せっかくバイクに乗っているなら、大切な人や友人とタンデムツーリングに出かけてみたい! と思うはず。
じゃあ、バイクの2人乗りで気を付けなければならないポイントって?
はじめてのタンデムツーリングを安全に楽しむには?
一般的にバイクは1人で乗ることが多いと思いますが、125cc超のバイクは基本的に2人乗りできる設計になっているので、パッセンジャー(後ろに乗る人)を伴ったタンデム(2人乗り)ツーリングを楽しむことができます。
ですから、友人や大切な人とのタンデムツーリングもしてみたい! と考えるのは自然なことです。
ちなみに教習所で習う範囲なので、ライダーの皆さんならご存知の方も多いと思いますが、バイクで2人乗りをするには法規的な条件があります。
そちらは以下の記事で解説していますので、よろしければご覧ください。
しかし法規的な条件をクリアしても、後ろに人を乗せて運転するのと、1人で乗る時とは勝手が全く違います。
バイクのタンデム走行では、ライダーとパッセンジャーが「お互いを思いやる行動」をとらなければ十分に楽しむことができません。
ですからタンデムツーリングに出かける前に、ライダー&パッセンジャー共に注意するべきポイントをしっかり知っておきましょう!
いちばん慎重になるべきはバイクの乗り降り!
タンデムツーリングにでかけるには当たり前ですがバイクに乗車しなければなりません。
ですが、ここがバイクのタンデム走行において一番気を付けなければならないと言っても良い最大のポイント。
ライダーがバイクに跨ってから次にパッセンジャーが後部座席に乗るのが手順ですが、その時にバランスを崩すと転倒の恐れもあります。
そうならないために以下の手順をしっかり確認してからバイクに乗りましょう。
1:安全確認を忘れずに!
まずは1人でバイクに乗る時と同じように、乗車する際には周囲の状況が安全かどうか確認しましょう。
この時、ライダーだけでなくパッセンジャーもしっかりと安全確認を行いましょう。
2:ライダーが乗車
ライダーは乗車したらパッセンジャーの乗車を促しますが、その際バイクを安定させるためしっかりフロントブレーキを握りましょう。
同時にギアを1速に入れておいて、バイクが動かないように保険を掛けておくという手段もあります。
サイドスタンドを出したままにしておくと、万一ふらついてもバイクが倒れる心配はないので安心です。
慣れてきたらバイクを起こしてからの乗車でも大丈夫ですが、慣れないうちはサイドスタンドでバイクを支えた状態のままパッセンジャーに跨ってもらうのが安心です。
3:パッセンジャーの乗車
ここが一番注意するべきポイント!
まず、ライダーはパッセンジャーを乗せられる体勢整ったら、パッセンジャーに合図します。
このときパッセンジャーはライダーの合図があるまで勝手に乗ろうとしないようにしてあげてください。また、乗車する際にもライダーに「乗るね!」など、しっかりと声をかけて、返事を聞いてから乗車しましょう。
乗車する際はバイクの左側から乗ります。膝からバイクを跨ぐように乗ると乗りやすいですよ!
また、乗車した後パッセンジャーの掴まる場所ですが、基本的にはグラブバーやタンデムベルトを掴みます。
ですが、ライダーやパッセンジャーによってどこに掴まって欲しいか、掴まりたいかが異なるので、走り出す前に相互でしっかり確認しておきましょう。
4:パッセンジャーの降車
降りる際もコミュニケーションを怠らないようにしましょう。
ライダーは停車したらサイドスタンドを出し、バイクを安定させます。
パッセンジャーは、ライダーの合図を待ってから「降ります!」としっかり合図を送ってから降車しましょう。
走り出してからはココに注意!
無事に乗り降りが出来たら、あとはツーリングを楽しむだけ!
……と思いきや、タンデムツーリングでは走行中にも注意しなければならないポイントが多々あります。
ライダー、パッセンジャーはそれぞれ以下のようなポイントを知っておきましょう!
ライダーが注意するべきポイント
まずライダーは急加速、急ブレーキといった“急”のつく操作はなるべく避けるようにしましょう。
急加速をするとパッセンジャーは怖いですし、最悪の場合、振り落とされてしまうリスクだって考えられます。ライダーは加速していく際、ゆっくりアクセルを開けるよう心がけましょう。
また、急ブレーキもパッセンジャーに負担をかける原因です。ブレーキをかける際はなるべく早めから、こちらもじわっと減速するのが良いでしょう。
タンデム走行ではリアブレーキをメインで使用すると車体が前側につんのめることを抑えることができるので、パッセンジャーの負担を減らすことができます。
加速減速において、なるべくバイクが前後に揺れないよう配慮するのがポイントですよ!
また、2人乗りになるので重量が増して制動距離は伸びるので危険予測やより余裕のもったブレーキングが必要になります。
パッセンジャーが知っておきたいポイント
次にパッセンジャーが注意するべきポイントですが、まずはしっかり補助装置(グラブバー、タンデムベルト)やライダーに掴まることです。
はじめてのタンデムの場合、パッセンジャーはしっかり掴まるところが無いと「怖い」と感じるはずです。そのうえライダーも安心して運転することができなくなってしまいます。
両手でしっかりバイクやライダーに掴まり、膝でライダーの腰を挟むニーグリップもしっかり行うことがポイント。
タンデム走行が初めてだったり、異性だったりすると少し恥ずかしいかもしれませんが、安全にタンデムツーリングを楽しむためには必要なこと! しっかり掴まりましょう!
また、バイクは車と違い「車体を傾けて曲がる乗物」です。カーブでは曲がる方向にバイク、ライダーが傾きます。
しかし、この時にパッセンジャーが、バイクの傾きと反対側に身体を起こしてしまったりするとバイクが上手く曲がらなくなってしまいます。反対に、過度に身体を内側に入れてしまっても意図した以上にバイクが曲がってしまうことがあります。
最初はバイクが傾くのが不安かもしれませんが、基本は自転車と同じなので、すぐに慣れるはずです。パッセンジャーは走行している間は“荷物になりきる”くらいが丁度いいですよ!
もちろん、ライダーも不要にバイクを深く傾けることは避けるべきでしょう。
タンデムツーリングを快適にする豆知識
タンデムツーリングに出かける際には、ライダーだけでなくパッセンジャーもライダーと同等の装備を用意しましょう。ヘルメットはジェットヘルメットかフルフェイスヘルメット。ジャケットやパンツはプロテクターが装備されているものが望ましいです。
また、バイクでのタンデム走行中は基本的にお互いで話すことができません。ヘルメットに装着することで通話ができるようになるインカムなどを利用すると、よりタンデムツーリングを楽しく快適にすることができます。
しかしそういった装備が用意できない場合には、背中を軽く叩くなど意思疎通できる合図を決めておくといいでしょう。
ライダーは走りだす前にパッセンジャーに注意するべきポイントなどをしっかり教えてあげることが大切ですよ。
2人で協力してタンデムツーリングを楽しもう!
ご紹介した通り、バイクでのタンデム走行ではライダー、パッセンジャーがお互いを思いやった行動が重要です。
でも、やはり知識として知っていてもタンデム走行は実際にやってみなければそれらの重要性を実感できません。
なので今回は実際に筆者が半日ほどタンデムでショートツーリングを体験。
次の記事ではライダー、パッセンジャーそれぞれの視点で感じたポイントをまとめた応用編をお送りします!
《応用編は明日公開です!》
▼タンデムツーリングを安全に楽しむには、こちらの動画もオススメです
【文:石神邦比古(外部ライター)】