レース参戦とイベント出演の多忙な日々を送る岡崎静夏さんが、今月の相棒に選んだのはレブル500。息抜きツーリングや日常移動で初めて乗ったレブル500は想像以上に魅力的だったようで、中でも“ちょうどよさ”を大絶賛!
クルーザーの入門編としてもっと注目されるべき!
長い夏休みも終わり、全日本ロードレース選手権はシーズン後半戦に突入。ツーリングやサーキット走行会、トークショーなどのイベントに呼んでいただく機会も多く、今秋も11月あたりまでほぼ休みなしで突っ走ることになりそうです!
そんな忙しい日々ではあるのですが、今月は前々から気になっていたレブル500をお借りして、しばらく相棒を務めてもらいました。
’17年に初登場し、’20年型で現行型と同じ4眼ヘッドライトを用いた灯火類のフルLED仕様化、アシスト&スリッパークラッチの新採用、前後サスペンションの仕様変更などが施されたレブル500。
’23年型は4年ぶりの変更で、最高出力と最大トルクを完全に維持したまま最新排ガス規制に適合化し、カラーバリエーションも一新されました。
ちょっと前に、レブル500が開発ベースのCL500に乗る機会はあったのですが、私の記憶が確かなら、レブル500に乗るのは今回が初。車体が基本的に共通化されているレブル250は軽二輪クラスの国内ベストセラーですし、シリーズの頂点に立つレブル1100シリーズも高い人気を維持しているのに対して、レブル500は日本だとややマイナーな存在かもしれません。
でも本当は、日本の公道とレブル500の相性は最高で、“ちょうどいいホンダ”なんです!
市街地でも高速道路でもゴヒャクの余裕あり!
レブル500は、極端すぎない設計とはいえクルーザータイプということもあり、一般的なスポーツバイクと比べたらニーグリップやステップワークがしづらい傾向にあります。そのため、エンジンが操りづらいと挙動を乱すことにつながりそうですが、低回転域トルクが太すぎず、高回転域でもパワフルすぎず、なんの気難しさもありません。
それでいて、最高出力26psの250と比べたら20psもパワフルで、最大トルクもぴったり倍増しているので、250だと物足りなく感じるシーンで気持ちよく走れます。とくに、タンデムとか荷物満載で旅するような場合に、同じ車体の250とはかなりの差を感じるはずです。
また、日本の高速道路では近年、最高速が120km/hに設定されている区間が増えました。レブルはトバして走るようなバイクではないとはいえ、500は250と比べて高速巡航時にエンジンの余裕があり、250でも120km/h巡航は可能ながらも、高速道路を長距離走るときには、500のほうが疲労も少ないと感じました。
車重は250より20kg増ですが、それでも191kgで、シートもかなり低いので、身長158cm女子でも気軽に操れます。1100もシート高は700mmでほとんど同じなのですが、あちらは30kg以上重くて車体は大柄。もちろん、1100が持つリッタークラスならではの迫力は魅力的なのですが、エントリーライダーや小柄な女性だと、駐車場での取り回しなど手強さを感じるシーンも増えると思うので、重量差を考えても500を推したくなります。
前後サスはベーシックな仕様ですが、乗り心地は意外と快適。ファットタイヤのエアボリュームが、路面の段差やギャップを通過したときの衝撃吸収を助けてくれているお陰かもしれません。
レブル500はいわゆるアメリカンクルーザーですが、そこまで極端な車体設計はされておらず、低く身構えたルックスながらホイールベースは1490mm。ミドルクルーザーとしてはそれほど長くありません。そのおかげで、ハンドリングにも本格的クルーザーにありがちな独特すぎるクセなどはなく、どこか”ネイキッドの延長”くらいの雰囲気で操縦できます。だから、クルーザーの入門編にも最適。あるいは、体力的に厳しくなってきたベテランの方々が、より気軽にバイクライフを楽しむためのモデルとしても、きっと向いていると思います。
もちろんこれらの長所は250も共通ですし、250に乗ったときにこれといった不足を感じていたわけではないのですが、500はほぼ同じ車体のまま動力性能をそっと底上げしてくれていて、乗るとそのちょうどよさに大満足できます。
471ccという排気量から、日本では大人気の250や1100に押され気味の存在になりがちですが、レブル500はもっと高く評価されていいバイクだと思います!
Rebel 500:SHIZUKAの評価
1)スタイリング:チョッパーみたいに個性が強すぎるわけではないので、ネイキッドバイク好きの私にも受け入れやすいデザインだと思います。
2)スポーツ性:サスやタイヤを機能させて……というバイクではないですが、こういうルックスのワリには、意外とスポーティに走れますよ!
3)ツーリング:中高速域である程度の余裕があるエンジンのおかげで、ルートに高速道路区間を多めに含むツーリングも快適。気軽さも魅力です。
4)街乗り:ミドルクルーザーとしては短めのホイールベースなので、狭い路地でもそれほど扱いづらさはなく、意外と普段使いできちゃいます。
5)コストパフォーマンス:250と約22万円の価格差があり、性能とのバランスをどう考えるかで評価が分かれそう……。とはいえ、リーズナブルに楽しめます。
SHIZUKAのお気に入りポイント
【ボリュームのあるフロントタイヤ!】16インチ径のフロントタイヤはワイドな130サイズで、なおかつ90扁平というファットタイプ。これを比較的コンパクトな車体と組み合わせることで、前輪の存在感を高め、クルーザーとしての迫力あるルックスを構築しています。
【マット系なのに“キラキラ”入り】’23年型で刷新されたカラーバリエーションのうちブルーは、マット調でありながらよく見ると細かいラメが入っていてオシャレ。光が当たる角度や量などにより印象が変わる表情豊かな塗色で、オーナーを楽しませてくれます。
●まとめ:田宮 徹 ●写真:楠堂亜希
※当記事は(株)内外出版社ヤングマシン掲載記事(2023年11月号)の内容を編集・再構成したものです。