忙しくてバイクに乗る時間が取れず、ふと気づけば数カ月乗れてない……なんてことありませんか?
だけどバイクっていうのは『乗らなくて放置』がいちばん良くないんですよ?
愛車にはいつまでも元気でいて欲しい
大好きなバイクで思いっきり走りたい! その想いはライダー全員に共通するものだと思います。
だけど現代人は忙しい! 忙しすぎると言ってもいいほどに忙しく、なかなか趣味としてバイクに乗る時間が取れない、なんてことはよくあることだと思います。
だけどそれが……実はいちばん愛車にとって『良くないこと』だったりするんです。
そんな忙しさの中で罪滅ぼし的に『せめて、たまにはエンジンを掛けてあげる』のはライダー人情というもの。
もちろんそれも大事なことですが、実際の話、それだけじゃ足りない。エンジンはバイクの中核であることは間違いないですが、同時にバイクは『エンジンだけで走っているものじゃない』からです。
もちろん購入したてのピカピカの新車であれば、ある程度長期間、放置していても特に問題は起きないでしょう。だけど所持して数年経っていたり、昔から長く愛し続けているバイクはその限りじゃありません。
例えば人間もそうですが、仮に関節を骨折し治療のためにギプスで固定して、長い間その部分を動かさなかったりすると、元のように動かすためにはリハビリが必要になります。それと同じ、という訳ではありませんが『近いニュアンスがある』ものだと思っておいてください。
可動部分が固着する?
バイクの場合で特に問題になるのが『可動部分のゴム』です。
例えば前後のサスペンション等がわかりやすいですが、サスペンションは走行中に目にも止まらぬ速さで動き続けおり、その動きを助けるため内部にはオイルが封入されています。
そしてそのオイルは『ゴムの蓋』で外に漏れださないようになっています。
けれどゴムというのは消耗品。その性質として、何もしなくても空気中の酸素による酸化や紫外線、温度(熱)や湿度など複数の要因で徐々に劣化していきます。
長期間乗らなかった後に久しぶりにバイクに乗ろうと思ったら、フロントフォークやリアサスペンションから突然のオイル漏れ……これ、わりとよく聞く話です。ゴムは劣化すると弾性が損なわれてたりヒビ割れを起こしたりするので『ゴムの蓋』としての機能を果たせなくなってくるんです。
しかもゴム部品というのは、バイクの各所に数多く使われています。
それらの劣化を完全に止めることは基本的にはできません。けれどバイクを長期間放置せず、定期的に走らせてやることでその寿命を延ばしてやることができるんです。
その理屈を詳細に書くとゴム分子の結合とか再架橋とか、かなり専門的な話になってしまうので、ここではざっくり伝えますが『ゴムは動かしてあげていたほうが硬化・劣化が抑えられる』という性質があるんです。
そして、バイクを走らせれば愛車の状態を身体で感じることもできるし、洗車などで綺麗に保つ(汚れも劣化を早める一因)ことができるので、何重にも良好なコンディション維持に貢献してくれるんです。
それにゴム部品の話だけじゃなく、ガソリンだって長期間放置すれば酸化し、最悪の場合は腐ってベトベトになります。年単位で放置してガソリンが腐ってしまうと、ダメージはかなり大きく、愛車を復帰させるには大きな費用と時間がかかります。ですから『定期的に乗る』ことでガソリンをフレッシュなものに入れ替えるのも大事。
エンジンだってオイルを交換せずに、汚れたオイルのままで放置すると、エンジン内部に悪影響を及ぼします。最初にも言ったとおりですが『バイクは乗らないと傷む』んです。
ちなみに真逆の例ですが……
タクシーは廃車にするまで何十万キロも走ります。ご覧ください。写真のタクシーなんてフェンダーミラーですよ? 何年動いているんだか……
だけど『毎日稼働している』ことと、定期的なメンテナンスによってコンディションは悪くなさそう。これはクルマの話ですが、動かしているほうが機械のコンディション維持に良い、ということのある意味、証明でもあります。
忙しくてなかなか乗れない。人それぞれ事情はさまざまですが、愛車の健康維持には『定期的に走らせてやる』ことがやっぱりいちばん。
どれくらいの距離を、どれくらいの時間間隔で走らせてやればいいか? 理想で言えばタクシーじゃありませんが『毎日のように』です。だけど、そんな理想論に意味はないと思いますから週に1回、それが無理なら月に1回でもいいので『自分なりに、愛車をできるだけ走らせてあげる』ことを意識してみてください。
乗る回数が増えれば、それだけ愛車の健康維持にもつながる。それにバイクはやっぱり乗れば楽しい!
忙しい日々のストレス解消にもなるはずだから、一石二鳥ってものですよ!?
【文/北岡博樹(外部ライター)】