バイクの操作は慣れてしまえば簡単ですが、一度に複数の場所を操作するため、最初は慣れが必要です。
スクランブラータイプのCLは比較的運転しやすい部類ですが、スクランブラーならではのコツも一部あります。
今回はそんなバイクの基本操作において、CLをスムーズに操作するコツや、意識しておきたいポイントを解説していきます!
操作は両手足全てを使う
今回はCL500をモデルに解説していきます。
排気量は違いますが車体サイズはCL250とほぼ同等です。
教習所を卒業した方なら知っていることだと思いますが、まず大前提としてバイクの運転において操作するポイントを紹介します。
まず手は右手がスロットル(アクセル)と前ブレーキ、左手でクラッチレバーを操作します。
足は右足が後ろブレーキ、左足がギアを変更するシフトペダルです。
全てを同時に操作することは普通に走っている限りではありませんが、街中を普通に走るだけでも手と足それぞれ同時に操作する事が多いので、頭で理解していても最初は誰でも慣れが必要な操作だと思います。
重心が高いので取り回しは3点で
CLは重いバイクではありませんが、スクランブラータイプのため車高が高く、一番重いエンジンの搭載位置が高いため少しだけコツが必要です。
腕だけで支えて押し引きしても余裕で転がってくれるバイクですが、ハンドル幅が広いため腕だけで支えるには車体が真っ直ぐの時に限ります。
斜めにしたほうがより角度を稼いだ効率的な取り回しができますが、バイクを傾けると一定の角度からズシッと車重が乗ってくるので、腕だけで支えるのではなく、腰をシート辺りに当てて腕2点と腰1点の3点でバイクを支えて取り回しすると、安定感も合って少ない動作でバイクの向きを変えることができます。
跨ったままでサイドスタンド操作をする場合は左足先で
跨ったままCLのサイドスタンドを出す際には左ステップの少し後ろにサイドスタンドのバーがあり、このバーを足先で前側に下ろすことでサイドスタンドが出てきます。
サイドスタンドバー自体はあまり外に出ていないため、土踏まずやかかとではなく足先でバーを蹴って操作するほうがCLの場合楽だと思います。
跨って走り出すまで
CLはシート高(790mm)が少しだけ高めとなっており、跨る際の足の開き具合はオフロードバイクに少し近いくらいかもしれません。
足が反対側まで行って跨るポジションになればドシッと座れますが、クルーザーやネイキッドとは違った少し高い位置のフラットシートに座っている感覚です。
CLは普通のキー位置とは違ってタンク左下辺りに付いています。
足つきは170cmのライダーが跨って片足なら足先からかかとまで地面にべったり付きますが、両足の場合は両方のかかとが浮きます。
足つきが悪いとは思いませんが、つま先の状態でもバイクを支えられるくらいだと怖さなく跨がれるので、最初はサイドスタンドを出した状態でどれくらいの重さなのか支えてリハーサルしたほうが安心だと思います。
不可能ではありませんが、跨った状態で足先だけでバイクの向きを変えるのは僕の足の長さでは難しく感じました。
次に発進するまでの流れとして跨ってスタンドをはらったら、右手スイッチボックスのセルボタンでエンジンを始動します。
エンジンの回転で安定したら左手のクラッチレバーを握り、左足でシフトレバーを下げて1速に入れます。
右手のスロットルを少しだけ開けてエンジンの回転を上げ、左手のクラッチレバーを少しずつ離して半クラッチ状態を作ります。
クラッチが繋がっていけばバイクが前に進み始めるので、急操作を避けてできるだけ緩やかに繋いでいきます。
クラッチレバーを離しきると同時、もしくは少しスロットルのほうが速いくらいのタイミングでスロットルを開けてエンジンの回転を上げ、スピードを上げていきます。
この時できるだけ発進からクラッチを繋ぎきるまでギクシャクせずスムーズに行ったほうが安定感のある挙動になります。
走り出したらシフトアップ
走り出したらスピードに合わせてギアを上げていき、スピードとエンジンの回転数を合わせていきます。
発進した1速でエンジンの回転が上がっていったらうるさく回り切る前にクラッチレバーを握り、シフトペダルを上げて2速に入れてクラッチを繋ぎ、スピードを上げていきます。
この繰り返しでスピードを上げていきます。
シフトチェンジでクラッチを握った場合でも、レバーを離してクラッチを繋ぐ時はパッと手を離して繋ぐのではなくフワッと少しだけ緩やかに繋ぐことでギクシャクせずにシフトアップができます。
CLのメーターにはレブルと同様に速度計の左に現在のギアを表示するシフトインジゲーターが搭載されているため、常に目視でギア位置を確認することが可能です。
ネイキッドよりも幅広ポジション
スクランブラータイプのCLはネイキッドなどと比べてもハンドル幅が広く、オフロードバイクに似たハンドルポジションです。
乗り方自体は肘を少しだけ曲げてハンドルから自分の肘、肩、胸、反対側の手まで輪のように繋げたポジションがコントロールしやすいと思います。
ですがネイキッドよりも幅が広く、位置も少しだけ高いので加減速時に上半身が前後に振られないように、しっかりニーグリップでタンクを挟んで上半身を支えるようにしましょう。
ブレーキ操作は前7:後3
スピードが乗った状態から減速して停車する場合は最初にシフトダウンしてエンジンブレーキを使って緩やかに減速し、ブレーキも使って制動力を高めていきます。
右手で操作する前ブレーキは7割、右足で操作する後ろブレーキは3割といった力加減でできるだけこの比率を意識してブレーキングすると安定した挙動で停車することができます。
前ブレーキだけの操作や前ブレーキが強すぎた場合、写真のようにバイクの前側が下がりすぎてしまうため、後ろブレーキも合わせて使うことで挙動が安定しやすくなります。
緊急ブレーキの場合を除き、いきなりグッとブレーキをかけるのではなく徐々にかけ始めても間に合うような余裕を持ったスピードで走ることが大切です。
安定した挙動は運転の余裕に繋がる
発進から加速、減速、停車までの流れをご説明しましたが、すべての動作において急な動作はバイクの挙動を乱してしまいます。
自分はもちろん、他者から見てもいきなり加速、いきなり減速といった挙動不審な動きにならない、スムーズな動きが重要です。
スムーズな運転ができれば他車に気を配り余裕を持った運転ができるので、結果安全運転にも繋がるはずです。
余裕を持ったジェントルな運転でツーリングを楽しみましょう!
【文/佐藤快(外部ライター)】