バイクに乗る方なら「サービスマニュアル」という名前は聞いたことがあるでしょうか?
バイクを整備するうえで欠かせないデータが記された書物のことで、バイクの車種の数だけサービスマニュアルが存在します。
それは今も昔も変わらないことですが、昔のバイクのサービスマニュアルって整備のためではなく書物として読むと結構面白いんです。
今回はそんな昔のバイクのサービスデータをまとめたメモリアルサービスアーカイブスをご紹介していきます!
カブの原点、C100編
こちらは現在販売されている、初期型スーパーカブ メモリアルサービスアーカイブスC100編。
一般的に言うサービスマニュアルというのは整備の仕方やデータを記した一冊の本なんですが、メモリアルサービスアーカイブスにはサービスマニュアル以外にパーツリスト、当時の取り扱い説明書を含め、しっかりとした専用のバインダーにまとめられています。
中を開けてみるとこんな感じ。
想像していた以上に高級感があって、しっかり書物として質感の高い作りになっていました。
左側はL判サイズの写真が入るようになっていて、オーナーさんの愛車の写真を飾れるようになっています。
右側には上面にアクリル板が取り付けられていて、中には取扱説明書、パーツリスト、サービスマニュアルの3冊が入っています。
早速取扱説明書から中身を見ていきましょう!
取扱説明書はC100の基本的な乗り方、メンテナンスなどについて簡単に説明しています。
サービスマニュアルだとライダー個人というよりは、バイク屋さんのメカニックが読むことが多いので、専門用語が多かったりしますが、取扱説明書はC100に乗る人誰もが読むものなので、わかりやすくなっていました。
読み込んでいくと「エアクリこんな所に付いてんだ…」など色々な発見があります。
大前提として僕は平成生まれなので、懐かしいとかは一切無く、今のバイクとは違った作りや言い回しが読み物として面白く、新鮮に感じました。
各部にある説明イラストや当時の写真、挿絵がなんだか可愛らしいというのも面白いところ。
「今こんな説明の仕方しないだろうな」という意味でも楽しく読めました。
昔のイラストってなんだか味があって良いですよね!
お次はパーツリスト。
冒頭にある諸元表にさえ時代を感じます。
当時の技術も凄いけど、今のバイクってめちゃくちゃ進化しているんだな、というのが数値でわかります。
このように分解されたイラストがあって、この部分にこの部品がハマる、というのがわかりやすく表記されています。
C100の実車は見たことがありましたが、こういう目線では初見だったのでそこも面白く読めました。
部品番号も表記されていますが、現在の商品規格に合致しないため、修正をしています。
まるでプラモを組み立てる前のようなワクワク感がありますね。
今とは全く違った純正部品の箱の写真も!
この箱も欲しい!!
次にサービスマニュアル。
サービスマニュアルでは基本的にC100の説明と整備の仕方が記載されていて、エンジンの降ろし方、組み方、点検、載せ方などかなり細かいところまで書いてありました。
それは今のサービスマニュアルも同じですが、当時のバイクならではのキャブレターの説明だったり、フレーム単体のイラストだったり、カブファンにはたまらない情報が満載!
長く乗り続けるための整備情報なども載っており、当時からこうやってメンテされてきたんだな、というのが読んでて伝わってきます。
あくまで書物なので、これを見ながらC100の整備ができる、というわけではなく、読んで楽しむものですが、昔のバイクのマニュアルって読んでるだけでも今とは違ったギャップがあるので結構楽しめます!
最初はカブのマニア用書物かと思ってましたが、しっかり所有感のある高級な作りだし、内容もマニアじゃなくても面白く読める部分はたくさんあるので、古いバイクに興味がある方、当時の書物が読んでみたい方にもおすすめできるアーカイブスでした!
伝説のCBX400Fのアーカイブスも!
C100以外にもCBX400Fのメモリアルサービスアーカイブスも販売されています。
こちらはC100とは一味違って硬派なイメージ。
立派なカバーにアーカイブスが収納されています。
中の表紙イラストが結構かっこいいので要注目です。
中を開けると右側にアーカイブスがまとめられています。
CBX400Fのアーカイブスには取扱説明書、パーツリスト、サービスマニュアル、ともう一冊ニューモデルサービスガイドが付いてきました。
それぞれ表紙のデザインも当時の雰囲気で、なんだか昭和な感じが漂ってきます。
取扱説明書とパーツリストはC100と同様にしっかり細部まで説明されています。
クロスしたエキパイだったり、この当時ならではのインボードディスクも詳細に書かれていて、こちらも実車は見たことがありましたが、分解図は見たことなかったので「こういう構造だったのか!」とかなり勉強になりました。
サービスマニュアルもなかなかの面白さ。
C100は1958年発売なので、書き方やイラストがかなり時代を感じましたが、CBX400Fは1981年発売なので、C100と比べると少し新しめの年式です。
なので表現の仕方だったり、イラストの説明クオリティが上がっていました。
DOHC・16バルブ・4気筒エンジンなのでかなり高性能になってきています。
より細かい作りになった分、内容もかなりの細かさ。
「オイルラインってこうやって通ってるんだ」と知っても全く役に立たないかもしれませんが、こういうので感動できるって幸せだと思います。
いつか役に立つ日がくる?はず。
まさかだったのはこの言い回し。
キャブレータ…?
C100ではキャブレターと表記されていたのにCBX400Fになってなぜか伸ばし棒の位置が変わってました笑。
おそらく当時のホンダの表現の仕方の問題だと思いますが、こういうのも当時のまま表記されているのが面白いポイントです。
HAWKシリーズも登場!
そして第6弾として新たに発売されたのが、CB250T HAWK/CB400T HAWKⅡのサービスアーカイブス。
こちらは1977年発売のモデルで、先程のCBX400Fよりも少し古い年式のモデルです。
また表紙のイラストがかっこいい…!!
中を開けてみると、こちらにはA4サイズのポスターが同封されていました!
この付録は当時のデザインスケッチを用いた貴重なポスターです
他には取扱説明書、パーツリスト、サービスマニュアルの3冊が綺麗に収納されています。
取扱説明書の色がこちらは青になっていて、サービスマニュアルの青の色味もCBX400Fは真っ青、CB250T HAWK/CB400T HAWKⅡは青だけど若干暗い色味に変わっています。
取扱説明書の中身は、400ccと250ccそれぞれ解説されています。
基本的にはCBX400Fと同様に、基本操作を簡単に説明していますが、棒ヒューズってところに時代を感じました。
取説の最後にある自社広告ページ?も当時のまま!
さすがに住所や電話番号は伏せ字になっていますが、当時からホンダが交通安全に取り組んでいたのがわかります。
パーツリストも細かいところまでしっかりイラストで表現されてますね。
この当時のパーツは今ではほぼ廃盤になっていると思いますが、部品点数や構造をしっかり理解できるので、実車に乗っていないし持ってもいないのにオーナー気分に浸れます。
サービスマニュアルも中々の奥深さ。
CB250T HAWK/CB400T HAWKⅡはマスの集中化や250cc、400ccクラスでは初となる超ショートストローク・エンジンなど、当時では最新鋭の技術が投入されたバイクだったため、サービスマニュアルもより濃い内容になっている感じがしました。
走っている姿は見たことがありますが、タンクを外してメンテしているところや、エンジンが降りたフレームの状態などは見たことがなかったので新鮮でした。
当時にしては真新しかったエンジンの振動を軽減するバランサーの仕組みというのもわかりやすく表記されています。
読んでいてただ古いバイクの情報が新鮮なのではなく、これをきっかけに知識が増えたり、勉強するきっかけになるのが面白い部分です。
早速付属のポスターを張ってみました。
位置決めしていないので、画鋲で止めただけですが、めっちゃかっこいい…!!
凄くリアルなイラスト、というよりは味のあるタッチで、書いた方のHAWK愛が感じられるポスターとなっていました。
本棚に置くだけでできる風になる
バイク屋さんに行くと裏方にサービスマニュアルがびっしり並んでいて感動したことがありますが、メモリアルサービスアーカイブスが並んでいるのも中々絵になります。
試しにガレージの本棚に並べてみると、一気に旧車メンテをめっちゃやってきた人感を演出できました笑。
読んでも面白いし、飾っておいても何かと絵になるアイテムなので、このバイクに詳しいマニア向け、というわけではありません。
あまり知らないからこそ、教科書代わりに読んでみるのも面白いと思います。
見た目も中身もかなりしっかりした本ですが、どれも1万円以下で入手できます。
実物を見るとこれをこの値段で買えるなら全然アリだと思いました!
気になった方は是非手にとってみてください!
メモリアルサービスアーカイブスC100編の詳しい情報はこちら!
メモリアルサービスアーカイブスCBX400F編の詳しい情報はこちら!
サービスアーカイブスCB250T HAWK/CB400T HAWKⅡの詳しい情報はこちら!
【文/佐藤快(外部ライター)】