スポーツバイクにおいてレーシーなイメージを強調する「セパレートハンドル」。
スポーティーなルックスもカッコよくて魅力的ですが、乗り始める前にメリットや注意ポイントを知って自分に合ったバイクを選びましょう!
「セパハン」は“かっこいい”だけじゃない!
スポーツバイクにおいてスポーティーさを演出してくれる「セパレートハンドル」。
カッコいいですよね!
略して「セパハン」。英語圏では「clip on handle(クリップオンハンドル)」などとも呼ばれますが、そのルックスに惹かれて「乗りたい!」と思う人も多いことでしょう。
でもセパレートハンドルは「カッコイイ」という理由だけで採用されているわけではありません。
ちゃんと機能性が重視されているんです!
まず「セパレートハンドル」を採用したバイクは、教習所などで採用されているバーハンドルを採用したバイクとは操作感がガラリと変わります。ですからバイクを選ぶ際には、そのメリットや注意すべきポイントを知っておかないと、乗り始めてから「思ってたのと違う!」なんてことになってしまうかもしれません。
愛車選びの前に、まずセパレートハンドルについて知っておきましょう!
セパレートハンドルのメリット
もともとセパレートハンドルはバイクレースなどスポーツライディングシーンにおいて、より速く走ることを追求して生まれた装備。
様々な要素が絡み合う、とても複雑な話でもあるので今回はごく簡単に紹介しますが、セパレートハンドルを採用することで以下のようなメリットが生じます。
空気抵抗の軽減
レースにおいて直線のトップスピードを稼ぐという点において重要になってくるのが「空気抵抗」です。
スーパースポーツモデルなどは空力性能を追求して開発されたフルカウルなどを装備し、風の抵抗を極限まで減らす工夫が凝らされており、セパレートハンドルも空力性能に一役買っています。
ハンドルを低い位置にマウントすることで上半身を伏せやすくし、空気抵抗を減らすことができるのです。
前輪に荷重がかけられる
バイクのスポーツライディングにおけるコーナリングでは、前輪に荷重をかけた方が安定感や旋回力を高めることができるシチュエーションがあります。
セパレートハンドルはライダーの乗車姿勢そのものが前輪荷重に貢献。よりアグレッシブなコーナリングがしやすくなります。
コーナリングフォームをとりやすい
現代のスーパースポーツモデルを用いたスポーツライディングでは、ライダーが身体をバイクのイン側に入れたフォームでコーナーを曲がるのが一般的です。
写真のようにライダーがいわゆる“ハングオン”と呼ばれる姿勢で曲がっているのを見たことがあるかもしれません。
特に最高峰のレースでは、ライダーの肘が地面に接地するほど身体をインに入れて走行するシーンもあります。
セパレートハンドルはこのコーナリングフォームをとりやすく、より速く効率的にコーナーを曲がることができるのです。
「セパレートハンドル」の注意ポイントは?
上記のようにサーキットやレースシーンにおける“実用性”において、セパレートハンドルはとても重要な役割を担っていますが、公道で利用する場合には気を付けなければならないポイントもあります。
セパレートハンドルを採用したバイクに乗る前には以下のようなポイントを知ってから乗り始めるといいでしょう。
身体に負担が掛かり、疲れやすい
まずセパレートハンドルのバイクの宿命ともいえるポイントが“疲れやすい”ことです。
ハンドル位置が低く上半身が前傾することで腕や肩、背中にかかる負担が増えます。
サーキットにおける“スポーツ”としてのライディングにおいて疲労は織り込み済みの問題ですが、街乗りや長距離ツーリングなどでは、ある程度の身体への負荷は覚悟しておくべきでしょう。
低速や降車時の取り回しに注意
セパレートハンドルを採用したバイクはその構造上、ハンドルの切れ角が少ないものが多くなります。これはサーキットなどにおいて、基本的にはハンドルの舵角ではなくバンク角により、バイクを曲げることが前提に設計されているからです。
そのため、街乗りやツーリングなどのシーンでハンドルを切って小回りするのが苦手。Uターンや降車時の取り回しでは注意が必要です。
また、低速でバランスをとるのもバーハンドルのバイクに比べて難しいため、慣れないうちは立ちゴケなどにも注意が必要です。
セパレートハンドルでもツーリング志向のバイクがある!
ここまでお話しした通り「セパレートハンドル」はより、サーキットなどにおいてより速くコーナーを駆け抜けるための装備であるため、街乗りやツーリングシーンにおいてはデメリットともいえるポイントがあります。
しかし、それは「スーパースポーツ」に分類されるバイクでの話。
Hondaのバイクを例に挙げると『CBR1000RR-R FIREBLADE』や『CBR600RR』『CBR250RR』などがそれにあたります。
ですが中には公道でも乗りやすく、ツーリングでも快適に楽しめるセパレートハンドルを採用したモデルもあります。
Hondaのラインアップするバイクだと『CBR400R』や『CBR650R』が挙げられます。
それらは同じセパレートハンドルでも、スーパースポーツの『CBR-RR』シリーズに比べてハンドルの位置が高く設定され、身体への負担を減らし、快適に街乗りやツーリングを楽しむことができます。
上の写真の通り、『CBR400R』はスーパースポーツモデルの『CBR600RR』に比べ上半身が起きているのがわかります。
もちろんこのセパレートハンドルもただの飾りではなく、ワインディングなどで充実したライディングを楽しめるよう設計されています。
セパレートハンドルのスポーツバイクに憧れているけれど、街乗りやツーリングも快適に楽しみたい方はハンドル位置の高いフルカウルスポーツモデルをチョイスするのも良いかもしれません。
特徴を知って自分に合った“セパハン”バイクに乗ろう!
バイクのルックスにスポーティーさをプラスしてくれる「セパレートハンドル」は、より速く走るための“実用性”を持つ反面、公道での快適性や取り扱いでは注意すべきポイントもあります。
しかし上記で紹介した通り、公道での快適性も両立したモデルも多くあります。
ですから自分がどんな風にバイクを楽しみたいかを踏まえて、自分に合ったバイクを選んでみましょう。
ただし!
本格的な低い位置のセパレートハンドルを採用したスーパースポーツモデルはやっぱりカッコイイですよね!
バイク選びにおいては“好きなカタチのバイクを選ぶ”というのも、とっても大事なポイントです。
身体への負担や取り回しにおける多少の苦労には目を瞑り、カッコよさで憧れを追い求めるのも十分にアリ!
その際には、今回お話ししたような「セパレートハンドル」についての注意点を事前にしっかり知っておくと、イメージと違ってビックリ! ということがなく、スムーズにバイクライフのスタートを切れるハズですよ!
HondaGO BIKE RENTAL でセパレートハンドルのバイクに乗ってみよう!
HondaGO BIKE RENTAL ではHondaのラインアップするバイクに試乗することができます。
もしセパレートハンドルのバイクが気になっていて、それがどんなものか一度乗ってみたい、という方はレンタルで体験してみるのもひとつの手です。是非一度、自分の感性で体感してみてくださいね!
【文:石神邦比古(外部ライター)】