数ある250ccバイクの中でも、他とは違うイメージがあるのが『オフロードバイク』です。2021年モデルでフルモデルチェンジとなった『CRF250L』ですが、その大きな進化を解説します!
Honda CRF250L(2021)
CRL250Lの初期型は2021年の5月に『On(日常)を便利に、Off(週末)を楽しむ“ちょうどいい相棒” New On & Off Gear』をキーワードとして開発されたオン・オフロードバイクでしたが、2020年12月のフルモデルチェンジにおいては、そのコンセプトにさらに磨きをかけた『Evolved ON-OFF GEAR』として生まれ変わりました。
CRF250Lはナンバー付きの公道走行OKのバイクで、競技用車両(モトクロッサーなど)のようにオフロードしか走れない訳ではありませんのでオフロードモデルとは呼ばず、どちらも走れるオン・オフロードモデルと呼ばれています。
また、標準仕様のCRF250Lはシート高が830mmに抑えられており日常の使い勝手に配慮。この他に前後サスペンションやシートの厚みが変更されオフロード性能に磨きをかけたCRF250L<S>も同時に発売されています。
ここで紹介するのは標準仕様のCRF250Lとなります。
新型CRF250L(2020)ではエンジンの刷新から新設計フレームの採用など、走りのパフォーマンスを強化。デザイン面でも競技用モトクロスマシンCRF450R(※公道走行不可)のイメージを踏襲し、よりオフロードイメージを強めています。
カラーリングは、レーシングイメージ溢れるエクストリームレッド1色のみの設定です。
■車両価格(10%税込)599,500円
CRL250Lのライディングポジションや足つき性は?
CRF250Lのライディングポジションはオフロード走行を想定し、ライダーの自由度が高い乗車姿勢となっています。
上半身を真っ直ぐ起こしてハンドルに手を伸ばしても、腕にはかなりの余裕がありますが、これは悪路でステップの上に立って走る『スタンディング』のフォームに対応するため。普通に走るぶんには極めてリラックスしたポジションと言い変えることもできるので、姿勢としては快適だと言えます。
車体サイズは高さ(全高)もあり大柄なので身長176cmのライダーでも窮屈さを感じることはありません。
足つき性に関しては、シート高830mmと言われると高いように感じますが、実際に跨ると車両自体の重量とライダーの体重で大きく前後サスペンションが沈み込みます。そのため身長176cmのライダーの場合は両足がカカトまでべったりと接地します。
感覚的にはオンロードバイクでいうと800mm、もしくはそれ以下のシート高に感じます。
そのうえで重量が140kgと非常に軽いので、取り回しに不安を感じることは皆無。バイクを降りた状態での取り回しも軽々と行えます。
CRF250Lの燃費は?
CRF250Lの使用燃料はレギュラーガソリン。燃料タンクはやや少なめの印象の7.8Lとなっています。
ただし、これはオフロードバイクとして考えるとタンク容量は標準的です。
実際のところ高速道路8割、一般道2割くらいのイメージで454.2kmの距離を走った時の総給油量は13.64L。
満タン法で計測した燃費はガソリン1リッターあたり33.3となり、単気筒250ccのエンジンらしく良好な燃費結果となりました。
給油タイミングとしては150kmから180kmくらいで給油するイメージです。
CRF250Lに乗ってみた感想は?
CRF250L(2021)の主要装備を解説
新型CRL250Lのエンジンは、従来型とはまったく印象が違うものになりました。吸排気を中心に見直されたエンジンは低~中速域では驚くほどの力強い走りを手にいれており、さらに街乗りやオフロードで多用する1~5速のギアレシオをローレシオ化することで、鋭いピックアップが楽しめます。
6速のみ高速道路クルージングを想定したハイレシオとなっており、ツーリングの快適さに貢献。また新たにアシスト&スリッパ―クラッチが搭載され、クラッチ操作荷重を従来型比20%低減。扱いやすさと安心感も進化しています。
マフラーは新設計でオフロードバイクらしいアップタイプとなっています。
低~中速域を重視した出力特性と共に、単気筒エンジンらしいパルス感のある排気サウンドを明確に楽しめるようになりました。
フレームが完全新設計となったことは新型CRF250Lの大きなトピックスのひとつ。
軽量化と同時にオフロードで要求される剛性としなやかさのバランスを追求したスチール製フレームが新採用されました。
素晴らしく軽快になった新型CRF250Lのハンドリングの根本を支えています。
外観上の大きな変更点として、CRF450Rのイメージを踏襲したヘッドライトの変更がオフロードファンには嬉しい限り。薄型のLEDライトとなり十分な光量を確保しつつ、スポーティなイメージとなりました。ウインカーもLEDとなります。
ステップにはワイドペグを採用。従来型よりもステップ位置を後方に配置することで、ライダーが荷重を掛けやすくなり、オフロード含む操作性全般を向上させています。
フルデジタルのメーターには新たにギアポジション表示や燃費計が追加されており、ツーリングや日常の使い勝手が向上しています。
スピードメーターやバーグラフ型のタコメーターなど見やすさも特徴です。
シート形状は大きく変更され、前方が絞り込まれた形状となり、足つき性を向上。それと同時に走行中の車体のホールド感を高めています。
座り心地としては路面からのインフォメーションを感じやすいスポーティさが重視されているため、やや固め。長時間の乗車でシート前方に座っていると若干お尻が痛くなりますが、高速道路などではどっかりと後ろ目に座ることで快適なクルージングを楽しめます。
荷物の積載のため荷掛けフックを標準装備。ヘルメットホルダーも装備されており、ツーリングでの使い勝手に配慮されていることが伺えます。
プロリンク採用のリアサスペンションはストローク量を260mm確保して悪路の走破性を高めています。
軽量なアルミスイングアームとしなやかなリアサスペンションの動きにより、オン・オフを問わず高い接地感をライダーに感じさせてくれます。
オフロード走行を想定し、ABSはリア側のみ解除可能です。
オフロードでの走破性を高める大径21インチのワイヤースポークホイールを装備。フロントのサスペンションストロークは260mmを確保しています。
しなやかな動きは悪路だけでなく、オンロード走行でも極めて快適。ハンドリングは従来型とは比較にならないほど軽快になっています。
【文/北岡博樹(外部ライター)】