(岡崎静夏プロフィール)
全日本ロードレース選手権J-GP3クラスにフル参戦を続け、ʼ25年は自己最高記録更新となるランキング3位を獲得した驚速女子。でも、公道ではゆったり派なのだ!
50㏄原付一種と同じルールで走る新原付
はっきり言って、ちょっと侮っていました。だってスペックだけで想像したら、スーパーカブ110を遅くしたのが、新基準原付となるスーパーカブ110 Lite。私は大型自動二輪免許を所持しているわけで、完全に同じ車体なら、走行の制約が多い原付一種の110Liteを選ぶ理由はほぼありません。
ところが、従来からラインアップされている原付二種モデルと乗り比べてみて、新基準原付の110 Liteに対する印象は一変!
今回はそのあたりのインプレッションをお伝えしたいのですが、その前に、新基準原付についておさらいしておきましょう。
そもそも、クルマの免許でも乗れる原付一種は、これまで50㏄クラスで展開されてきました。しかしこれは、世界的に見るとほぼ日本独自の排気量帯で、近年は需要が大きく減少。なおかつ50㏄クラスは、どんどん基準が厳しくなる新たな排ガス規制への対応が難しい状況に追い込まれてしまいました。
そこでʼ25年4月の道路交通法の一部改正により原付一種の新たな区分として追加されたのが、「排気量50㏄超125㏄以下、最高出力4.0kW以下」の新基準原付。交通ルールはこれまでの原付一種とまったく同じで、クルマの免許でも運転することが可能です。
原付二種の車体がもたらす快適で余裕のある走りのLite
新基準原付という新たな制度に、いち早く対応したのはホンダ。ʼ25年11~12月にかけて一挙に4車種を発売しました。いずれも、開発ベースは既存の原付二種モデル。基準に合致するよう、出力特性が最適化されています。このうちDio 110 Liteは専用シートを採用していますが、カブ系3車種については車体が共通化されています。
スーパーカブ110 Lite の場合、車体色も原付二種モデルに設定があるカラーリング。細部をよく確認すれば、タンデムステップがないとか、速度計が60㎞/hスケールとか、新基準原付であることがわかるステッカーが貼られているなどの違いに気づきますが、ナンバープレートの色や前後フェンダー識別マークの有無に注目しないと、一種なのか二種なのか判別することは難しいと思います。
でも、公道を走るときのルールはかなり違います。新基準原付はあくまでも従来の原付一種と同じなので、法定最高速度は30㎞/h以下。これは、もっと高い速度域で走ることを前提に設計された原付二種の車体にとっては、かなり余裕がある領域です。
おかげで例えばブレーキは、原付一種としてはかなり満足できる制動力。それ以上に高評価だったのは足まわりで、走る速度域が下がったことでしっとり感が生まれました。原付二種と乗り比べ、「これ、本当に同じサスですか?」と疑ってしまうほどの差。加速性能がマイルドになり、あまり引っ張って乗らないことでエンブレも弱まった結果、加減速によるピッチングが少なくなったことも、こういう印象につながっているのでしょう。
もちろん、市街地をキビキビ走りたいなら、よりパワフルで交通ルールの制約が少ない原付二種のほうが有利。同じ足まわりでも速度域が変わることで乗り心地のよさではLiteが勝っていると感じました。
街の走り方はけっこう違う
【試乗まとめ】110と50のいいとこ取りで敢えてLiteを選びたくなる!?

最高出力こそ4.8psに抑えられているスーパーカブ110 Liteですが、「思ったよりも遅くない」というのが正直な感想。もちろん、乗り比べたら8.0PSの原付二種版には加速で負けますが、同じ109㏄仕様で原付一種としてはかなりトルクがあり(※最大トルクは従来型50が0.39㎏-m、110 Lite が0.70㎏-m、110が0.90㎏-m)、しかもカブ系は積極的なシフトチェンジでエンジンのおいしいところを使えるので、しゅ~んとスムーズに車速を伸ばせます。ちなみに、私の体重で平地なら、2速発進も余裕。従来の50㏄みたいな、いつでも頑張っている感じは皆無で、快適性に優れています。
単にトルクフルなだけでなく、原付二種モデルよりもはるかに低い回転数で最大トルクを発揮するエンジンのおかげで、ちょこまか走るようなシーンでもスロットル操作で車体の動きをコントロールしやすく、乗っているときの車重は従来の50㏄よりも軽く感じるほど。カブとしてのちょうどいいが詰まっています。
スーパーカブ110 Lite:SHIZUKAの評価

1)スタイリング:スーパーカブの王道スタイルが貫かれているところが魅力。レトロに感じるカラーリングだけど、塗色そのものに古臭さはありません!
2)スポーツ性:原付二種モデルよりもLiteのほうが、スポーティに操ったときにエンジンと車体のバランスが良好。まあ、そういうバイクじゃないですけど。
3)ツーリング:原付一種としての制約は多いですが、Lite のほうが乗り心地と扱いやすさと快適性に優れ、まったり旅できそう。十分にアリだと思います。
4)街乗り:Liteは、バイク初心者やクルマの免許で乗る人に適した走行性能。しかも従来の原付一種よりも高性能で、安全快適に移動を楽しめます。
5)コストパフォーマンス:従来のスーパーカブ50と比べたら10 万円近い価格増。それでも、この走りと乗り心地を考えたら、私なら絶対に110 Liteを選びます!
SHIZUKAのお気に入りポイント
【快適で遅くない絶妙な出力特性】
出力は抑えられていても、50㏄モデルと比べたらかなりトルクフル。俊敏すぎず遅すぎない絶妙な領域にあり、快適に走れます! !
【原付二種譲りで余裕のある車体】
前後サスやブレーキなどは、もっと速度を出すことが許されている原付二種と同じ仕様。原付一種の速度域では余裕たっぷり!
(クレジット)
●まとめ:田宮 徹 ●写真:楠堂亜希
※当記事は(株)内外出版社ヤングマシン電子版掲載記事(2026年2月号)の内容を編集・再構成したものです。

















