高い利便性と十分な動力性能で人気の原付二種バイクですが、車体の前後になんだか変なマークがついてる……。
これって何なの?
原付一種(~50cc)と原付二種(~125cc)を識別するための標識
定番人気モデルのスーパーカブシリーズから本格派スポーツCB125R、毎日を楽しくするMonkey125(モンキー125)やDax125(ダックス125)、スタイルと利便性を追求したPCXシリーズなどHondaの原付二種バイクは、ラインアップもよりどりみどり。
最近はとりわけ注目度が高い人気ジャンルなのですが、原付二種バイクを見ていると『ナニコレ?』と思う部分があります。
まず、ひとつ目が車体後部にある三角マーク。見た感じの違和感も大きく、車体のデザインの一部ではないことは一目瞭然です。
そしてもうひとつが車体前部、フロントフェンダーの先端などについている白い帯状のマーク。これらは原付二種バイクに一部の輸入車を除き、ほとんどの場合取り付けられています。
これを見て『なんかダサい。剥がしたい……』と思う人もいるかもしれません。
結論から言うと、これらのマークは『原付二種バイク(~125cc)と原付一種(~50cc)を外から見て識別しやすくするための標識』です。
それと言うのも、バイクにおいては車体サイズ&見た目がほぼ同じだけど、排気量が違うケースが。そして排気量によって適用される交通ルールが違うから。です。
仮に、Hondaの定番人気モデルとなるスーパーカブシリーズを例にとってみると分かりやすいかもしれません。
こちら原付一種のスーパーカブ50。ビジネスシーンからお洒落な街乗りライダーまで、全世界で幅広く愛されるバイクだということは、みなさんもご存じかと思います。
このバイクには上位機種として110ccのスーパーカブ110が存在するのですが……
それがこちら。じっくり見ればホイールやマフラーカバーなど違いはいくつもありますが、正直、バイクによほど詳しい人じゃない限り、街中でこれらのバイクを見かけても瞬間的には判断がしにくいでしょう。
そして、ここで困るのが交通ルールに則って取り締まりなども行う警察など。
ご存じの通り原付一種のバイクには時速30kmの速度制限や、交差点によっては2段階右折が義務付けられているのですが、パッと見で原付一種か原付二種か判別できない! という事態が起こってしまうんです。
これらの交通ルールは理由なく原付一種を迫害している訳ではなく、その動力性能などを鑑みたうえで『安全のために必要』として定められているもの。無用な事故などを引き起こさないためにもルールに違反している車両は取り締まりの対象になるのですが、外側から見てわかりにくいと『え? あれ50cc? それとも原付二種?』と迷ってしまうことになります。
そこで関係省庁からの通達に応えるカタチで、メーカー側が『自主的に』表示しているのが、先の三角マークと白の帯マークとなります。
先にも言いましたけど、これらは基本的にメーカー側が自主的に取り付けている標識なので、法的な表示義務はありません。特に後部の三角マークなどは、今ではナンバーの色やサイズで基本的には排気量区分を判断できますので『ナンバーで排気量を判断できなかった大昔の名残り』と言ってもいいかもしれません。
ただ、安易に『カッコ悪いから』と思って剥がしてしまうと、ルール違反をしていなくても排気量を確認するために警察に止められてしまう……なんていう面倒を引き起こす可能性はあります。
最初は違和感があるかもしれませんが、ほとんどすべての原付二種バイクに表示されているマークなので、ぶっちゃけた話、そのうち気にならなくなると思います。なので『どうしてもこの違和感が許せないんだ!』という突き抜けた美学の持ち主でない限りは、そのままにしておくのがおすすめ。
誰だって楽しくバイクを走らせている時に、無用に水を差されたくはないですからネ!
【文/北岡博樹(外部ライター)】