排気量アップと車体のバージョンアップによって、従来型以上に高速道路での快適クルージングが可能となったADV160。だけど高速道路を降りたら、それ以上に下道ツーリング無双だと感じたんだが?
ツーリングバイクとしても素質ありすぎ
かなり驚かされたADV160の高速道路クルージング能力でしたが、新型にはまだ先がありました。このバイクの旅性能、ちょっとあなどれないかもしれません……
まず走りの前に言っておきたいのが、バイクでのツーリングにおける宿命。荷物問題です。
一般的なロードスポーツの場合、ツーリングには専用のバッグが必要になります。もちろんリュックなどで背負うこともできますが、長距離の場合はとても疲れるので、私(北岡)はあまり推奨しません。
その荷物問題においてADV160は……
スクーターのスタイルなんだから当たり前と言われそうですが、シート下のトランクスペースがあります。しかもそれがめちゃくちゃ広い。
なんと容量29Lです。ぶっちゃけた話、個人的には一泊二日どころか二泊三日レベルのツーリングでも余裕でこなせる容量だと感じています。しかもシートオープンはワンタッチで気軽だし、当然雨にも強い訳です。
そのうえで!
フロント側には容量2Lのフタ付きインナーボックスまで装備。サッと取り出したい手回り品を入れておくのにすこぶる便利です。
しかも内部にはUSB Type-Aの給電ソケットまで!? デジタルガジェット類の充電もできる、という至れり尽くせりな状態です。
ある意味、ツーリングで最も難問となる荷物問題が存在しない……これはツーリングにおいてとてつもなく大きなアドバンテージになります。
街中以上に感じられる『軽さ』の恩恵
そういった荷物問題をデフォルトで解決できるADV160は、最初の【前編】でもお伝えした通り、軽快かつダイレクト感がある走りが真骨頂。
この軽快さが高速道路を降りてからの一般道でも大きな武器になります。
基本的な走行フィーリングを、一般的なMT車のロードスポーツに例えて言うならば、ADV160の走りはスポーティーな方向性。
軽さと軽快さを活かせるよう、ライダー側が積極的にメリハリとつけて、キビキビとコーナーをつないでいく走りかたが気持ちいいバイクでした。
さすがに最高出力16馬力/車両重量136kgなので、もっと排気量の大きな純正なスポーツバイクのように『どっしりとした安定感』というタイプではありませんが、これは軽量・ローパワーな小排気量車の宿命みたいなもの。そのあたりを弁えつつ、適切な減速とアクセルワークを駆使すればワインディングだって十分に楽しむことができます。
そして、中でも印象が良かったのがブレーキ! オンロードスポーツ的なしっかり感のある走りとシンクロする扱いやすさを備えている印象です。
繊細なコントロール性も備えていると言うか、ちょっと『スクーター』とは思えない扱いやすさだと思います。
コーナリングも楽しめる。車体は軽い。トランスミッションはオートマチック。高速道路ですら十分に感じる安定感がある。
これで一般道のツーリングが快適じゃないはずがありません。のんびり平和に、景色でも眺めながらクルージングするのには最適です。
上半身がまっすぐ起こせるライディングポジションのおかげで視界が広いのも、ツーリングが気持ちいいと感じる一因かもしれません。
ADV160が持つ可能性
ちなみにADV160は基本的にシティコミューターのカテゴリにあるバイクなので、荒れた未舗装路をバリバリ駆け抜けるタイプではありません。
だけど! このスタイルなのでやっぱりちょっと、未舗装路とか走ってみたくなっちゃいますよね。
なので、あくまで『実験的に』フラットダートに挑んでみたのですが……
率直に言って、予想以上。これもADV150以上です。
ADV160は先にも言っている通り『ダイレクト&スポーティーな走り』をするタイプだったので、最初はちょっと後ろ(リアサスペンション)がハネちゃったりするかもな? と思っていたんですが、フラットダート程度はまったく問題なし。オンロードで感じたソリッド感はどこいった? と思うほどにサスペンションが良い仕事をします。無茶さえしなければ、軽い未舗装路程度はそれなりに走ることができちゃいます。
ましてや新型ADV160には後輪の予期せぬスリップに対応してくれるHSTC(Hondaセレクタブルトルクコントロール)も実走されている訳で……限度や節度は守る必要がありますけど、見た目に反しない冒険パフォーマンスも備えているのだということを実感。
さすがにこのあたりはHondaです。やっぱり『見た目だけ』なんてことはありません。
日々の街乗りで通勤や通学も快適&カッコいい。そのうえで高速道路から一般道まで幅広く楽しめる『バイク』としての魅力も標準装備!
しかも例えばキャンプツーリングなどで、キャンプ場が未舗装だったとしても乗り越えていけるパフォーマンスまで備えてる。
これはちょっとヤバいかも……160ccだから、とか原付二種のほうがランニングコスト的にお得、とか言ってられないレベルに遊びの幅が無限大です。
ですから最初の【前編】で言った通り……
この見た目に惚れた! という人、その直感を信じて大丈夫!
新型ADV160は、きっと『今までとは違うバイクライフ』を楽しませてくれるはずですよ!
【文/北岡博樹(外部ライター)】
ホンダ『ADV160』に乗ってみたいなら!
※HondaGO BIKE RENTALではレンタル車両の未舗装路の走行は禁止となります。