ベテランライダーの中には旧車に乗り続けている人も少なくありません。
ずっと古いバイクばかり乗っていると、現行マシンの情報も入ってこなくなってしまうことが多い様子。
今回はそんなベテランライダーに、Rebel 1100〈DCT〉を乗っていただくことにしました。
現行モデルに否定的?
加藤兼人さんはCB650LC(LC=ラグジュアリーカスタム)に乗っています。
他にも〈ホンダ ゴリラ〉や、キャブレター時代のスーパーカブなどを所有するなど、乗っているのは旧車ばかり。
「旧車を選んでいるわけではないのですが、同じバイクに乗り続けていたらいつの間にか旧車になっていた感じです。」
お友達も旧車に乗っている人たちが多いということです。 中には現行モデルに否定的なライダーもいるそうです。
「最近のバイクは面白くないと言う友達はいますね。それを聞いて僕もなんとなく現行車は面白くないのかなというイメージがありました。」
予備知識なしでRebel1100〈DCT〉と対面
加藤さん、Rebelシリーズに1,100ccのモデルがあることも知らなかったのだとか。
「Rebel 250は街でよく見るので、今はこういうのが売れているんだなという認識はありましたが、他の排気量のモデルがあることは知りませんでした。」
初めて車体を前にして、かなり新鮮だった様子です。
「リッターバイクというと、これみよがしに大きくて重いバイクもありますけど、Rebel 1100は車体がコンパクトで乗りやすそうですね。」
足つきの良さにも驚いています。
「こんなに足つきが良いんですね。これまでシート高なんて気にしたことがなかったけど、とても安心感があります。」
もちろんDCTも初体験です。
「クラッチレバーがないバイクは初めてです。どんな走りをしてくれるのか楽しみです。」
ただ、この時点ではまだRebel 1100〈DCT〉がどんなマシンなのかは分かっていません。
「クルーザー的なスタイルだから、スポーティさを追求したのではなく、ゆったりと走るバイクなんですかね?」
そんな風にイメージしていたようです。
ツインのトルクとDCTに感動
最初に走ったのは観光地近くの大通り。
「混雑した道路だったけど走りやすいですね。すごくトルクがあるので、回転が上がっていなくても自由自在に加速してくれます。これまで大排気量のマルチばかり乗ってきたけどツインってとってもいいですね。DCTのクラッチのフィーリングもとても自然です。ちょっと走っただけですけど面白いです。」
速度域の高いバイパスを走ってもパワー感はまったく不満がないようです。
「普段はとてもジェントルだけど、急加速したいときにスロットルを大きく開けたときはドンと蹴飛ばされるように飛び出すようなトルク感がありますね。こんなバイクに乗ってみたいと思っていました。ドラッグマシンって言ったら大げさだけど、必要なときは凄いダッシュをしてくれます。」
これまでキャブレターのバイクしか乗ったことがない加藤さんですが、電子制御スロットルやDCTの違和感は皆無だそうです。
「どんなときもアクセルにリニアに反応していく感じが素晴らしいです。DCTの完成度は素晴らしいですね。ゆっくり走ってみたり、クルージングから加速してみたりと色々な走り方をしてみたんですが、シフトアップやシフトダウンでタイムラグがまったくない。びっくりしました。」
「街を走っていると本当に楽。今までギアチェンジとクラッチ操作が面倒だと思ったことはなかったけれど、DCTに乗ってからは思っていたよりもストレスになっていたのだということがわかりました。」
パワーモードの切り替えでフィーリングがどのように変化するかも体験していただきました。
「レインモードにすると凄く扱いやすくなりました。これくらいトルクがあるバイクだったら、雨のときにレインモードにすると安心感があるでしょうね。スポーツは機械(DCT)と一緒にバイクを走らせている感じが楽しい。でも普段走るんだったらスタンダードで十分だと思います。」
さらにパワー、セレクタブルトルクコントロール(HSTC)、エンジンブレーキ、シフトタイミングを個別に設定できると知って驚いていました。
予想を超えたスポーティーさ
Rebel 1100〈DCT〉のハンドリングは加藤さんを更に喜ばせました。
「デザインを見て、直線をゆっくり走るバイクなんだろうと思っていたんです。そうしたらコーナーもスポーティーに走ることもできるんですね。」
コーナーの侵入では躊躇せずにバイクをバンクさせてコーナーに侵入していきます。
切れの良い走り方は、見ていて気持ちが良くなるほど。
さすがはベテランといった走り方。
「ハンドリングがいいですね。不安がないから思い切って走ることができる。太いタイヤを履いているのに癖がなくて、低速でもステアリングが切れ込んだりすることもない。どんなときも思った通りに曲がっていけるバイクです。」
「低速で走っているときにふらついてしまうようなバイクって、やっぱりスピードが上がっても安心できないんですよ。でもRebel 1100〈DCT〉は止まるか止まらないかというような超低速で走ったときでもバイクが凄く安定していました。気持ちよくコーナーリングできるのは、バイクから伝わってくる安心感が大きいからだと思います。重心が低いからなのかな。」
「シート高が低いのに乗り心地も悪くないし、ブレーキも良く効いてコントロールもしやすい。フロントフォークの動きもいいですよね。色々な場所を走ったけれど、どんなときも思った通り走ってくれました。」
ベテランライダーこそ乗ってみるべき
現行のバイクは面白くないのではないかというイメージがあった加藤さんでしたが、Rebell 1100〈DCT〉に乗ったことがそんな先入観もなくなってしまったようです。
「実際に乗ったら色々気に入らない部分が出てくるかなと思ったんですけど、でも今日実際に走ってみてネガティブな印象は一つも出てきませんでした。とても良いバイクだと思います。」
Rebel 1100〈DCT〉がかなり気に入った様子です。
「これだったら普段の街乗りやツーリングだけじゃなく、普段の買い物など、ちょっとした用事があるときでもでも使いたくなりますよね。大きなバイク、特に旧車って、どうしても走り出すときに構えるような感じになるじゃないですか。でもRebel 1100〈DCT〉はそういうことがまったくない。取り回しが楽だし、シート高と重心の低くさが落ち着いた感じと安心感を作り出しているから、とても気軽に乗ることができます。」
「癖がなくて乗りやすいバイクは面白くないと言う友達もいるんですけど、それは違うんだということがRebel 1100〈DCT〉に乗って良くわかりました。同年代の友達にも『一度乗ってみたほうがいい」って話そうと思います。乗ってみないと楽しさがわからないバイクですからね。特にDCTは一度みんなに体験させてみたいです。」
長年多くのバイクを乗り継いできたライダーを満足させただけでなく、バイクに対する考え方も変えてしまう。
Rebel 1100〈DCT〉ってそんなバイクなのかもしれません。
【文/後藤武(外部ライター)】