真冬に走る時のグローブはスキー用や登山用など「温かければバイク用じゃないグローブでも大丈夫でしょ?」なんて思っていませんか?
いえいえ、それだと実はすごくもったいないことをしているかもしれませんよ⁉︎
冬のグローブも『バイク専用』を選んだ方がいい理由って?
じっとしていても寒い冬の時期、さらに走行風を受けながら走るバイクツーリングにおいては、その環境にあったライディングギアを適切に選ぶ必要があります。
しかし、ライディングジャケットはしっかりとしたウェアを選んでいても、グローブにはそれほどこだわりがないという人もいるかもしれません。
基本的にライダーは着るものや身につけるものでしか防寒対策ができませんが、寒い時期に走り慣れたライダーはどんな冬グローブを選んでいるのでしょうか?
そこでこの記事では冬用のバイク専用グローブがなぜ寒い時期でも快適に走れるのかをチェックしてみたいと思います。
温かいのは大前提! そのうえで『バイク用』防寒グローブはライダーを助ける機能がたくさん
今回はHondaライディングギア2024 秋冬モデルにラインアップされている「プロテクトウインターショートグローブ」を題材として、秋冬用のライディンググローブの機能性や快適性について解説してみたいと思います。
様々な車種のデザインに合うシンプルな外観でありながら、冬のバイクライディングに必要な機能性とプロテクション性能を備えたショートカフスタイプのグローブです。
まず注目したいのが手のひら面。一般アパレルやスキー・スノーボード用、登山用とは大きく異なるデザインや作りになっています。
それではこのグローブの各部を拡大して、どんな機能性が詰まっているのか細部を見ていきましょう。
手を動かしやすく保温性に優れるインナー素材
意外かもしれませんがバイク用の冬用グローブは一般アパレルの冬用グローブと比べると、生地全体の厚みがやや薄めに感じられる作りになっているものが多いです。
「冬のグローブって分厚いほうが温かいんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、バイクはハンドルグリップを握りながらのアクセル操作やレバー操作などを頻繁に行うため“ウェアの着膨れ”と同じで生地が厚すぎると操作がしにくくなってしまいます。
バイク用の冬用グローブは生地の厚みは比較的薄めでも、走行風をグローブ内に通しにくい防風性や薄くても保温性の高い素材を効果的に使っています。ですからグローブ全体の厚みを抑えながらも温かい作りになっているんです。
様々な生地素材を使い分けたバイク専用カッティング
バイク用の冬グローブと一般アパレルの冬グローブは、グローブそのものの作りが大きく異なります。
写真のグローブをよく見てみると、部分的に異なる生地を使い分けて複雑な作りになっているのがわかりますね。
もちろんグローブの種類にもよりますが、手や指の動かしやすさを損なわないために、指先や関節部分などで生地素材を変えていたり、よく動かす部分にはプリーツ素材を縫い合わせるなど、バイクの操作性や快適性を考慮した3Dカッティングになっています。
こちらのよりスポーティなデザインの「Honda カーボンプロテクトグローブ」は、テキスタイルとレザーを使い分けた作りになっています。
強度や耐久性が必要な部分にはゴートレザーが使われ、よく動かす部分には透湿性や通気性が高いポリエステルなどのテキスタイル素材を配するなど、機能性を高めたデザインになっています。
万が一の際のダメージを軽減させるナックルプロテクター
バイクの冬グローブと一般アパレルのグローブの最大の違いは、万が一の時のプロテクション性能です。
種類にもよりますが、バイク用のグローブには拳部分に転倒時の衝撃や擦り傷を和らげるためのナックルプロテクターが装備されているのも多くあります。
こちらの「プロテクトウインターショートグローブ」は拳部分に内蔵式のナックルガードを装備していながらもスッキリとしたデザインになっています。
また、スポーティなデザインの「カーボンプロテクトグローブ」では高い防御性能を誇るカーボン製のナックルガードがビルドインされています。
サーキットなどのクローズドコースを走る際に使われるレーシンググローブと同様のプロテクション性能を持たせつつ、冬のツーリングでも扱いやすいデザインになっています。
転倒時に滑らせて衝撃を受け流す掌スライダー
そして多くのバイク用グローブには、掌にスライダー・プロテクションが装備されています。
このスライダーは万が一の転倒時に「滑らせる」ことで衝撃を逃がし、手にかかるダメージを軽減する仕組みになっています。
バイクでの転倒時は掌を真っ先に地面に着くことが多いので、あえて滑らせることで衝撃を受け流せるようになっているんです。
軽い力でハンドルを握れるハンドルグリップの滑り止め
多くのバイク用グローブには、掌の親指の関節部分から小指の付け根部分にかけて、グリップが握りやすい滑り止めパーツが装着されています。
この滑り止めグリップが付いていることで、ハンドルグリップとグローブに密着感が生まれ、軽い力でハンドルを握ることができます。
グローブをしたままでもスマートフォンなどが操作できる特殊皮革
Hondaライディングギアにラインアップされている秋冬用のグローブは、ほとんどのモデルがスマートフォン対応グローブになっています。
グローブの人差し指には、スマートフォンのディスプレイを操作できる「特殊皮革」が使用されています。
グローブをしたままでもスマートフォンの操作ができるので、バイクを降りてちょっと調べ物をしたり、メッセージのチェックなどをするのにも便利です。(※スマートフォンの種類によっては作動しないディスプレイもあります)
また、人差し指や薬指の先端に、レバーの滑り止め素材が装着されているグローブもあり、クラッチやブレーキを操作するときに滑りにくい仕様になっています。
夜間の被視認性を向上させるリフレクタープリント
こちらのHonda プロテクトウインターショートグローブにデザインされている「Hondaロゴ」「ウイングマーク」は実はリフレクター素材になっています。
ツーリングの帰りが遅くなった時や、夜間の走行などで、対向車などのヘッドライトがリフレクターにあたって光ることで被視認性を高めてくれます。
水滴を弾く透湿防水フィルム内蔵で急な雨でも安心
そして、グローブの種類にもよりますが、バイク用の冬グローブには水を弾く防水透湿性素材が使われているものが多くラインアップされています。
こちらのプロテクトウインターショートグローブには、透湿防水性が高い“HiPORA®”が内蔵されていて、突然の雨に振られてもグローブ内まで雨水が浸透しにくい素材が使用されています。
表面の水滴を通さず、内部のムレを防げる透湿性も高いので、冬の条件下でも快適にツーリングすることができます。
温かさに加えて冬ツーリングを快適にしてくれる機能が満載
いかかでしたか?
冬のツーリングは保温性の高いライディングジャケットはもちろんですが、寒い時期に走り慣れたライダーほどバイク用の冬グローブにはこだわっています。
バイクは極寒時のツーリングほど「手」が最も早く冷え始めることが多いです。手がかじかんでしまうとブレーキやクラッチのレバー操作に支障を来たしてしまうこともあるので、保温性が高く、手が動かしやすくて快適なグローブが欠かせません。
冬用のバイクグローブをしっかり着用することで、安全性の向上だけでなくスムーズにライディングができるようになるので、寒い時期でもバイクに乗るのが楽しくなります。
皆さんもお気に入りのバイク専用グローブを見つけて、冬でも温かくて快適なツーリングを楽しんでくださいね!
【文:岩瀬孝昌(外部ライター)】