川岸さんは免許を取得してからずっとホンダ一筋というライダーです。
その理由はホンダのモノづくりのスピリットに惚れ込んでいるから。
そんな川岸さんのバイクライフを紹介することにしましょう。
バイクはホンダだと決めていた
川岸さんは幼少期から二輪、四輪のモータースポーツを見るのが大好きでした。
エンジンのメカニズムに対しても興味を持っていましたが、それがあるキッカケで一気に膨らんでいくことになります。
「父親にエンジン付きラジコンカーの組み立てキットを買ってもらったんです。エンジンまで自分で組み立てるキットでした。最初にエンジンがかかったことに感動してしまって、そこからラジコンカーに夢中になりました」
免許が取れる年齢になるとバイクに興味が出てきたのも当然の流れでした。
整備に興味が出てきたこともあって高校を卒業するとホンダ学園への進学を決意します。
別名を「ホンダの自動車大学校」
整備士を育成するサービスエンジニア学科、一級自動車整備学科に加え、研究開発エンジニア育成を目指した研究開発学科を独自に設けている学校です。
高校卒業間際に二輪免許取得していた川岸さんは、通学のためにCB400SFを購入します。
「バイクはホンダだと決めていました。モノづくりに対するスピリットが好きだったし、安全に関してキチンとお金をかけて開発していたからです」
CB400SFの楽しさは想像以上でした。
「パワーもあるし、なによりVTECが気持ち良くて感動しました。今でも忘れられないくらいです」
VTEC はホンダ独自の可変バルブ機構。
低回転では2バルブで扱いやすいトルクと扱いやすい特性なのですが、回転が上がると4バルブに切り替わり、爽快かつパワフルなフィーリングになるのです。
これですっかりCB400SFに夢中になってしまい、VTECバージョン2が採用されたCB400SFに乗り換えるほどでした。
ジムカーナで腕を磨く
バイクに夢中になった川岸さんはスーパースポーツに乗りたいと考えるようになり、CBR600RRを購入します。
「スポーツ走行が好きだったからスーパースポーツに乗りたいという気持ちが強くなっていきました。CBR600RRにしたのはHonda Dreamで勧められたからです。大型の中ではコンパクトでよく曲がるから楽しく乗れるバイクでした。乗り始めた頃は低速のトルクがもう少し欲しいと思いましたが、ジムカーナで練習するようになってからはバイクの良いところを引き出せるようになりました」
ホンダ学園のクラブ活動にはジムカーナ部がありました。
川岸さんは入部してライディングテクニックを向上させていきます。
「速く走るのではなく、上手いライダーになりたいと思っていました。それでバイクが上手いってどういうことなんだろうと考えたんです。白バイの人たちはコーナーで膝も出さず、お尻もずらさずに腰から下でバイクを操っていますよね。あれに基本があるんじゃないかと思いました。ジムカーナはスピードこそ出ませんが低速だろうが高速だろうがバイクの動きそのものは変わりません。低速を制するライダーがバイクは制すると考えました」
ジムカーナ部に入ってライディングに関する意識も変わったと言います。
「自分たちが事故や違反をしたらしめしがつかないじゃないですか。技術だけを磨くのではなく模範になって『ジムカーナ部カッコいいだろう!』と言えるようなライダーを目指していました。」
【学校法人ホンダ学園 ホンダテクニカルカレッジ関東 】
住所:〒356-0045 埼玉県ふじみ野市鶴ケ岡5−2−2
電話番号:049-264-0121
Webサイト:学校法人ホンダ学園 ホンダテクニカルカレッジ関東
スーパースポーツの魅力にドップリ
卒業し、メカニックとして働くようになってから購入したのが、2014年式のCBR1000RR(SC59)でした。
「600に比べたら、少し重いですがトルクフルなエンジン特性だったし、パワーがあってどこまでも加速していくような感じでした。コーナーも安定していて、600を更に楽しくしたようなバイクでした」
この頃から川岸さんはサーキットを走るようになります。
「職場の人に誘ってもらってサーキット走行会に参加しました。サーキットは峠と違って、キチンと曲げる動作をしないといけないから最初は難しく感じました。でも同じコーナーばかりなので集中して走れます。体も使うから疲れます。色々な点で峠とサーキットは比べ物にならないということが分かりました。頭を使って乗ることが面白かったし、スポーツライディングをするのであれば峠より安全でだから、それからはサーキットを走るようになりました」
こうしてサーキットで練習を重ねてメキメキと技術を上達させていったのです。
ただしサーキットだけを走っていたわけではありません。
ツーリングにも頻繁に出かけていきました。
「北海道にも行きました。でもスーパースポーツでの長距離はさすがに途中から辛くなりました。苦行みたいでしたよ(笑)。でもそれを経験したから今は日帰りとか一泊ツーリングなら全然平気です」
新型を乗り継いで進化を知る
CBR1000RRに3年半乗った頃、川岸さんは次のバイクへの買い替えを検討します。
ちょうど新型も出るタイミング。
調べてみると下取り金額とローンで残った金額を相殺できることが分かりました。そして選んだのが、2018年モデルのCBR1000RR(SC77)でした。
「SC77から電子制御が導入されました。トラクションコントロールや電子制御スロットルもそれまでとは別物。パワーも上がっているし、同じCBR1000RRでもまったく別なバイクでした。ライダーの能力を引き出してくれる電子制御だったからとても乗りやすくて、サーキットに通いまくっていました」
普段通っているHonad Dreamで同じバイクに乗るお客さんと仲良くなったり、川岸さん話を聞いた友達が同じCBR1000RRを購入したことなどもあって、CBR仲間がどんどん増えていきました。
ツーリングなども同じバイクで走ることが増えていったといいます。
2年半CBR1000RRに乗ったところでCBR1000RR-Rが登場します。
フルモデルチェンジされたこのモデルのことを知って、もちろん川岸さんは乗り換えを決断。
「パワーは凄く出ていました。ただ、自分の乗り方だとファイナルが少しロングでしたね」
2022年モデルでマイナーチェンジを受け、ギア比もショートになると聞いて再び乗り換え。これが現在の愛車です。
「ギア比はまだ少しロングな感じはしますが、低回転からバイクを前に押し出してくれる力があるのでバイクを曲げやすいんです。今のバイクには十分満足しています」
最新スーパースポーツの楽しみ方
今回撮影でお邪魔したのは千葉にある茂原ツインサーキット。
定期的にモトブレイクという二輪の走行会が開催されていて、ライセンスがなくても走ることができます。
移動は軽トラを使います。
もちろんサーキット走行をするために購入したものです。
工具やレザースーツ、発電機やタイヤウォーマーなどを積んでいくので、しっかりとサーキットを走ろうとするとトランスポーターは必需品。
サーキットを走る前にミラーやナンバープレートを取り外してマシンの細かな調整を行います。
走行前に空気圧をチェックするのは重要。
空気圧が少し違っただけでもグリップやフィーリングが変化するからです。
ライディングに専念するため、マシンはあまりいじらないというのが基本的な考え。
「セッティングは基本的に大きく変えません。ディメンションは変えず、コースによってダンパーの硬さを変えたりする程度です」
データロガーなどを駆使して走りを分析するのも楽しみの一つ。
サーキットのゴールラインに埋め込まれている磁気を拾うセンサーを装着。
CBR1000RR-Rには手動で操作するラップタイマーがあるので、この回路にセンサーからの信号を割り込ませると自動的にラップタイムを測定してくれるようになります。
更にGPS データーロガーも追加しています。
「データは多いほうが正確さを増すのでロガーを追加しました。ラインや加速減速のGなど頻繁に分析しています。感覚だけで限界だと思っても数値やグラフを確認していくと『このコースだったらここまではいける』という指標ができます。少ない走行枠を無駄にしないですみますし、何より自分との戦いだとも考えて挑戦していくのが好きなんです」
ちなみにデータロガーのGPSはCBR1000RR-Rのテールカウルの凹みにピッタリ。
「最初からGPSをつけること考えて作ったんじゃないかと思うくらいです」
現在はまだCBR1000RR-Rを完全に乗りこなせていないと言います。
けれどそのことはなんの問題にもなりません。
プロセスを楽しみながら少しずつステップさせていくことが川岸さんの目的だからです。
【 茂原ツインサーキット 】
住所:〒297-0044 千葉県茂原市台田640
電話番号:0475-25-4433
営業時間:8:00〜17:00
Webサイト:茂原ツインサーキット
目指すのは上手なライダー
川岸さんは、ミニバイクでカートコースも頻繁に走っています。
レンタルバイクのレースにも参加していて、過去にはシリーズチャンピオンを獲得したこともあったとか。
しかし、追求しているのは速さではないのだと言います。
「サーキットを速く走るのではなく、バイクを上手く乗れるようになりたいんです。技術が向上すれば自然とタイムや速さにつながります。でも最初からタイムや速さを追いかけると技術がついてこないような気がしています」
バイクや楽しみ方が変わっても、ジムカーナをしていた学生時代から基本的な考えは変わっていないのです。
「ジムカーナ部にいたときから、友人達とどうしたら事故をせずに、バイクを一生楽しめるのかを考えていました。事故をしたら自分が被害者だろうが加害者だろうがバイクが悪者になってしまいます。ライダーだったら、それは避けなければいけません。そういうことは自分の周りの友人たちにも伝えているし、もっと発信していかないといけないと思います。バイクスポットなどで10代のライダー達を見ていると、彼らや彼女たちに対して、自分なりの安全運転の啓発活動ができたら良いなと最近考えるようになりました」
スポーツライディングと真摯に向き合ってきた川岸さんだからこその考えでしょう。
これからどのような活動をしていくのか、とても楽しみなライダーでした。
【文/後藤武(外部ライター)】



















