見た目はクラシカルでも中身は最新バイク。GB350 Cはリアルなヴィンテージバイクにはないアドバンテージを持ち合わせたバイクです。
その結果……どうなるかと言うと？
すべてが優しい『GB350 C』はツーリングで疲れづらい
スタイリングこそクラシカルであるものの、走り自体は現在の最新バイクとしての安心感や快適さに満ち溢れているGB350 C。
このバイクはエンジンの耐久性や信頼性、走りの快適性だけでなく、『走りそのもの』も極めて優しいフィーリングでした。
例えばワインディングロードもそうです。
このバイクが気になっている人はご存じかもしれませんが、GB350 Cは前後のディープフェンダーなども含めスタンダードのGB350に比べて7kgほど重くなっています。7kg重くなったとはいえ車両重量は186kgと軽量ですし、こういったバイクはピュアスポーツのように『軽さが命！』という訳でもありませんので、それ自体をネガティブな要素にはなりません。
というか……むしろ『良い結果』を生んでいるような気がします。
そう言いたくなる理由が『ハンドリングの優しさ』です。
既存モデルのGB350／Sのシャープなハンドリングと違い、GB350 Cはハンドリングがおおらか。そうは言っても車両重量は186kgなので、大排気量バイクの重量車のような重厚さを持ち合わせている訳ではありませんが、逆に『軽快さ』と『どっしり感』のバランスが絶妙だと感じられます。
GB350 Cの重量がもたらすコーナリング中の安定感はバイク初心者の人にも安心を感じさせてくれるものですが……
ライダーが積極的にバイクを操って走りを楽しもうとすれば、こちらもなかなかどうして悪くない（笑）
このバイクをブレーキングやらスポーティなフォームでうんぬん……なんていうのは無粋な話ですが、もっとシンプルなところで『アクセルを開ける楽しみ』がきちんと感じられるんです。
これも旧車では望むべくもないことですが、ワインディングでの走りもきっちり『現代の最新バイク』です。でも勘違いしてはいけないのが……
どこまで行ってもその走りは『味わい』の土台のうえにあるものだ、ということです。
走るペースとしては極めて常識的な範囲。ぶっちゃけ、このバイクよりもスポーティに走れる250ccクラスのバイクだってあります。
でもそういうことじゃないんですよね……
そもそも走りの満足度なんて、主観的なものでしかありません。そして、GB350 Cの走りは『速度』としては決して速くない。
だけどそれと乗っている人間の満足度は別問題。私は大型スポーツバイクにも乗りますが、GB350 Cをワインディングで走らせている間は『これはこれで楽しいぞ!?』と満足した気持ちでした。速いか遅いか、なんてこと微塵も考えてなかった！（笑） アクセルを大きく開けて、エンジンの鼓動とサウンドに身を任せる。ワインディングでの走りすらGB350 Cは『心地良い』ものだったんです。
そうやってワインディングを含め、GB350 Cで走った距離はトータル500kmに迫る勢いでした。
そして、その帰り道にふと気づいたのが『疲労感の少なさ』だったんです。
街乗りも高速道路も一般道のツーリングシーンも、GB350 Cあらゆるシチュエーションでライダーを優しく包み込んできます。
加速も減速もブレーキもバイクを寝かせるコーナリングも、すべてが優しい。だから、長い時間と距離を走っても驚くほどに疲れない!?
そこには【後編】でお伝えしたシートの完成度の高さもあり、それに付随してさらに自然に足が下せるようになった「足つき性の安心感」も加わります。
このバイクは『乗っている時に気を遣う瞬間』がすごく少ないのだと思います。
GB350 Cは見た目どおりですが『ツアラータイプ』のバイクではありません。
だけど『500km程度を走っただけ』じゃ、まだまだこのバイクの魅力を感じ切れていない……なんて思えるんです。快適装備なんてほどんどないはずなのに（笑）
体力的な部分も含めてもっと走れると思ったし、走りたいと思いました。
……え？
実はGB350 Cってツーリングも得意なバイクなの？？？
ちょっと予想外の結果ではありますが、素直にそう感じたのでツーリング好きライダーのひとりとして、それもお伝えしておきたいと思います。
長い時間を共にしても変わらず愛せるスタイルと深い味わい。走らせれば優しくてマイペースのツーリングが大の得意とか……
こひょっとしてラシカルスタイルだけど、実は一般道ツーリング無双のバイクなのか？
意外だけど、そんなGB350 Cに好感度はさらにアップしてしまいました。
本当に排気量なんてまったく関係ないと思えてくる……期待通りどころか期待以上。
これを書いている現在進行形で、ただ純粋に『欲しい』と思う気持ちが大きくなり続けています。
だってGB350 Cは私の主観において『傑作』です。
またHondaさん……とんでもなく魅力的なバイクをつくってくれたなぁ……こういうのねぇ、困るんですけど！（笑）
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【文／北岡博樹（外部ライター）】
