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2025年は『Gold Wing(ゴールドウイング)』シリーズ生誕50周年!半世紀に渡る歴代GLシリーズの歴史を知ってる?【Honda HISTORY/Gold Wing 誕生50周年】

Hondaの頂点に君臨するツーリングバイク『Gold Wing(ゴールドウイング)』シリーズが、2025年に生誕50周年を迎えたことを記念した「GOLD WING 誕生50周年記念展示」がHondaコレクションホールにて行われていました。

今回は記念展の写真を見ながら、1975年に誕生した初代Gold Wing(GL1000)から最新モデルのGold Wing Tour(GL1800)まで、キング・オブ・モーターサイクルの半世紀に渡る歴史を振り返ります!

Hondaフラッグシップモデル『Gold Wing』シリーズがコレクションホールに集結!

「キング・オブ・モーターサイクル」を目指し、現在でもHondaのフラッグシップモデルとして君臨し続ける「Gold Wing(ゴールドウイング)」シリーズ。

今年2025年は、アメリカで1975年に誕生した初代ゴールドウイング(GL1000)の登場から、誕生50周年を迎える記念の年となります。

ここではGold Wing誕生50周年記念として、歴代モデルをここで振り返ってみたいとます!

【初代】ゴールドウイング GL1000[1975年]

ゴールドウイング GL1000(1975年)

今から50年前の1975年に登場した初代「ゴールドウイング  GL1000」はHondaが世界に誇るスーパースポーツモデルとして登場しました。

現在ではフラッグシップ・ツアラーとしてのイメージが強いGold Wingシリーズですが、初代GL1000のエンジンは最高出力80PS以上を発揮した1,000cc(999cc)の「水冷4ストロークOHC水平対向4気筒」を搭載していました。

シリンダーを左右水平に配置させることで直列4気筒エンジンよりも更なる低重心化を実現。エンジン内にトルクリアクションバランサーを内蔵し、縦置きエンジンとの相性に優れるシャフトドライブ駆動を組み合わせることでアメリカ大陸を横断するような長距離ツーリングでも低振動で快適な乗り心地を誇りました。

また、運動性向上のために重量物となるフューエルタンクはシート下に配置され、通常のタンク位置には中央に小物入れや車載工具入れを配置。右側にラジエター冷却水タンク、左側に電装系部品などが格納されていました。

【二代目】ゴールドウイング GL1100[1980年]

ゴールドウイング GL1100(1980年)

こちらは“二代目”として1980年にフルモデルチェンジされた「ゴールドウイング GL1100」です。

新設計の水冷4ストロークOHC水平対向4気筒エンジンを搭載し、排気量を1,100cc(1085cc)にまで拡大させると共に、これまでのフラッグシップ・スーパースポーツから長距離ツアラーモデルとして歩みはじめる転換期となったモデルです。

ゴールドウイングのメインターゲットだったアメリカのユーザーの使い方や要望に応え、最高出力よりもトルクを重視したクルージング性能を強化。ハンドルもアップタイプのハイハンドルバーが採用されていました。

さらにホイールベースを延長し、ライダーとパッセンジャーのスペースを拡大させたシートを採用。

“タンデム・ツーリング”という要素を重要視し、より快適性を高めたラグジュアリー・クルーザーとして不動の地位を確立していきました。

【三代目】ゴールドウイング GL1200 ASPENCADE[1984年]

ゴールドウイング GL1200 アスペンケード(1984年)

アメリカで長距離ツアラーとしての地位を確立していったゴールドウイングシリーズは、1984年に三代目となる「ゴールドウイング GL1200」シリーズへ生まれ変わりました。

GL1100のエンジンをベースにボアとストロークをそれぞれ拡大し、排気量を1,200cc(1,182cc)とした新設計の水冷4ストロークOHC水平対向4気筒エンジンを搭載。

大型フロントスクリーンを備えたヘッドライト一体型のカウリングを身にまとい、荷物の積載に便利なリア・トランクルームやサドルバッグを標準で装備したグランドツアラーとしてフルモデルチェンジされました。

写真の車両は、よりツーリング性能を高めるためにフロント16インチ・リア15インチに変更された「ゴールドウイング GL1200 アスペンケード」です。ドレスアップパーツやオーディオシステムなどを標準装備したグレードアップモデルとして、他を圧倒する快適性能を備えていました。

【四代目】ゴールドウイング SE(GL1500)[1988年〜]

ゴールドウイング SE GL1500  ※写真の展示車両は1992年モデル

いつしか世界中で“King of Motorcycle”と称されるほどのラグジュアリーツアラーとなっていったゴールドウイングシリーズは、1988年モデルで更なる高みへと到達します。

これまで水平対向4気筒だったエンジンを、二輪車では過去に例のない水平対向6気筒エンジンとして新たに開発。排気量を1,500cc(1,520cc)まで拡大させた水冷4ストロークOHC水平対向6気筒エンジンを搭載した“四代目ゴールドウイング”として進化させたのです。

このGL1500から日本国内にも正規輸入され、日本のファンもHondaの販売店から購入することができました。

未知なる水平対向6気筒エンジンを開発するにあたり、試作車は15種類も用意され、徹底的にテストが繰り返えされたと言われています。ここから現行モデルへと続く“ゴールドウイングらしい”極めて静かでシルキーかつパワフルな6気筒エンジンが誕生しました。

スタイリングや快適性能もさることながら、フレームには更なる低重心設計が可能なダブルクレードルタイプが採用され、ライダーが跨ったまま後ろへスイッチバックできるように、セルモーターを使用したバッグギア(電動リバースシステム)を備えた世界的にも類をみないバイクとなりました。

ゴールドウイング SE GL1500(※写真の展示車両は1996年モデル)

四代目ゴールドウイングの展示車両は、前期型となる1992年モデルに加えて、後期型となる1996年モデルの「ゴールドウイング SE GL1500」も展示。

ゴールドウイングらしい流麗かつダイナミックなスタイリングは、フェアリングやカバー類に外から取付ビスなどが見えない工夫が施され、ライダーが跨る居住スペースだけでなく、タンデムシートに座るパッセンジャーも快適なラグジュアリーツアラーとしてグレードアップされました。

まるで飛行機のコックピットを思わせるハンドル周りは、インターパネルの左右にラジオやオーディオを聴くためのスピーカーを備え、車両に跨ったまま様々なボタン操作ができる超豪華装備のインテリアに。

またハンドル右下には、ボタン操作でサスペンションの硬さを自動調整できるエアーポンプ機構「AIR PRESSURE CONTROL」システムなども備わっていました。

【五代目】ゴールドウイング(GL1800)[2001年〜]

ゴールドウイング GL1800(2001年)

初代ゴールドウイングの登場から25周年を迎える2001年には、五代目となる「ゴールドウイング GL1800」が誕生します。

唯一無二の水平対向6気筒エンジンが更なるリニューアルを遂げ、排気量を1,800cc(1,832cc)まで拡大。エアロダイナミクスを追求し、やや丸みを帯びたフェアリングや、新設計のアルミ製のツインチューブフレームなどを採用し、バイクを操る楽しみをライダーが最大限享受できる大型ツアラーモデルとしてフルリニューアルされました。

まるで高級ソファーのようなタンデムシートには、オーディオスピーカーやDC電源ソケットも備えた小物入れに加えて、寒い時期のツーリングに嬉しいシートヒーターを内蔵したモデルも登場しました。

2007年には二輪車用の「エアバッグ」を世界で初めて量産車に搭載した「ゴールドウイング GL1800 AIR BAG」を登場させ、翌2008年モデルではビルトインタイプのナビゲーションシステムを日本で初めて標準搭載するなど、どこまでも進化し続けるフラッグシップ・モーターサイクルの道を独走していきました。

【最新モデル】Gold Wing Tour[2018年〜]

Gold Wing Tour(2018年〜)※コレクションホール 1F展示

2018年には、六代目となるゴールドウイングシリーズが誕生。スタイリングもさることながら、最新型の「水冷4ストロークOHC(ユニカム)4バルブ水平対向6気筒エンジン」へと進化しました。

コレクションホールの1階には、跨って写真も撮れる最新モデルの「Gold Wing Tour」が展示されています。

2組のクラッチ機構の切り替えによって、駆動力に途切れのないスムーズで素早い変速を追求したHonda独自のトランスミッション機構「DCT(Dual Clutch Transmission)」を搭載し、電子式7段変速が可能になるオートメーション機構を新たに採用しました。

さらに快適な乗り心地と軽快なハンドリングを実現するHonda独自の二輪車用ダブルウィッシュボーン・フロントサスペンションを採用するなど、世界最高のモーターサイクルは今なお進化を続けています。

貴重な“GLサイドカー”や“ワルキューレ・シリーズ”

ゴールドウイング誕生50周年記念展示は、半世紀にわたる歴代のゴールドウイングの実車が見られるだけではなく、正規では日本未発売のモデルやゴールドウイングのエンジンを搭載した派生モデルなども展示されていました。

GL1100をベースにした皇宮警察仕様サイドカー「GL1100 EMP(1983年)」

GL1100 EMP 皇宮警察仕様(1983年)

こちらは、皇宮警察に配備され皇室のパレードなどで使用される特別なサイドカータイプの「GL1100 EMP」。

GL1100をベースにサイドカー仕様として特別カスタムが施されています。側車には警護を専任とする皇宮警察官が乗車し、クルマのようにドアを開けて乗り降りするようになっていました。

GLシリーズの6気筒エンジンを搭載したクルーザーカスタム「VALKYRIE(ワルキューレ)」シリーズも展示

左:ワルキューレ(1996年)、中央:ワルキューレ・ツアラー(1999年)、右:ワルキューレ・ルーン(2004年)※輸出モデル

GLシリーズの水平対向6気筒エンジンを搭載したクルーザーモデル「VALKYRIE(ワルキューレ)」シリーズ

まるでコンセプトモデルかと見紛う程の造形に変貌したワルキューレシリーズは、主にアメリカなどで販売されたGLシリーズのクルーザーカスタムモデル。日本では逆輸入モデルとして乗ることはできたようですが、今ではとても貴重なモデルです。

GLシリーズ開発のきっかけとなったCB750 Fourやライバル車種

左:KAWASAKI 900 Super 4(Z1B)、右:Honda Dream CB750 Four(1969年)

他にも、当時の国内最大排気量を誇る“ナナハン”という言葉まで生み出したHonda「CB750 Four(1969年)」と、そのライバル車種であったカワサキ「900 Super 4(Z1)」1969年にHonda Dream CB750 Fourを登場させたことによって世界中を驚愕させたHondaでしたが、ライバル社が900ccのDOHC4気筒エンジンを搭載したモデルを1972年に発表。

それを超えるフラッグシップモデルの開発が急ピッチで進められることになり、CB750 Fourの直列4気筒エンジンをベースとすることなく、まったくのゼロから1000ccの水冷4ストロークOHC水平対向4気筒エンジンを搭載した「ゴールドウイング GL1000」を1975年に誕生させたのでした。

「キング・オブ・モーターサイクル」を目指して誕生、そして50周年へ・・・

半世紀にわたるゴールドウイングの歴史を駆け足でお届けしましたが、いかがでしたでしょうか?

50周年を迎え、今後も進化を続けるゴールドウイングをよろしくお願いいたします!!

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【文:岩瀬孝昌(外部ライター)】

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