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【ブタと燃料】冬眠させていたバイク……走り出す前のたった5分でトラブルを未然に防ぐ『4つの簡単チェックポイント』はバイク初心者の人も覚えておいて!【バイクライフ・ステップアップ講座】【Safety】

暖かくなってきたし久々にバイクに乗ろう! でも出発前に5分だけ時間をください。出先でのマシントラブルを未然に防ぎやすくなる「4つの簡単チェック方法」を解説します!

エンジンが掛かっても安心しないで⁉︎ 久しぶりにバイクに乗るならこの「4つ」だけはチェックしておこう!

穏やかな気候を迎え、バイクに乗るのが気持ちいいシーズンがやってきました。冬の時期にしばらくバイクに乗っていなかった人も、走り出したくなる季節かと思います。

でも、久しぶりにバイクを動かす時って、無事にエンジンが掛かるかちょっと不安な時ってありますよね。

高性能になった近年のバイクは、余程のことがなければ簡単には壊れたりはしません。しかし、セルモーターを回すためのバッテリーに関しては、動かしていない時間が長ければ長いほど自然放電してしまっている可能性があるのも確かです。

恐る恐る車体の主電源を入れてセルモーターを押してみると……無事にエンジンが始動! ひとまず、安心する瞬間です。

しかし、バイクを動かしていない時期が1ヶ月以上あったら、例え無事にエンジンがかかっても直ぐに走り出すのはちょっと早計かもしれません。

エンジン以外のパーツや装備品の不具合により、出先で思わぬトラブルに見舞われてしまう可能性があるからです。

そこで今回は1ヶ月間以上バイクに乗っていなかった時に、出発前の5分でできる「4つの簡単チェック項目」をご紹介します!

走り出す前の5分間でOK! 出先のトラブルを未然に防ぐ4つの簡単チェック方法

ブレーキ:フロント・リアの効き具合に加えてブレーキパッド残量とフルード液をチェックするだけ!

バイクを安全に楽しく走らせるのに最も重要なのは、停まる&速度を調整するための機構である「ブレーキ」です。

まずはこの前後ブレーキがしっかり効く状態になっているかを実際に操作して確認してみましょう。

エンジンを停止したまま車体を前後に押し引きしつつブレーキレバーを握ってみて、ブレーキが問題なく効いているかを確認。リアブレーキも同様にリアブレーキペダルを足で踏んで確かめます。

バイクは基本的にフロントブレーキとリアブレーキがそれぞれ別になっていますが、出発前にチェックしたいのはブレーキの効き具合の他に、前後の「ブレーキパッドの残量」と「フルード液の量」の2つも見ておきましょう。

現在、主流となっているディスクブレーキは「ディスクローター」と呼ばれる回転する“円盤状のプレート”を、ブレーキキャリパーの中に組み込まれた「ブレーキパッド」で挟むことで車両を停止したり速度をコントロールしています。

このディスクローターとブレーキパットも、摩擦によって徐々にスリ減っていくので、ブレーキパッドの残量がしっかり残っているかも目視でチェックしておきましょう。

またディスクブレーキ・システムは「ブレーキフルード」と呼ばれる液体をパスカルの原理を利用して圧力を高め、ブレーキパッドを押し挟んでいるので、このフルードの量と状態が適切であるかも確認しておきましょう。

一般的なバイクには写真のような「ブレーキフルード点検窓」が備わっているので、フルード液が「LWR(LOWER/ロウアー)」の位置より下回っていないかどうかをチェックします。もしLWRの位置より大幅に液面が下回っているようでしたら、ツーリングへ出かける前にバイクショップに見てもらうことが必要です。

タイヤ:適正な空気圧調整とゴムの劣化具合をチェックするだけ!

バイクは走行中、前後2つのタイヤのみが地面に接地しているため、他のパーツや機構の状態が良くても「タイヤ」そのものに不備があったらまともに走らせることはできません。そして、不備があるような状態で走り出すのは大変危険です。

タイヤの状態をチェックするには「適正空気圧」と「ゴムの劣化具合」の2つを確認します。

タイヤゴムの劣化具合は、タイヤ表面の状態をしっかりと目で見て極端にタイヤの溝が無くなっていたり、タイヤ表面がひび割れを起こしていないかを確認します。

また、タイヤの空気圧はバイクを動かしていてもいなくても“少しずつに自然に空気が抜けてしまうもの”ですので、1ヶ月以上乗っていなかったら空気圧が下がっているケースが多いです。

タイヤの空気圧は車両やタイヤサイズによって「適正空気圧」というものが決まっています。車体のスイングアームやチェーンガードなどに写真のようなコーションラベルが貼られているのでチェックしてみましょう。

空気圧の単位は、「kPa(キロパスカル)」や「kgf/cm²(キログラムフォース)」などの他にも、「psi」や「bar」などがありますが、測り方や単位が違うだけで基本的には同じ空気の圧力の単位です。

エアゲージで測ってみて、空気圧がそのバイクに定められている規定値よりも下がっていたら、エアポンプやコンプレッサーなどでタイヤの空気が規定値になるまで充填します。

タイヤの状態はグリップ力や制動力など「走行性能」や「ハンドリング」に大きく影響しますし、ランニングコストが抑えられる「燃費性能」にも関わってきます。タイヤ空気圧を適正にするだけで安全面・快適性・走行性能のすべてにおいて効果的! 必ずチェックするクセをつけたいポイントです。

灯火類:ヘッドライトやテールランプなどの電装系がしっかり点灯するかをチェックするだけ!

3つめは「灯火類」、すなわち「ヘッドライト」や「ウインカー」「テールランプ」など、電装系の保安部品のチェックです。

ヘッドライトやテールランプは走行中に正しく点灯していないと「整備不良の罰則」を受ける可能性もありますのでしっかりチェックしましょう。

灯火類のチェックはとても簡単で、ヘッドライトはロービーム、ハイビームがしっかり点灯し、切り替えられるかを目視で確認。前後ウインカーは正常に点滅するかをチェックするだけでOK。

同時にバイクの電源をオンにしてテールランプがしっかり点灯しているか、ブレーキを操作して「ストップ(ブレーキ)ランプ」が点灯するかもチェックします。

ちなみに、スピードメーターやタコメーターなどのメーターパネルのライトが点かない場合やナンバー灯がついていない場合も整備不良違反の対象になりますのでご注意ください。

燃料:ガソリンが今どれくらい入っているかをチェック!

最後の4つ目は「ガソリン残量」です。これは単純に出発前に、いま燃料タンクに入っているガソリンの残量をチェックします。

たったそれだけ? と思うかもしれませんが、実は出発前に現在のガソリン残量を把握しておくことはとても重要。なぜなら、ツーリング先で起こる上位トラブルこそが「ガス欠」だからです。

うっかり確認ミスや、多分、大丈夫でしょ…という「ヒューマンエラーの代表格」なので侮ってはいけません。

タンクキャップを開けて目視で残量をチェックし、半分以下に減っているようならガソリンを給油してからツーリングへ向かうようにしたほうが安全。

ちなみにガソリンは長期間放置すると腐ってしまったりもしますが、1~2か月程度では腐敗はしません。

また、フューエルメーターや残燃料の警告灯を備えたバイクでも、車両によっては走り出してからしばらくしないと正しいガソリン残量を示してくれない場合もありますので、ツーリング前は必ずガソリンを満タンにしてから出発するクセをつけると、うっかりミスを防ぎやすくなります。

レーキ・イヤ・火類・燃料! 4つ合わせて「ブタと燃料」と覚えよう!

久しぶりにバイクへ乗るときは、今回紹介した「4項目」をチェックするだけで、出先で起こりうるマシントラブルを大幅に軽減させることができます。

そして、しばらくバイクを動かしていなくて「そもそも、どこの4つをチェックすればいいんだっけ?」という時のために、これらの4項目をまとめて覚えやすくする“合言葉”があります。

それが「ブタと燃料」です。

ブレーキの「ブ」、タイヤの「タ」、灯火類の「と」、ガソリンの「燃料」を組み合わせた、個性的な言葉ですので一度覚えたら忘れないはず!

慣れてくると出発前に5分間程度でチェックできるようになるので、出先で困らないようにこの4項目を確認するクセをつけると、もっと安全で楽しいバイクライフを過ごしやすくなりますよ!

【文:岩瀬孝昌(外部ライター)】

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