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レーシング女子 岡崎静夏が じっくり乗ってみました【CB1000R編】パワフルなエンジンで「操る楽しさ」を満喫!

●まとめ:ヤングマシン編集部(高橋 剛) ●写真:楠堂亜希 *当記事は(株)内外出版出版ヤングマシン掲載記事(2022年8月号)の内容を編集・再構成したものです。

【テスター:岡崎静夏】
チャーミングな笑顔でも中身はスパルタンな「バイクフリーク」。’09~’10年、MFJレディースロードレースで2年連続王者に。全日本はGP-MONOを経て’12年からJ-GP3に参戦中。

 

包容力あるエンジンと車体だからどこでも楽しめる

CB1000Rを走らせていると、「ああ、バイクって楽しいなあ」と改めて思います。加速して、減速して、旋回して……と、言葉にすればものすごく簡単な3つの操作を繰り返しているだけですが、そのひとつひとつが本当に面白い!「バイク乗りでよかったなあ」と、しみじみ思います。

CB1000R、スロットルを開けるとすっごく進むんです。……全日本ライダーがこんな表現でいいのか、と我ながら心配ですが、いわゆる加速のフィーリングが「進む!」という感じで、力強いんです。そのパワフルさが本当に気持ちいい。

「背中をそっと押す」というようなジェントルな加速ではありません。スロットルを開けると、開けた分だけグイッと引っ張られる感じ。なんなら自分の意識よりもCB1000Rの方が先に行くぐらいの勢いがあって、スロットルを開けるたびに楽しくて仕方がありません。

さすが、CBR1000RR直系のエンジンですよね。パワーがあるのはもちろんですが、気になることが何もなくて、さらに「楽しい!」と感じさせてくれるんですから、自分のようなバイク好きにはたまりません。

こういうエンジンだと気分が高揚するんですが、その理由はきっと、「パワフルだから」というだけではありません。車体の姿勢を作りやすいからだと自分は思います。

スロットルを開けるとフロントが高くなる、スロットルを閉じるとフロントが低くなる、というピッチングモーションが分かりやすいから、右手をひねるだけで車体姿勢を意のままにでき包容力あるエンジンと車体だからどこでも楽しめるんです。これが気持ちよさを生んでるんじゃないかな、と。

これってつまり、エンジン自体もスロットルワークにしっかりと追随してくれている、ということ。自分の意識より先行するぐらい十分なパワーがあるからこそ、うまくコントロールすれば思い通りに走らせられるわけです。

ルックスはモダンなネイキッドという感じのCB1000Rですが、中身は優れたスポーツバイク。「ライダーの思いのままに操れる」という、スポーツライディングの本質を備えたバイクだと思います。

街乗りでは、一時停止すら楽しいんですよね。また発進加速ができると思うと、ワクワクしてしまいます。スッと走り出すだけで「た、楽しい……」とうれしくなってしまうなんて、なかなかないですよね。

【ツーリングにプラスαの喜びが】視線が高いネイキッドなので、景色を楽しめます。でも最大の特長は基本性能の高さ。スロットルを開けた時の楽しさと言ったら……! ツーリングに走りの喜びがプラスされますよ。

CB1000Rのエンジンが優れているのは、低回転寄りにパワーが振られていることです。スーパースポーツのエンジンは基本的に回すことでパワーを絞り出す高回転型ですが、CB1000Rに採用するにあたっては、しっかりとストリート向けのチューニングが施されています。

今回はロケとは別に、道志みちを使って山梨方面にツーリングに出かけてみましたが、これがもう最高すぎ! 普段なら3速、4速で走るところをあえて2速に落とし、スロットルのオンオフと軽いブレーキングで流すように走ると、めちゃくちゃ爽快でした。

決してギャンギャン引っ張るような走りではありません。制限速度の範囲内でスムーズにコーナーを縫うように走っただけ。それでもこんなに楽しめるのは、低回転寄りにチューニングされている恩恵ですね。

そしてライディングモード! 自分はスポーツライディング好きなので、モードはいつも「スポーツ」に設定するんですが、ツーリングでは雨上がりの濡れた路面もあったので、「レイン」も使ってみました。

これがまた絶妙! スポーツモードのアグレッシブさとはまったく別の穏やかな表情を見せてくれて、安心感が増します。モード間の差はかなり明確に設定されているので、スポーツ、スタンダード、レインの3つをうまく切り換えることで、より幅広い楽しみ方ができるバイクです。

さらにユーザーモードもあって、自分好みに細かく設定もできるそう。今回はそこまで踏み込む時間はありませんでしたが、「自分が所有したら……」と妄想が膨らみました(笑)。

これだけ「楽しい、楽しい」を連発するからには、何がそんなに楽しいのか考えてみたんですが、たぶんCB1000Rのエンジンと車体にかなりの余裕があるからじゃないかな、と。

バイク側のパフォーマンスがいっぱいいっぱいだと、「エンジンを回さなきゃ」とか「しっかりブレーキをかけなきゃ」といった具合に、何かと気ぜわしくなりがちです。でもCB1000Rぐらい高性能だと、こちらの操作に対してゆとりのある反応を示してくれるから、落ち着いて楽しさを満喫できる。大人な包容力の中で遊ばせてもらっている感じがたまりません。

ところで私、このたび30歳になりました。が、何かが変わった気はまったくしておりません(笑)。バイクに乗りまくった20代でしたが、その姿勢は30代でも継続し、バイクという乗り物への理解をもっと深めたいです。生きている限り、バイクにはずっと惹かれ続けると思うから。

CB1000R:SHIZUKAの評価

1)スタイリング:ブレずに台形フォルムを貫く姿勢が好きです。全体的に大人っぽい落ち着きと洗練を感じるデザインになってます。

2)スポーツ性:そこはネイキッド、サーキットを走ろうとまでは思わないけど、峠道で加減速のフィーリングを楽しむのが最高!

3)ツーリング:アップライトなポジションで景色を堪能し、ワインディングでは操作のひとつひとつを楽しむ。喜びが深まります。

4)街乗り:発進停止は楽しいし、扱いやすいし、結構向いています。でもせっかくのパワフルさ、街だけじゃもったいない!

5)コストパフォーマンス:シンプルなネイキッドですが、走りの質感、デザイン性のよさ、そして充実装備を考えれば、高くは感じません。

【SHIZUKAのお気に入りポイント】再三繰り返しているように、エンジンが最高すぎます! 本気で欲しくなっちゃってます。そしてホイールもよりカッコいいデザインに。ネイキッドに新しい風を吹かせてますよね。

 

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