ヘルメットはバイクに乗るうえで常に着用しているアイテム。
ライダーにとって必需品ですが、毎日乗る方でも、週末限定で乗る方でも、夏の時期に一度被ったら誰しもが大量の汗をかくはずです。
毎回使うものだからこそ、清潔に保っておきたいところ。
そこで今回はアライヘルメットに内装、外装の自宅でできるメンテナンス方法を教えてもらいました!
今回お聞きしたのはこちらの方!
今回お話をお聞きしたのはライダーなら誰もが知っている国産ヘルメットメーカー、アライヘルメット広報担当の上(カミ)さん。
ヘルメットの開発や試験などを行って培ってきたヘルメットの知識をベースに、ヘルメットのメンテナンスについて今回取材していきます。
ヘルメットの内装は洗濯機でも洗える!
まずは最も汗を吸収して汚れやすいヘルメットの内装から。
アライヘルメットの取扱説明書によると、内装を取り外して手洗いする方法が記載されています。
しかし、超個人的な意見ですが、内装を外して手洗いして干す、というのは少し面倒に感じてしまい、ついつい使い続けてしまいます…。
一番理想なのは取り外して洗濯機で洗えることですが、今回お聞きしてみると洗濯機を使った方法もやり方によってはOKとのこと!
NGとされる大きな理由としては、写真のようにヘルメットによっては内装に発泡スチロールの緩衝ライナーが入っており、これをそのまま一緒に洗濯機で洗うと折れてしまう場合があります。
全てのヘルメットの取り外しできる内装に入っているパーツではありませんが、この場合は緩衝ライナーだけを取り外して、外側のカバーのみ洗濯機に入れて洗濯するようにしましょう。
実際にヘルメットの内装を取り外していきます。
両サイドのパーツ、あごひものカバー左右、一番大きな頭頂部を覆っている内装を取り外します。
ボタンや隙間に食い込ませて内装を固定しているので、比較的簡単に取り外すことができます。
今回のジェットタイプのヘルメットの内装は計5点。
フルフェイスの場合は一般的に6点前後がとなっています。
内装を外したら洗濯用ネットに入れて、洗濯機のモードをソフト設定など、通常洗いではなく優しく洗うモードに設定します。
他の物と洗うのであれば、ハンカチや靴下などの柔らかいものと一緒に洗うようにしましょう。
デニムや厚手のパーカーなどゴワゴワした強いものと一緒に洗ってしまうと、選択中に内装の一部が破れたり、過度に擦れてしまう事があるので要注意!
洗剤はいつも使っている衣類用洗濯洗剤、漂白剤、柔軟剤なども他の衣類と同様に使用して大丈夫です。
ただし、服などと違って、ヘルメットを被っている最中は常に顔と頭を内装が覆っている状態なので、長時間嗅いでいて匂いがきつくないものの方がおすすめです。
乾燥機はNG!
洗った内装を乾かす際、熱を加えて乾かすと内装の形が変わってしまう恐れがあるため、乾燥機の使用やドライヤーを使っての乾燥などはNGになります。
風通しの良い場所で自然乾燥がベストな方法。
天日干しも問題ありませんが、夏の時期などに長時間直射日光に当てると熱が加わってしまうため、短時間天日干しして陰干しに切り替えるなど、できるだけ熱を加えないようにしましょう。
変形を防ぐためでもありますが、内装の耐久性的にも正しく洗って乾燥させたほうが長持ちするので、正しい乾燥を行いましょう。
内装は交換も視野に入れよう
正しく洗濯、乾燥ができたら外す際の逆の手順でヘルメットに装着すれば完了です。
ですが洗濯できるとはいえ、使って洗濯してを繰り返していると内装が痩せてくる場合も。
想定ではヘルメットの内装は月に数回ツーリングに行く程度のライダーさんなら2〜3年、毎日使う場合は1年で内装が痩せてしまっている可能性があります。
新品の時と比べて被り心地が明らかに変わった、風圧でヘルメットがズレるようになった、内装と頭の間に隙間を感じる、などがあった場合は、洗うのではなく内装一式新品に交換したほうが、快適で清潔に被ることができます。
バラさずにできる帰宅後のメンテナンス
ここまでは内装をバラして洗濯する方法を紹介してきましたが、これを毎週マメに行うライダーは少ないと思います。
でも、次に被るときも清潔な状態で被りたい!という方のために、ここからは内装をバラさずにできる日々のメンテナンス方法を紹介していきます。
まず夏場のツーリングでは特に汗をかくため、家に帰ってきたら汗で湿った内装を濡れタオル、ペーパータオルなどを当てて汗を吸い取りましょう。
頬に当たる両サイドパーツが主になってきますが、あご紐のカバー部分も汗を吸収しやすいポイント。
ここもしっかり汗を拭き取るようにしましょう。
走行後の保管方法はシールドを開けて風通しのいい場所で保管すること。
袋に入れて収納してしまうケースもよく聞きますが、内部の湿気が十分に飛んでいないと最悪内装がカビてしまうことも。
できるだけ保管はそのままの状態でシールドを開けて内部に風が通るように保管しましょう。
ヘルメットのメンテナンス台を使って内部がこもらないように角度をつける、というのもおすすめ。
写真のメンテナンス台はアライヘルメットで販売されているものなので、気になった方は是非使ってみてください!
他にもヘルメットを置いておくと下から風が出て内部を乾燥させるアイテムも有効な方法です。
消臭効果は体感それぞれですが、匂いが少し気になるようでしたら、内装を外して洗ってしまうのが一番の消臭方法です。
シールドの掃除方法
次にライダーの視界に直結しているシールド部分のメンテナンスについて。
少しでも視界が遮られていると感じたらすぐに掃除しておきましょう。
シールドのメンテナンスは装着したままでも軽くなら行えますが、掃除しきれない部分が出てしまうため、取り外して行うのがおすすめ。
最近ではシールドの取り外しが容易にできるモデルも増えているため、次のヘルメット選びの際にこういう点を見ておいても損はないと思います。
取り外したらまずは水、もしくは水に中性洗剤を薄めたものを吹きかけ、汚れが柔らかくなるのを少し待ちます。
そのまま拭いてしまうと汚れを巻き込んだ状態で拭いてしまうため、シールドに傷が付いたり、更に汚れてしまう場合もあります。
裏面も同様に拭き上げます。
横に拭くよりも、軽く叩きながら汚れを落とすイメージ。
全体を拭けたらシールド越しで覗いて汚れ、拭き残しが無いかどうか確認しながら掃除していきます。
シールドは消耗品なので拭いても傷が消えない場合や視界に違和感を感じる場合は新品に交換しましょう。
ミラーシールドの小傷は落とせない
ミラーシールドもクリア、スモークと同様に掃除できますが、ミラーシールドは表面加工が施されているため、汚れは落ちても傷は消えません。
写真のようにコーティングが剥がれて傷が付いてしまったら、夜などは傷の部分が反射して視界がボヤケてしまうこともあるため、交換がおすすめです。
ヘルメット外装の掃除方法
最後にヘルメットの外装を掃除する方法です。
ヘルメットの外装にはバイクや車と同じく塗装がされているので、基本的には水拭きはもちろん、洗車用のケミカルやウェットシートタイプのものを使用しても問題ありません(シンナー系の溶剤はNG)。
クリア塗装のヘルメットで落ちない汚れがある場合は仕上げ用のコンパウンドを少し付けて拭くと綺麗に取ることができます。
油分が多い汚れの場合はパーツクリーナーなど脱脂系のアイテムも有効です。
少し扱いが難しいのがマット塗装、艶無しのヘルメット。
艶が出てしまうとマットの意味がなくなってしまうので、水拭きが一番安心できる掃除方法です。
白や明るい部分の汚れはメラミンスポンジを水に浸して優しく擦ると簡単に掃除ができます。
外装掃除で注意しなければいけないのが、表面ならまだしも、ベンチレーションやシールドの断面などにケミカルが染み込んで劣化してしまう場合があります。
徐々にヒビが入る場合もあるので、シンナー系の溶剤は特にNGです。
ケミカルを使う場合は全体に吹きかけるのではなく、ウエスやペーパータオルなどに吹き付けて、掃除したい表面のみを拭くようにしましょう。
シーズンごとのメンテナンスがおすすめ
今回はヘルメットの内装に始まり、日々のメンテナンスやシールド、外装の掃除方法をアライヘルメットにお聞きしました。
バイクに乗るときは常に被るものだからこそ、ヘルメットは清潔にしておいて損はありません。
日々のメンテナンスは走行後にやるとして、内装までバラしてクリーニングするのは1シーズン、夏場で乗る頻度が多い方は1ヶ月に1回くらいのスパンでクリーニングしておくと清潔を保ちやすいと思います。
思い立った時、暇つぶしにクリーニングしてみると「こんなに綺麗だったっけ?」と思うほど綺麗になることも多いので、マメなメンテナンスが一番です。
暑い夏のシーズンが終わるタイミングで一度ヘルメットをバラしてクリーニングしてみてください!
イベントでもクリーニングサービス実施中
二輪系のイベントのアライヘルメットブースでは今回紹介した掃除方法の一部を含めたクリーニング、メンテナンスをアライヘルメットのプロスタッフがお客さんのアライヘルメットに実施してくれるヘルメットツーリングサービスを開催しています。
アライヘルメットユーザーなら無料でお願いできるサービスなので、バイクイベントに行った際はアライブースを探してみてください!
【文/佐藤快(外部ライター)】