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冬のバイクで『手』と『膝』が冷えるのを避けたい理由。ド根性で『我慢する』はおすすめできません……【バイクライフ・ステップアップ講座/寒さ対策の心得】【Safety】

冬のライディングで『寒さを感じる部分』は実は一定ではありません。

特に冷えやすい部分をピンポイントでケアすれば、効率的に防寒できるのをご存じですか?

冬でも平然と走っているようにみえる人はどんな寒さ対策をしている?

寒い冬に走行風を受けながら走っているはずなのに、外から見た感じだと『別に寒くなさそうに見えるライダー』っていますよね?

冬場に走りなれたライダーは極寒時でも快適に走れるバイク専用の防寒ライディングウェアを適切に身に纏っていることはもちろん、ホットインナーや保温性の高いミドルインナーなど、必要なウェアを効果的にレイヤリング(重ね着)しています。

しかし、それでも寒さを感じるのが日本の冬。極寒時にバイクで長時間走った後は身体が冷えきってしまうこともあります。

でもここでひとつ知っておいて欲しいのは、バイクに乗っている時に身体の特に冷えやすい場所や冷え方には違いがでてくる場合があるということ。例えば「身体はけっこう大丈夫だけど、手だけが異常に寒い……」など、冷え方や寒さの感じかたが必ずしも一定ではないケースが多いんです。

冬場でもツーリングを平然と楽しんでいるように見えるライダーは『寒さに特別強い人』というわけではなく、特に寒さを感じやすい部分を効率的に冷やさないようにしています。

そこで今回は、冬場のツーリングで特に寒さを感じやすい身体の3ヶ所や、その場所が冷えるとどのようなリスクがあるのかを解説します。

走行風で長時間冷やし続けるのを避けたい身体の3ヶ所って?

冬のツーリングで最も寒さを感じやすいシチュエーションのひとつに、高速道路を長時間走っているシーンを思い浮かべる人は多いと思います。

真冬の高速道路を走るシーンでは、外気温の寒さに加えて時速100km/hで走っている時の走行風も浴びていることになります。環境や条件などにもよりますが、その時の風速は台風並みのおおよそ25m/sとも言われ、そのような状況下で長時間走り続けていると体感温度は氷点下を下回っている場合もあるとされます。

このようなシチュエーションでは、走行風をダイレクトに浴びるハンドルを握る「手」からまず冷えはじめ、次に「首元や身体」などが寒さに感じ、車種やウェアによっては「下半身」も冷えを感じるようになっていきます。

真っ先に冷えを感じる『手』は、かじかんでしまう前の休憩が肝心

しっかりとしたバイク用の防寒装備をしていれば身体の寒さは意外に平気でも、ハンドルを握る「手」は最も走行風を受けやすい部分のひとつなので、冬用のバイクグローブをしていても時間と共にだんだんと冷えてくる場合があります。

人間の身体は末端の手足が冷えやすく、さらに寒さに敏感なところでもあります。特に手の寒さは一度冷えてしまうと暖房などで温めない限り、なかなか元に戻りませんよね……

しかしハンドルを握る手がかじかむほどに冷えてしまうと、スロットル操作やレバー操作に支障を来すことがあるので、手が冷えきっても我慢して走り続けるのは安全面においても避けたいところ。

ちなみに冬場に走りなれたベテランライダーは、それほど身体の冷えを感じていなくても「手の冷え」を強く感じたら、かじかむほど冷えてしまう前に暖をとるための休憩します。彼らは経験上、手指が冷え切ったしまうことのリスクを心得ているので無理をしません。

上半身よりも寒さを感じにくい下半身は「膝の冷え」を特に意識したい

バイクは走行風を受けやすい上半身やハンドルを握る手や腕などに比べ、シートに座りタンクを膝で抱えている下半身は比較的、寒さや冷えを感じにくい部分かもしれません。

カウルのあるバイクや車体の形状によってはライダーの足に直接走行風があたりにくいモデルもありますし、人によっては下半身は一般アパレルのジーンズだけでけっこう大丈夫という人もいたりします。

しかし、このようなケースでも注意したいのが「膝の冷え」です。

手や上半身に比べて寒さを感じにくいとされる下半身は、膝が冷えていることにライダー自身が気がつきにくく、高速道路で長時間同じ姿勢をとっていると脚への血流もかなり鈍ってしまっている場合があります。高速道路ではSA・PAでの休憩や激しい渋滞時をのぞけば、足を地面に着くということが基本的にありません。しかし一般道に降りて、信号や止まれの標識などが急に現れたときに、冷え切った下半身の動きが鈍く予想外の立ちゴケ…… なんてことがおきてしまう場合があるんです。

長時間かけて高速道路を走った後は、自らの脚や膝が冷えすぎていないかも注意しておきたいところです。

ネックウォーマーは必需品! 人間の身体は「首元」が冷えると全身が寒く感じる

冬の時期はバイクツーリングに限らず「首元」が冷えるだけで身体全体に寒さを感じてしまうことがあります。

人間の首元は“体温調節の中心”と言われるだけあって、頚動脈や内頚静脈などの重要な血管が集まっていて、血流を調整しながら体温を一定に保とうとしています。

そんな首元が冷えると体温を調節する機能も鈍ってしまい、身体全体が冷え、寒く感じてしまうわけです。

冬に走りなれたベテランライダーは必ず首元を冷やさないように心掛けています。ちなみに首の冷えはネックウォーマーなどを着けるだけでもある程度は解決できます。最初は首元に違和感があると感じる人もいるかもしれませんが、すぐに慣れるので是非試してみてください。

ベテランライダーほど「芯から冷えてしまう前の休憩」を上手に行っている

真冬のツーリングではここまでに紹介した「手」「膝」「首元」に冷えを感じたら、全身が冷えてしまう前に暖をとるための休憩を定期的に行うのが理想です。

外気温や走行風などで一度身体が芯から冷えてしまうと、体温が元に戻るのにかなり時間がかかるだけでなく、再び走り出してもまた直ぐに寒さを感じてしまいます

特に高速道路を長時間走るようなシチュエーションでは、他の季節よりも休憩をとる回数や時間を多めに取れるように、あらかじめスケジュールに余裕を持たせて走るようにしたいところ。冬場は路面状況や気温だけでなく、ライダー自身も他の季節と同じようには走れないのだと心得ておきましょう。

またSA・PAなどで休憩する時は、冷えた身体をしっかり温められる暖房の効いた施設内に入り、温かい飲み物や食事をとって身体の内からも温められるとよいでしょう。

走って冷えた身体を一度完全にリセットさせるくらいの気持ちで、他の季節よりも長めの休憩をとるようにすると冬場のツーリングでも凍えるような寒さを緩和させることができます。

手が温かいだけで気持ちまであったか! グリップヒーターは冬の安全装備

また冬場のツーリングをより快適に走りたいなら、ハンドルに「スポーツグリップヒーター」を取り付けるのがおすすめです。

Hondaのラインアップモデルは、スポーツグリップヒーターが標準で搭載されているモデルもたくさんあり、非搭載のモデルでもほぼ全ての車種に別売のグリップヒーターや専用のアタッチメントキットが用意されています。

社外品の汎用グリップヒーターだと、装着にちょっと加工などが必要だったりする場合もありますが、Honda純正グリップヒーター はそれぞれの車種専用にハーネスやアタッチメントがラインアップされていますので、まさに完璧な装着感になります。

冬のツーリングで最も冷えやすい「手」が温かくなるだけで、長距離の移動や気温の下がる朝夕の時間帯でも手がかじかんでしまうことによるリスクを回避できます。グリップヒーターはもはや「冬の安全装備」とも言えるでしょう。

いかがでしたか?

冬場のツーリングは確かに寒いですが、特に寒さを感じやすい「手」「膝」「首元」の3ヶ所をできるだけ冷やさないように心がけて走ると快適がグッと増すので、対策をしていない人は一度試してみてください。

大事なのはしっかりとした冬用ライディング装備と効率的な防寒方法、定期的な休憩の3つ。

そこをきちんと押さえておけば、この時期でしか味わえない『冬ならではのツーリングの魅力』が楽しめるようになるはずですよ!

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【文:岩瀬孝昌(外部ライター)】

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