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レーシング女子岡崎静夏の『いつもバイクで!』【CBR1000RR-R FIREBLADE SP編】扱いやすさが磨かれて、驚速のまま楽しさ倍増

猛烈な暑さが続く今夏ですが、フル参戦している全日本ロードレース選手権のJ-GP3が長い夏休み期間に突入してからも、岡崎静夏さんはバイク三昧。新型になったCBR1000RR-R FIREBLADE SPでは、サーキットライディングを満喫!!

自分が上手くなったと錯覚するほど乗りやすい

この夏、私は人生で初めてちゃんとしたトレーニングをしています。ジムに通っているのですが、バイクと一緒でまずは正しいフォームを覚えて、少しずつベースアップさせている段階。まだまだ初心者という感じですが、全日本ロードレース選手権J-GP3クラスのシーズン後半戦がスタートする9月上旬の「スーパーバイクin九州」までに、足りない技術を補えるパワーを少しでも得られたらと考えています。

一方で、仕事とプライベートで相変わらずバイクにもたくさん乗っていて、7月末には筑波サーキット・コース1000で、私が所属しているティー・プロ・イノベーションが主催するサーキット走行会にアドバイザーとして参加。自分のJ-GP3マシンに加え、’24年型で熟成されたCBR1000RR-RファイアーブレードSPを、思いっきり走らせてきました!

このコースは、全長約1000mと短め。ホンダのフラッグシップで、スーパーバイクレースのベース車という役割も担う最高出力218psのRR-Rを走らせるには狭すぎて、私が走らせてもその性能を持て余してしまいそう……というのが、コースイン前の予想でした。

ところが実際には、新型になったことでかなり乗りやすさが向上しており、自分でも驚くほど最初からスポーツライディングを満喫。先代までとは異なるキャラクターに、感動すら覚えました!

燃料タンクのボリューム感はそれなりにありますが、走り始めてしまえばそこまで重さや大きさは気にならず、とくにブレーキングのときに重量を感じないので、自信を持ってコーナーに進入できます。

SPにはオーリンズ製のスマートECシステム(電子制御サス)が使われており、今回のモデルから、自分の体重を入力することで推奨プリロード値を表示する機能と、Aモード選択時に走行状況だけでなく体重を加味した減衰力に自動調整される機能が追加。今回、プリロード値は体重65kgのライダーを想定した標準セットのままでしたが、それでも減衰力調整が私の体重に合うようになったことで、ブレーキングやターンインなどがしやすくなったのだと思います。

さらに、’24年型はアルミ製ダイヤモンドフレームも見直されており、この恩恵もあってか、コーナリング中の自由度が高い印象。これも一般ライダーのファンライドにおける気持ちよさにつながるはずです。 また、ドン突きの無さを含めて、立ち上がりなどでスロットルを開け始めたときのコントロール性が抜群に良好。もちろん、そのまま開け続ければ200psオーバーの強烈な加速になるので、モビリティリゾートもてぎのフルコースみたいな広いサーキットを走らせてみたくもなりますが、ショートサーキットでも先代以上に楽しさを味わえるマシンに仕上げられています。

熟成で手強さが減り、ファンライド性が向上

これまでのRR-Rは、ライディングポジションもかなりスパルタンでしたが、これもやや自由度がある方向に。よりカラダを動かしやすく、前傾姿勢が緩くなったことで視野を広く保ちやすくなったことで、狭いコースでも操縦性が高まっただけでなく、ファンライド層がより安全にスポーツライディングを楽しめるようになっていると感じます。

今回はサーキットライディングのみでしたが、このライポジと低速域でもコントローラブルなエンジンなら、公道ツーリングも楽しめそうです。

電子制御は多彩。出力特性やエンジンブレーキ、トラクションコントロールやウイリー挙動緩和などの制御介入度を、細かく調整できます。

ABSの制御切り替えにも変更が加えられ、従来の2モードから3モードに。公道向けの「スタンダード」と、サーキットでの使用を想定した「トラック」、後輪のABS機能がキャンセルされる「レース」が選べるようになりました。電子制御の細かい違いは、じっくり乗り込まないとなかなか把握しきれないかと思いますが、そういうセッティングの楽しさがたっぷり詰まっているのも、RR-Rの魅力です。

先代までのRR-Rは、速さを最優先に考えたかなり手強いマシンという印象でしたが、“驚速”という基本路線はもちろん維持しつつ、新型には自分のライディング技術が向上したかと錯覚するほどの扱いやすさがプラスされていました!

CBR1000RR-R FIREBLADE SP:SHIZUKAの評価

1)スタイリング:ウイングレットなどをアップデートしながらも、CBRらしいシンプルかつシャープな雰囲気が踏襲されていて、洗練されたルックス!

2)スポーツ性:元々がまさにスポーツするためのバイクですが、’24年型はレースだけでなくファンライドにもより適した仕様になっています。

3)ツーリング:ライポジが楽になり、エンジンや電子制御の熟成で扱いやすさが増したことで、従来型よりツーリングユースも視野に入っています。

4)街乗り:日常の足にするような車種ではないですが、発進と停止を繰り返すようなシーンでも扱いやすいので、街乗りも問題ないと思います。

5)コストパフォーマンス:もちろん安くはないですが、このマシンはHondaのフラッグシップ。性能や装備を考えたら妥当だし、その価値は十分にあります!

SHIZUKAのお気に入りポイント

【体重を考慮した目安プリ表示機能】
’24年型SPには、ライダーの体重を入力すると、体重に応じた前後サスの推奨プリロード値を表示する機能が追加されました。体重が軽い(または重い)人でも、セッティングの目安がサービスマニュアルなしで分かるのが超便利!

【ライポジが楽でより扱いやすく!】
欧州仕様の資料によると、従来型と比べてステップ位置は16mm低く、ハンドルグリップ位置は19mm上方かつ23mm手前。ライダーの姿勢自由度がより高まり、視野が広がったことで、ミニコースや公道での操縦性が向上しています。

●まとめ:田宮 徹 ●写真:楠堂亜希
※当記事は(株)内外出版社ヤングマシン掲載記事(2024年10月号)の内容を編集・再構成したものです。

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