ようやく気温が下がり、快適にツーリングできるようになってきた10月上旬。レースとイベントで相変わらず大忙しの岡崎静夏さんは、山中湖まで息抜きのショートトリップ。その相棒に選んだのは、新たな車名で2024年4月に登場したホンダのNX400!
今月はホンダのNX400を相棒に、山中湖までツーリングしてきました!
オンロードでも安心感ある良好なコーナリング特性
2024年4月に、従来型の400Xがモデルチェンジされ、同時に車名も変更されてデビューしたのがNX400ですが、そのスタイリングにはラリーマシンのテイストが加えられており、エレガント路線だった400Xとは異なるタフでスポーティな雰囲気。同じ血筋であることに気づかない人もいるはずです。というより、実は私がそうでした。
外観が一新され、Honda・セレクタブル トルク コントロール(=トラコン)や5インチフルカラーTFTメーター、スマホ連携機能のHonda RoadSync(ホンダ・ロードシンク)、新世代の左手側ハンドルスイッチが採用されていますが、基本部分の設計は400Xを踏襲。それもあって、乗ってすぐに思いました。
私、このエンジンがやっぱり性に合うんだなあ……と。
数か月前に乗ったCBR400Rにも使われている399cc水冷直列2気筒エンジンは、日本の道をツーリングするのにちょうどいい性能。適度な低回転域トルクとピーキーではない出力特性は、扱いやすさと疲れにくさにもつながり、250ccクラスと比べたら高速巡航やタンデムや荷物積載時の余裕もあります。
疲れにくさということでは、アシスト&スリッパークラッチの恩恵によるクラッチレバー操作荷重の軽さもポイント。長距離ツーリングでは、とくに効いてくると思います。
コントローラブルだから楽しみながら旅できる!
そして車体に関しても、まず気に入ったのは疲れにくさでした。ライディングポジションは、一番楽に座れる姿勢を考慮したかのよう。しかも、着座位置にかなり自由度があり、長距離巡航時に少し座る位置を変えることでも疲労軽減を図れます。スクリーンはやや小さく感じられますが、防風効果は抜群。高速道路を1~2時間走ったくらいでは疲れる気配がまるでなく、もっと遠くまで旅したいと思わせてくれる快適な乗り心地です。
コーナリング特性は、ツアラーとしては非常に秀逸。19インチの前輪径、長めの前後サス、フロントが高めでリヤが低めの車体姿勢……となれば、とくに中高速コーナーではフロントがアウトに逃げていきそうですが、そんなフィーリングはまるでありません。ハンドリングはニュートラルだし、ハンドル位置が高いわりには前輪の接地感を掴みやすく、安定感のあるコーナリングが可能。着座位置の移動で意図的に旋回特性を変化させやすく、ワインディングでも楽しく操ることができます。
ダブルディスクのフロントブレーキは、制動力の立ち上がりが唐突すぎず、急制動時でさえコントローラブル。サスペンションの機能を保ったまま減速できるので、かなりの安心感につながります。
そしてこのエンジンと車体の組み合わせにより、NX400は舗装路だけでなくフラットダートでも、一般的なツーリングレベルの走行なら意外と無理なく扱えます。エンジンはトコトコ走るのも得意だし、ダートでもブレーキはコントローラブル。大排気量クラスと比べたら車重も軽めなので、旅先で見つけた河川敷や林道のフラットダートや、キャンプ場のアクセス路などを、あまり不安を感じることなく走れると思います。
とはいえNX400は、あくまでもクロスオーバーモデル。フラットダートだけでなく、高速道路を含むオンロードも得意で、快適なだけでなく楽しみながらツーリングできるマシンです。この迫力あるラリーマシンテイストのルックスに、もしかしたら圧倒されてしまう人もいるかもしれませんが、乗ってみると意外なほど扱いやすく、かなり印象は変わるはず。ぜひ一度、試乗してもらいたいバイクです!
SHIZUKAの評価
1)スタイリング:圧倒されちゃうようなラリーマシンテイスト。ただし乗り味は、外観から受ける印象とはだいぶ異なるので、まずは一度乗ってみて!
2)スポーツ性:オンロードでもオフロードでも、想像以上に“遊べる”マシン。だけど私の“スポーツ”スイッチはオンにならないかなあ……。
3)ツーリング:最高レベルの適性。ソロでもタンデムでも疲れないし、コーナーで遊べる雰囲気もあり、道を楽しみながら旅できる素敵な相棒です。
4)街乗り:市街地ではやや大柄に感じますが、ハンドル切れ角が多めで、アイポイントが高く、低中回転トルクもあるので、意外と扱いやすいです。
5)コストパフォーマンス:高速道路を快適に移動でき、ワインディングとフラットダートで遊べて、タンデムも得意。はっきり言ってリーズナブルだと思います。
SHIZUKAのお気に入りポイント
【矢印のナビ表示はやっぱり超便利!】
’24年型CBR400Rなどと同じくスマホ連携機能のHonda RoadSync(ホンダ・ロードシンク)が標準装備され、メーターにはターンバイターンのナビも表示可能。スマホホルダーがあまり好きではない私にとって、これはとてもありがたい装備です。
【高速巡航が快適な実用的スクリーン】
直立気味に設計されているスクリーンは、防風効果がかなり高めで、高速道路の巡航でカラダに受ける走行風が極めて少なめ。しかも、下部に設けられたダクトやスリットのおかげで、後ろから背中を押すような巻き込み風も皆無!
●まとめ:田宮 徹 ●写真:楠堂亜希
※当記事は(株)内外出版社ヤングマシン掲載記事(2024年12月号)の内容を編集・再構成したものです。