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レーシング女子岡崎静夏がじっくり乗ってみました!【レブル1100 T Dual Clutch Transmission編】他にない。これしかない唯一無二の優雅な乗り物

桜の花には、日本人の心をくすぐる何かがありますよね──。
和テイストをこよなく愛する岡崎さんですが、大陸の走りをイメージさせるRebel 1100T DCTも気になるようです。

【テスター:岡崎静夏】 チャーミングな笑顔でも中身はスパルタンな「バイクフリーク」。’09~’10年、MFJレディースロードレースで2年連続王者に。全日本はGP-MONOを経て’12年からJ-GP3に参戦中。

バイクらしい楽しさと、バイクを超えた快適さと

’11年のGP-MONOから全日本ロードにフル参戦しているので、今年で13年目になります。今参戦しているJ-GP3は12年目。いつの間にかベテランと呼ばれてもおかしくない年数が経っていて、驚いてしまいます。

今年も去年と同じJAPAN POST HondaDreamTPからの参戦ですが、内部的な体制が少し変わって、自分にとっては古巣とも言えるコハラレーシングのスタッフが関わってくれることに。

事前テストではセッティングの進化も感じられて、手応えはあります。開幕戦は4月1日、モビリティリゾートもてぎ。「絶対に1回は勝つ」という強い気持ちで臨みますので、皆さん応援よろしくお願いします!

……のっけからワタクシごとで大変失礼しました。でも、レブル1100 T DCTに乗っていると、なんだか自己PRも許されてしまうのではないか……という、のんびりした気持ちになっちゃうんですよね……。

2年ほど前にもレブル1100 DCTに試乗させていただき、その時にも感じたのですが、このバイクのゆったり感は本当に気持ちいい。個人的にはあまり馴染みのないフォワードステップのクルーザーなのに、「大らかな気分で大陸をゆく」というイメージのままで、結構楽しいんです。

「結構」という但し書きがつくのは、自分にとって「バイク」「単車」にあてはまる乗り物とはひと味もふた味も違うから。フォワードステップのレブル1100 T DCTに乗ると、ふだん無意識のうちにステップワークを使っていることがよく分かります。

逆に言えば、ステップワークをしなくてもナチュラルに反応してくれるレブル1100 Tはとても不思議なんですよね。ワインディングを攻めようとかサーキットを走ろうという気持ちにはなりませんが、峠道を一般的なペースで流している分には違和感はまったくありません。

ハードブレーキでフロントに荷重をかけてから車体を寝かし込み……というような目玉を三角にした走りではなく、あまりブレーキングを必要としない程度の速度域で、スロットルのオンオフだけで滑らかに走るのがよく似合います。

1100ccエンジンのたっぷりとしたトルクの恩恵で、低回転域からでもしっかり加速できるので、気持ちにますます余裕が生まれるんです。

正直に言うと、「30歳の自分にレブル1100 T DCTは、はまだちょっと早いのかな……」と思うところはあります。堂々とした風格と落ち着きがあって、なのにモダンなスタイリッシュさもあり、ワイルドでありながらジェントルなレブル1100 T DCTは、大人な乗り物です。

一方の自分は、ガンガンにサーキットを攻めながら「勝ちてぇ~」と悶え苦しむ現役レーシングライダー。愛車 CB1300SFに乗っては「シフト操作楽しいいいぃ~!」と叫んでしまうような人間です。とてもではありませんが、レブル1100 T DCTの域には達していません。

……ただ、これも正直に言ってしまいますが、ロングランすればするほど、「DCT……いい……」と思ってしまっている自分もいるんですよね。

「バイクに乗るならシフト操作必須」がモットーなのに、やっぱりDCTはラクだし、しかも少なくとも自分よりはギヤチェンジがうまい(笑)。シフトアップが自分の感覚と比べてちょっと早いかな、と感じることはありますが、それは低燃費実現のためでしょうし、全般的には快適さと楽しさのバランスが絶妙で、全然アリなんです。

今回試乗させていただいた「T」は、ツーリングモデルという位置づけです。フロントに大型カウル、リヤ左右にはサドルバッグを装備していますが、さすが純正! デザインにも取り付けにもまったく無理がありません。

私に言わせてもらえれば、「これが標準モデルでもいいんじゃないの?」と思えるぐらいのまとまりのよさ。ずっと「T」を眺めていた目で標準モデルを見ると、「あれっ?」と物足りなく感じるほどです。

大型カウルはウインドプロテクション効果を発揮してくれるし、サドルバッグは積載性を高めてくれます。でも、そういった機能を度外視しても、「あって当たり前」と思える装備なんです。

たぶんレブル1100のもともとのキャラクター、大陸的な鷹揚さ、どこまでも走り続けたくなる伸びやかさを、大型カウルとサドルバッグが具現化しているからだと思います。

ルックスはよりワイルドになるのに、標準モデル+15kgの車重の差なのか、重心位置の違いなのかは分かりませんが、加速フィールは標準モデルよりもマイルド。荷重もリヤ寄りになっているように感じ、あくせくした走りは似合いません。標準モデルにも増して、優雅な乗り物に仕上がっています。

いつかこういうバイクが似合うような大人になれるのかな……と思いつつ、明日の勝利を追い求めて練習を重ねる、アオハルまっ盛りな私なのでした。

 

1,082ccのゆとりあるエンジンと、クラッチ操作のないDCT、快適なポジションと風防効果の高いカウル、たっぷり積めるサドルバッグとくれば、ロングツーリングがベストマッチ!

レブル1100 T DCT:SHIZUKAの評価

1)スタイリング:大型カウルとサドルバッグは、ズバリ、付いていた方が男前でカッコいい! 見た目的な前後バランスも絶妙です。

2)スポーツ性:ステップワークやニーグリップなど下半身を使わないながらも、思い通りにコントロールできるのがすごく不思議。

3)ツーリング:女子の私には立派な車格で、「気疲れしちゃうかな」と思いきや、完全に杞憂。低重心で長時間でも軽々操れます。

4)街乗り:細道に入ろうとは思いませんが(笑)、小回りは利くしUターンも楽。足着きがいいので発進停止も苦になりません。

5)コストパフォーマンス:このスタイルとこの重厚感が好きになったら、他に選択肢はないと思います。唯一無二の存在感は価格で測れません。

SHIZUKAのお気に入りポイント

やっぱり「T」ならではの大型カウルとサドルバッグ! レブル1100はこれがオリジナルと言ってもおかしくないほどの馴染み感と機能性の高さで、断然オススメしたいモデルです。

●まとめ:高橋 剛 ●写真:楠堂亜希

※当記事は(株)内外出版社ヤングマシン掲載記事(2023年5月号)の内容を編集・再構成したものです

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