが、レーサーだけでなくファンライド層にも、600クラスというのはとても重要な存在だと思います。これまで未経験の人がいきなりリッタークラスでサーキットデビューしても、直線での加速をちょっと楽しむ程度になってしまいがち。600で「止める、曲げる、開ける」の基本を学んでからリッタークラスにステップアップするほうが確実だし、そもそも600に乗っている段階で、かなりの楽しさを得られると思います。

CBR600RRなら、普段はワインディングを中心としたツーリングを楽しみ、気が向いたらサーキットライディングに挑戦するのにも最適。もちろんリッタークラスも楽しいですが、そこにはない魅力がたっぷり備わっています。

しかも’24年型のCBR600RRは、クイックシフターが標準装備化され、最新排ガス規制適合化や車重1kg減の仕様変更も施されたのに、赤のグラフィックモデルは車両価格据え置きで、さらに価格を下げた黒の新色も設定。約160万円でこの性能と装備を手に入れられるのは、かなりコスパがいいと思います。スポーツライディング好きのベストバイモデルとして推しておきます!

CBR600RR:SHIZUKAの評価

1)スタイリング:レイヤードが少なくてシンプルだけど機能性は高められた外装デザインが、レース用カウルを思わせてくれるので、かなり好み!

2)スポーツ性:サーキット走行だけでなく、ワインディングでの“スポーティ”な走りでも楽しさを提供してくれる、懐の広いスポーツ性が魅力です。

3)ツーリング:意外なほど普通にできますが、より楽しさを引き出すなら、やっぱりワインディング区間を多めに含んだルートを走るのがオススメ!

4)街乗り:交通の流れに対してリッタークラスほど速すぎず、取り回しやすいし足着き性も悪くないので、これまた意外とできちゃいます。

5)コストパフォーマンス:ワインディングからサーキットまで楽しめて、車体基本設計こそ古いけど電子制御は最新。はっきり言ってコスパは最高にいいです!

SHIZUKAのお気に入りポイント

【足着き性のことも配慮されたシート】
ライダー側シートは前側の幅がかなり絞られ、なおかつ上側の角が丸く大胆に削られた形状。内腿にフィットし、優れた運動性能につながるシート高を犠牲にすることなく、公道走行に求められる良好な足着き性も実現されています。

【着座位置や姿勢の自由度が高め】
燃料タンクの前後長や左右ハンドルの幅が短めなので、私の背丈でも車体はコンパクトな印象。かといって小さすぎることもありません。サーキットのライディングフォームを考慮した設計が随所に取り入れられている点も魅力!

●まとめ:田宮 徹 ●写真:楠堂亜希
※当記事は(株)内外出版社ヤングマシン掲載記事(2024年7月号)の内容を編集・再構成したものです。

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