世界中で知られているアドベンチャーモデルのアフリカツイン。
アドベンチャーの名前通り、一般道から高速、ワインディング、オフロードなどバイクの中で最も走れるシチュエーションが多いバイクだと思います。
しかしその走行性能の高さからか、どちらかと言えば年配のベテランライダーに愛されているバイクという印象です。
今回はそんなアフリカツインは20代ライダーが乗っても楽しいバイクなのか、検証してみました!
高性能アドベンチャーモデル
アフリカツインは水冷並列2気筒1100エンジンを搭載したアドベンチャーモデルです。
アドベンチャーモデルとは長距離が楽に走れてオンロードだけでなくオフロードも走れるツアラーの進化版に近いもの。
実際アフリカツインでもオフロードを走ることができますが、今回はあくまで公道ベースで検証していきます。
まず第一印象としてアフリカツインの実車を目の前にするとその大きさに驚くはず。
特に大型バイクに慣れていない方だと、こんなに大きいバイクってあるんだ、と思うくらいかなりの巨体です。
中身もかなりの高性能で、メーターは液晶タイプでライディングモード変更やトラクションコントロールの変更、電制サスペンションの調整、Carplay接続など様々な機能が詰め込まれています。
基本左スイッチボックスで操作しますが、ゲームのコントローラーばりのボタンの多さ。
最初は通常のバイクと違いすぎて何が何だかわかりませんでしたが、慣れてくるとこの機能を使いこなすにはこのスイッチボックスじゃないと無理だ、と思うくらいしっかりユーザーを考えた設計になっています。
そんなアフリカツインですが、MTモデルとDCT(デュアルクラッチ・トランスミッション)モデルがラインアップされています。
MTモデルは通常のバイクと同じくクラッチが付いていて左足元にシフトペダルがありますが、DCTモデルではシフトチェンジを自動で行ってくれるため、クラッチレバーもシフトペダルもありません。
スロットルを開ければ自動で発進して速度に合わせてシフトチェンジしてくれるので、DCTモデルは大型AT免許でも乗ることができます。
今回はDCTモデルを使って検証してみました。
巨体だけどハンドリングはオフ車
まずアフリカツインに乗るにあたって最初に説明しておくと、アフリカツインは大型モデルでも中々見ない巨体ですが、タイヤのインチサイズは125や250などのオフロードバイクと同じ前21インチ、リア18インチの組み合わせなんです。
当然排気量が大きいので太さは違いますが、ハンドリングはオフロードバイクに似た傾向があります。
今回乗ってもらったライダーは私(佐藤)を含め、オフロードバイクに慣れているライダーです。
前後17インチのスポーツバイクとは違って積極的にハンドルで曲がっていけるバイクなので、大前提としてオフロードバイクのハンドリングに慣れているライダーのほうが乗りこなしやすい傾向にあると思います。
バイクと言うより、船のような安定感
DCTモデルはまたがってエンジンをかけたら右スイッチボックスのドライブボタンを押したら準備完了。
あとはスロットル操作で進んでいきます。
走り出す前の押し引きは車重とサイズがあるのでちょっと大変ですが、走り出してしまえば安定感抜群!
オフ車と同じインチサイズとは思えないくらいの安定感で進んでいくので、ある程度スピードに乗っているうちは不安なく走ることができます。
街中で車と一緒のスピードで走る場合でも適正なギアに合わせてくれるため、大型バイクあるあるの変なフラストレーションが貯まりません。
渋滞など超低速で動いてまた止まる場合などはギアが合わないこともあり多少ストレスですが、クラッチ操作がなくニュートラルに入れる必要もないので運転が楽に感じます。
街中ではアフリカツインのパワーを発揮するシチュエーションは少ないですが、それでもパワーが速いではなく楽に繋がっているため、少し慣れると車で移動しているのとあまり変わらない気持ちで運転することができました。
巨体なのに小回りは抜群
誰がどう見ても巨体のアフリカツインですが、低速ではオフ車に似たハンドリングが活きてくるので小回りは抜群に効きます。
細い路地の交差点やUターンなど、普通の大型バイクならあまり得意じゃないポイントでも、ハンドル操作でバイクを積極的に倒してトルクで立ち上がっていけるので、巨体からは想像できないほどクイックな動きが出来るんです。
しかし最初はこの巨体と言うだけで萎縮してしまって思うように操作しきれない部分も。
巨体から想像してしまうイメージで操作が制限されてしまうライダーも多かったので、多少の慣れが必要でした。
高速巡航はほぼ最強
幹線道路や高速など、一定のスピードで走り続けるシチュエーションでは一切の不安や疲れがなく、ほぼ最強!
100km/h巡航でもまだまだ余裕なパワーがあり、スクリーンのおかげで走行風をほとんど感じないのでこれならどこまででも走れるんじゃないかと思うほど疲れ知らず。
これより高速巡航しやすいバイクを教えて、と言われても正直思い浮かびません…。
この安定した高速巡航性がありながら低速ではオフ車のような軽快なハンドリングができるというのは、通常なら一台のバイクでは両立できないこと。
DCTだけでなく電制サスペンションや6軸センサーなど様々な最新技術によって両立できているので、これはアフリカツインならではの機能だと思います。
ワインディングは軽快
ワインディングではオフロードバイクと同じくハンドルを使って曲がっていけるので軽快なハンドリング。
タイトコーナーでも瞬時にバイクを振り回しながら乗れるので、この巨体でもサイズが大きすぎると感じたことはありませんでした。
その点ワインディングではDCTよりもMTモデルのほうが半クラッチが使えたり、自分のタイミングで必要なギアに変えられるので軽快感は強いと思います。
スポーツバイクのような楽しみとはまた違いますが、街も高速も基本何でもできて、その上でワインディングも楽しく走れるので出来ることが格段に多いバイクだと思います。
普通に走るだけはもちろん、時にはロングコーナーでバイクを寝かせて走ることもできるので、これは不向き!というシチュエーションが見つかりませんでした。
結論、若いライダーでもベテランにおすすめ!
アフリカツインは大型免許を持っているライダーなら誰が乗っても楽しめるバイクだと思います。
それは年齢関係なく若いライダーでも年配のライダーでも同じこと。
しかし今回感じたのは、ある程度大型バイクに慣れていないとアフリカツインの本当の軽快感を引き出せないこと。
巨体に萎縮してしまうと自由なライディングができず、ただ大きいだけのバイクになってしまうので、若いライダーの中でベテランとは言わずとも大きな車体のバイクに親しみがある方なら早い段階でアフリカツインの軽快感を味わえるはずです。
個人的にタイトなワインディングや、Uターンなど細かい操作が多い場合はMTがおすすめ。
ですが街を走ったり高速を走るだけならDCTのほうが全然楽に走れるので、気になっていてレンタルする場合は走るシチュエーションでMTかDCTか決めると楽しく走れるマシンです。
【文/佐藤快(外部ライター)】