Hondaが世界に誇るスーパーカブシリーズの2台を「乗ってみての感想」を中心に比較します! 排気量や見た目以外は何がどう違う?
『スーパーカブ110』と『スーパーカブ C125』は魅力の質が違う
ある程度バイクのことに詳しくなってくるとわかることですが、バイク初心者のうちは『これって何がどう違うの?』と感じることがけっこうあると思います。
今回、比較してみるのはHondaが世界に誇るスーパーカブシリーズの2台。世界基準の王道モデル『SuperCub 110(スーパーカブ110)』と排気量125ccのエンジンを搭載した上級モデル『SuperCub C125(スーパーカブ C125)』の2台です。それぞれ排気量が110ccと125ccという違いはありますが、基本的にはどちらも『スーパーカブ』のスタイルを踏襲。だけどこの2台はまるで違うバイクだと思ったほうがいいです。
正直に言って『魅力の方向性』がぜんぜん違う。そしてある意味で、これほど甲乙がつけがたい2台も珍しいかもしれません……

でもその前に、ひとつだけ前提としてお伝えしておきたいことがあります。これら2台のスーパーカブは、ギアチェンジの際に左手のクラッチ操作がいらない自動遠心クラッチを採用しているため、法令上はAT車(オートマチック)扱い。なので免許としては『AT小型限定普通二輪免許』で乗ることができます。
オートマチック限定の『AT小型限定普通二輪免許』は、免許取得の際の技能講習がMT(マニュアルトランスミッション)のバイクも運転できる『小型限定普通二輪免許』よりも少ないため、費用や免許取得にかかる時間を抑えることができます。これからスーパーカブシリーズを狙ってバイク免許を取得する予定の人は覚えておいてください。
それでは本題の『比較』に入ります!
王道『スーパーカブ110』と上級モデル『スーパーカブ C125』

まずはじめに紹介するのはスーパーカブ110。50ccのスーパーカブ50が生産中止となり、新基準原付「スーパーカブ110 Lite」も発売されましたが、ここで取り上げるのは乗るためにAT小型限定普通二輪免許(通称:原付二種免許)が必要となるフルパワーバージョンのスーパーカブ110です。
バイクにそれほど興味がない人でもその名前は知っている……というほどスーパーカブシリーズは知名度が高いのですが、2026年3月現在のHondaバイクラインアップにおいて『スーパーカブの王道』と言えば、このモデルのことを指すと思っていただいて問題ありません。
みなさんもご存じだとは思いますが、プロの配達の現場からファッションとして乗る若者や女性まで、幅広く愛されている絶対的スタンダードモデルです。

そのスタンダードに対して、ワンランク上の上級モデルとして2018年からラインアップに加わったのがスーパーカブ C125となります。
このスーパーカブ C125は1958年に登場した初代モデル「スーパーカブ C100」へのオマージュを込めつつ、現代のスーパーカブシリーズを象徴する存在として生み出されました。
ただしスーパーカブ C125は単なる懐古主義のバイクではありません。初代スーパーカブ C100から受け継がれる「羽ばたく鳥の翼」をモチーフとしたハンドルまわりのデザインやサイドからのボディラインなどは往年の名車を彷彿とさせますが、ヘッドライトやテールランプ、ウインカー等の灯火類はすべて先進性を感じさせるLEDで統一。美しい輝きのクロームメッキパーツが随所に配され、ホイールも切削加工でデザインされるなど現代的な洗練を纏っています。その佇まいは真にエレガント。眺めるだけで気持ちが満たされる芸術品のような1台です。

そしてスーパーカブ C125はその走りも上級モデルらしく上質。スーパーカブ110のフレームをベースに強化とバランスの見直しが行われ、さらなる乗り心地を求めて前後のサスペンションも専用のものが装備されています。しなやかでありつつ節度のある動きは、言うなれば高級セダンのようなイメージ。スーパーカブ110の乗り心地も悪くはないのですが、スーパーカブ C125と比べてしまうと……その差は歴然です。

そして、そうでありながらワインディングロードで「バイクを操る喜び」までも堪能できる懐の深さを備えている。純粋にバイクのことを「機械」として見るのであれば、エンジンの動力性能やコーナリング中のスタビリティ(安定感)など、走りのトータルバランスとしてスーパーカブ110を上回ることは間違いありません。
でも『スーパーカブ110』が劣っているわけじゃない
ただし、今回の2台の比較はある意味で非常に複雑……その理由は王道モデルのスーパーカブ110が、スーパーカブ C125に対して「劣っている」というわけではないからです。
現行モデルはスーパーカブシリーズの長い歴史の中で熟成を重ね続けてきた最新モデル。言うなれば、今の時点におけるシリーズ最新最良のスーパーカブということができます。個人的にはスーパーカブ C125のほうが「特別モデル」のようなニュアンスを感じます。

それが証拠というか……乗ってみると『どこにも不満を感じない』という驚きに包まれるんです。
何かが突出しているわけじゃない。だけどすべてが必要にして十分以上。事実、この記事を書いている私(北岡)も、スーパーカブ C125に乗る前までは『スーパーカブ110で十分』だと思っていました。
優しい乗り心地と軽快さを見事に両立。伝統を受け継ぐパワーユニットには内燃機関ならではの温かみがあります。走らせているだけで気持ちが癒されるような……このバイクの走りには他にはない『独特の幸福感』があるように思えます。それでいて洗練されすぎていないダイナミックな手応えがあり、乗り手を飽きさせることがありません。

さらに、信じられないほどの燃費性能を備えているのもスーパーカブ110の特徴のひとつ。今回、乗り比べをした中で計測した燃費は実にレギュラーガソリン1リッターあたり71.7kmという結果を叩き出しました。経済性や環境性能という面でもスーパーカブ110は圧倒的という他にありません。
そして、時代に流されず受け継がれてきたスタイルは『普遍』の極み。このバイクを一度手に入れたら、末永く「スーパーカブのある暮らし」を楽しめることでしょう。
どちらを選ぶのが『正解』なのか?
今回は『比較』が趣旨ではありますが、この比較は正直にいってあまり意味がないかもしれない……と思っています。
スーパーカブ110とスーパーカブ C125にはそれぞれ違った良さがある。それでいてどちらも正しく「Hondaのスーパーカブ」として成立している。本来的に言えば『比較』なんてできない2台なのかもしれません。

その価値を決めるのは、オーナーとなる人物のライフスタイル次第です。仮にですが「バイクとしてのスポーティさ」を求めるのであれば、スーパーカブ C125に軍配が上がるでしょう。でも毎日乗る「日常のアシ」として使い倒す用途であればスーパーカブ110の気軽さとタフさが際立ちます。
だけどこの2台に共通して言えるのは、どちらを選んでも『満足』を感じられるだろうということです。買って後悔するなんて、この2台に関してはありえない。

だから最初のほうに言ったことをもう一度、言っておきます。
『甲乙つけがたし』
どちらを選んでも「買ってよかった!」と感じることは間違いなし! Hondaのスーパーカブに乗る。その時点で、幸せは既に約束されているようなものなのかもしれません。
【文/北岡博樹(外部ライター)】

















