「燃費が良い」とは、どのようなバイクのことなのでしょうか?
今回はバイクを購入してからのランニングコストにも大きく影響する『燃料』について解説します。
ガソリン1リットルでどれくらいの距離を走れるのか
バイクに乗り始めると、ツーリング仲間や友達から「そのバイク、燃費どれくらい?」と聞かれることもあるかと思います。
そんな、よく耳にする「燃費(ねんぴ)」とは一体、何の事を差すのでしょうか?
バイクは燃料となるガソリンと空気の混合気をエンジン内で爆発させた力を使って走っているので、エンジンが動いている限り、絶えず燃料を消費しています。
そして“燃費”とは『燃料消費率』の略称で「1リットルのガソリンを使ったら、どれくらいの距離が走れるのか」を計算したものになります。
ガソリンを入れる「燃料タンク容量」の大きさもバイクによってそれぞれ違いますが、ガソリン1リットルを使うと大体どれくらいの距離が走れるのかが分かれば、自ずとそのバイクが『1回の給油で、どれくらい距離が走れるのか』が分かります。
例えば、1リットルのガソリンを使ったら距離30kmを走れるバイクで、燃料タンク容量が10リットルだったとしたら、燃料を使い切った場合の航続距離は、単純計算で300km走れることになりますね。
この場合の“燃費”は30km/Lということで表せます。
しかし、燃費がちょっと難しいのはここから。
バイクは種類によって排気量やエンジンの気筒数、車体の重さやタイヤの大きさなど、それぞれのバイクが全く違う性能になっていると言ってよいほどに異なりますから、燃料の消費の仕方もバイクによって全然変わってきます。
更に言えば、ライダーの走り方や体重、アクセルやブレーキの扱いかたなどでも全く変わってくるんです。
では、“燃費が良いバイク”とはどんなものなのでしょうか?
燃費が良いバイクとはどんなバイク?
「燃費が良いバイク」とは、超カンタンに言えば「少ない燃料消費で長い距離を走れるバイク」です。
先ほど、ライダーの体格や乗り方でも燃費は変わると言いましたが、少しややこしくなるので、今回は割愛。純粋にバイクに焦点を絞って話を進めます。
ホンダのカタログや公式Webサイトには、車種ごとにスペック表が掲載されていますが、その中には「燃料消費率」が載っています。
今回はGB350シリーズのスペックを見てみましょう。
スペック表に記載されている“燃料消費率”とは、国土交通省やメーカーが決められた環境でテストした数値が記載されており、これを見れば、指定された環境でガソリン1リットルを消費した時に、どれくらいの距離を走ったのかを把握することができます。
燃費は計測の仕方でも変わりますから、基準となるものとして「定値燃費値」と「WMTCモード値」と呼ばれる2つの計測方法の値がスペック表に載っています。
注目したいのは、同じシリーズとなる『GB350』と『GB350 S』でも、国土交通省に届出した「定地燃費値」が異なっています。
■GB350 燃料消費率|国土交通省届出値:定地燃費値 49.5km/L〈2名乗車時〉
■GB350 S 燃料消費率|国土交通省届出値:定地燃費値 47.0km/L〈2名乗車時〉
1リットルあたり、たった2.5kmの違いですが…
GB350とGB350 Sの燃料タンク容量はどちらも15リットルなので、ガソリンを使い切った時の航続距離が37.5kmも変わってくるのです。
燃費の良さはランニングコストに大きく影響する
例えば、燃料タンク容量が10リットルのバイクで、燃費が約30km/Lだった場合の総走行距離は300km。燃料タンク容量が15リットルのバイクで、燃費が約20km/Lだった場合も総走行距離は300kmになるので航続距離は同じです。
この場合、同じ1リットルのガソリンで走れる距離の差が10km/Lも変わってきます。
ガソリンの価格だってバカにはなりませんから、5リットルも少ないガソリン量で同じ距離を走ることができるとなれば、バイクを購入してからのランニングコストに大きく影響してきます。
それに、少ない燃料で済むほうが地球環境にも優しいですしね。
燃費が良いと、いいことづくめ!
ホンダは技術の粋を尽くして、ユーザーのため、環境のため、日々バイクの燃費の向上に努めているんですよ!
【文:岩瀬孝昌(外部ライター)】