気がついたらミラーがグラグラに……バイクに乗っていればいつかは出くわすのが『バックミラーの緩み』です。でもミラーは一度緩むと、元に戻すのにちょっとコツがいる。なるべくシンプルにその方法を解説します!
バイクのミラーが緩むと危ないうえにストレス大!
走っている間に、いきなりくるりん……何かの拍子にミラーが緩んでしまうことは、長くバイクに乗っていれば必ず出くわすトラブルです。
地味なトラブルだし、ネジを締め直せば済む話なんですけど……実は緩んだミラーを元通りに調整・固定するのって、ちょっとコツが必要なんですよね。
一般的にネジ類は、時計回しにドライバーを回せば締る・反時計方向に回せば緩むというルールで作られていて、それを『正ネジ』と言います。でもバイクのミラーは左右にあって、基本的に『前から何かにぶつかった時に緩むように安全設計されている』ため、逆ネジと呼ばれる時計回しで緩む&反時計方向に回して締るネジが部分的に採用されているんです。
そして、その安全設計のために採用されているのが『ダブルナット』という方式の固定方法。ここでちょっと厄介なのが、メーカーや年式、バイクの車種によって逆ネジが採用されている部分がまちまち……つまり、どれが逆ネジなのか見た目じゃわからない、ということです。
なのでバイクに慣れた人でも『あれ?このミラー、どっち回しで緩むんだっけ?』と混乱すること多数……そこで今回は『ミラーが緩んだ時の対処法』をなるべくシンプルにまとめてみます。
こういうのは外してみて、構造を見てみると理解しやすいので、とりあえずミラーを外してみます。ここ、けっこう大事なので注目!
わかるでしょうか? 下側のネジは基本的に『ミラーを固定するための台座』の役割だけなんです。ミラーの位置調整や固定は上側のナットが担当しているんです。
写真で指を指している上側のナット、これを『ロックナット』と言います。その役割を示すとおり“固定するためのナット”です。
下側は単なる台座、上側で調整&固定。何よりもまず、この大前提を覚えておいてください。
混乱しない『ミラーの緩み』のシンプルな調整手順
ミラーが緩んだ時の調整・再固定でいちばんダメなのは『どっちがどうだっけ?』と混乱することです。
なので今回はすこし回り道もありますが、作業を極力シンプルにしていきます。
まず台座のナットだけを取り付けます。仕組みとコツが分かれば、いちいち分解する必要はありませんけど、最初は『自分にとってわかりやすくする』ために、バラバラの状態から作業をしたほうが無難です。
この時に正ネジが……逆ネジは、などを深く考えないでください。締っていく方向に回す。それだけいいです。
手でなるべく締めてから最後にスパナを使ってギュッと台座を固定します。ちなみに、スパナの使いかたにも『向き』があるんですが、それはまた別の機会に。
続いて、ミラー本体を台座に取り付けます。この時も正ネジ・逆ネジ問題のことは考えず、シンプルに『回してみて締っていく方向』に回してください。
何度かクルクルと回してミラー本体を台座にねじ込んでいきます。ある程度深くまでミラー本体を差し込んで、ミラーの位置を決めたら……
位置調整・固定の役割となる『ロックナット』をギュッと締め付けて完了! と言いたいところですが……
正ネジ・逆ネジの兼ね合いによって、ギュッと力を入れて固定しようとした瞬間に
くるりん!? と、さっきがんばって締め付けた台座側まで一緒に『緩む方向』へ回ってしまうことが多数あるんです。
これは正ネジと逆ネジが混在するために起こる現象ですが、このときに脳が混乱しやすいので注意。迷ったら先の『分解して台座だけ取り付ける』まで戻ってみたほうが良いと思います。
じゃあ、台座が緩まないようにしつつ、ロックナットを固定するには?
答えは単純。『台座側を押さえておくスパナ』と『ロックナットを固定するためのスパナ』の2本を同時に使うこと、です。
ですからミラーの緩みに対処する際には必ず『同サイズのスパナが2本必要』になります。
写真にすると、こういう感じ!
下側の台座が緩まないようにスパナで押さえつつ、もう一本のスパナでロックナットを締めて固定する。スパナを回す方向に関しては、深く考えず、締る方向に回す。基本はこれだけ!
だけど、出先でミラーが突然緩んでしまったりすると(車載工具に入っているので場合が多いので)何とかスパナ1本だけで対処しちゃおうとするんです。
それが前提として間違いであり、混乱を招く引き金になります。ミラーの調整は基本的に『スパナが2本が無ければ作業できないもの』だと考えておいてください。
わかってしまえば単純な作業で、特に難しいことはありません。誰でもできます。
なので、ミラーが緩んだ時は『上側のロックナットだけを回して位置調整&固定をする』ことと『その際に下側の台座側が緩まないように、もう一本のスパナで押さえながら作業する』という2点を鉄則として覚えておいてください。そして、先に言ったとおり『スパナ1本で何とかしようとしない』ことも大事です。
正直な話、この作業にライフハック的な近道はありません。だけど、作業手順をなるべくシンプルにしてやっていけば、必ず元通りにできます。
なのでもし、出先でミラーが緩んでしまった……でもスパナを2本持ってない! という状態になったら、ぶっちゃけ近くのバイク屋さんをスマホで探して、立ち寄ったほうが話が早いと思います。
ミラーの緩みは突然、襲ってくるもの。その時に最も重要なのは、実のところ『冷静さ』です。自分で対処するときは混乱しないように。近くにバイク屋さんがあれば、そこに駆け込む。
ミラーがグラグラだと危ないだけじゃなく、走行中ずっと気になってストレスも大きいですから、なるべく速やかに対処するようにしてくださいね!
【文/北岡博樹(外部ライター)】