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GB350は普通に走ってるだけで幸せ。排気量やパワーなんて、このバイクには関係ない【ホンダの道は一日にして成らず 第14回/Honda GB350 ツーリング編②】

GB350の『見た目』をカッコいいと思ったら、その走りが気になるのは道理です。ちなみにGB350って、特別にスゴいことしなくても、幸せを感じられるバイクなんですよ?

GB350を感じるのに『特別なこと』は必要ない

ゆっくりとGB350を走らせる時間が欲しい。試乗会でこのバイクに乗ってからというもの、ずっとそう考えていましたが、ようやく実現しました。

そうして2回目のGB350と向き合って、まず私(北岡)が『やっぱりコレいいな』と思った最初のこと。

それは『特別なことが必要ない』っていうものでした。

いつものこと、に嬉しくなる

何のことはない話です。

バイクを引っ張り出して、セルを回し、エンジンに火が入る瞬間。マフラーから単気筒エンジンらしいサウンドが吐き出され、調子を確かめるように2~3回ほど軽く空ぶかし。

もう、それだけで嬉しくなるんです、このバイク。

GB350を含め最新のバイクには、入念な暖機運転は特に必要ないとされています。

だけど、気分的にエンジンが温まるのをすこし待ちたい気持ちになる

規則正しくアイドリングするGB350の隣でヘルメットを被り、グローブを装着する。そんな短い時間の中でさえ、自然と顔がほころんでくるんです。

その後はシートにどっかりと座って、ハンドルバーを握り、サイドスタンドを払う。

そこでなぜかホッするような優しさを感じつつ『よーし行くかぁ』ってワクワクする。

ここまですべて、バイクに乗る時には『誰もがやる当たり前のこと』ばっかり。

ツイスティなワインディングでなければ熱くなれないとか、彼方にある絶景に至るまで楽しさを感じられない、なんてことはありません。

ただ、いつもどおりの流れ。そこに大きく幸せを感じられるのがGB350っていうバイクだと思います。

そして、笑っちゃうくらいに『ぜんぜんスピードを出す気にならない』のもGB350の好きなところ。

ただ真っ直ぐに、一定速度でゆったりと流す。

排気量348ccの空冷単気筒エンジンはピークトルクを3000回転の低さで発生するトルキーな特性なんですが、ゆっくりと流す時、私はたぶん3000回転すら回してないと思う。

極低回転域まで素晴らしく粘り強いエンジンの、おそらく2,000~2,500回転あたりを行ったり来たり。

タコメーターが無いので正確な回転数はわかりません。でも、そんなのどうだっていいんです。だって、それで気持ちよく走れちゃうんですから。

不快さを取り除いて、心地良さだけを抽出したエンジンの鼓動は、初見の時はやや控えめだと感じていたけど、静かに流している時にはなかなかの存在感をライダーに伝えてくるっていうこと、今回はじめて気づきました。

そして私が『GB350最大の魅力』だと思っている排気サウンドは、やっぱり快感そのもの。

試乗会の時の感想にも書きましたが、GB350って抜群に音がいいんですよ。

周囲を威圧するような迫力のサウンドじゃありません。パタパタッ!という空冷単気筒エンジン独特の音を乗り手に届け、優しく包んで、恍惚とさせてくれます。

本当に素晴らしいなって思います。

このバイクは普通に走るだけで、たくさんの幸せを感じられる。

ワインディングも絶景も無くていい。贅沢を言っても良いなら、青い空だけあれば最高の気分になれる。

GB350は最高出力20馬力で、排気量348ccの中型バイクです。

でも、パワーも排気量も、このバイクで走っている間はどうだっていいことにしか思えません。

やっぱりいいなぁ、GB350。

だってね『普通に走っているだけで幸せ』なんて、ちょっと最高じゃないですか!?

【文/北岡博樹(外部ライター)】

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