高速道路を降りて一般道へ。
ツーリングは一般道が本番だけど、その中で意外なことに気付いたかもしれません。
【高速道路編】はこちら↓
トランザルプ750（XL750 TRANSALP）は走っているだけで満足？
プレス向け試乗会では感じられなかったことを感じるために、新型トランザルプ750（XL750 TRANSALP）でロングツーリングへ！
季節も良いのでなんとなく信州方面を目指した訳ですが、東京から200km程度の高速道路はこのバイクにとっては余裕すぎ……
ノンストップだったにも関わらず、何の疲れも感じないままに高速道路を降ります。
ここでスゴいな……と思ったのが自分の気力の充実具合でした。
通常だと200km以上も高速道路を走った後に、一般道へ降り立つと「ちょっとコンビニでひと休みしようかな」と思うのが常なんですが……あまりにも疲れていないので、止まる理由がない。残りのガソリンにも余裕があるので、先を急ぎたい訳でもないのに、そのまま高原を目指してしまいました。
こういうちょっとしたところに、旅バイクとしてのトランザルプ750の実力を感じます。
普通は疲れてくると走ることに対する集中力が落ちるんですけどね……それが自分としてまったく感じられないんです。
だから、そのままの勢いで突撃することになったワインディングも全集中で楽しむことができました。
トランザルプ750はフロントに21インチホイールを採用していることや車体の設計の方向性として、基本的にハンドリングはおおらか。そして超安定志向です。特に驚くのがフロントタイヤの明確な接地感で、細い21インチのタイヤにも関わらず、タイトコーナーで深く車体をバンクさせていっても安心感が失われません。
そしてタイヤの性能もですが、これには性能優先で採用されたカートリッジ式のフロントフォークも関わっていると思います。
とにかく！ ワインディングを走ることに対して気を使わない。
フロントブレーキはサスペンションが沈んでからジワーッと効力が立ち上がってくるタイプなので、オンロードスポーツのようなダイレクト感がある訳じゃないんですが、慣れてしまえば唐突さがないことにメリットを感じられるようになります。ブレーキングにも全然気を使わないんです。だけど操作感はきっちりと感じられるので、車速のコントロールは自由自在。750ccクラスのバイクとしては軽量な208kgという車両重量も手伝って、安心してコーナリングを楽しめます。
だけど、適切なギアでコーナー脱出に向けてアクセルを開けると、さすがの新設計エンジン……一気にピークパワーを発生する9,500回転まで回っていこうとします。ただ、その加速の中にも優しさがあるし、ABSやHondaセレクタブルトルクコントロール（※トラクションコントロールに該当）などの最新電子制御にも支えられてもいるので、怖いと感じることはありません。
とはいえ、そうは言っても91馬力のパワーと208kgの軽量な車体のバイクですからね？
ワインディングをスポーティに楽しむ、という部分もきっちりと楽しめる。この走りの中には、往年のトランザルプから受け継がれている万能さの美徳、あるいはスポーティであることを貫くHondaのバイクとしての矜持のようなものが感じられます。
で、ワインディングでも『安心感しか感じない』トランザルプ750ですから、一般道のツーリングペースは輪を掛けてさらに安心。
ここでも際立つのは先の【高速道路編】で言ったエンジン回転数3,000～4,000rpmの万能エリアです。
この回転域は力強さをはっきり体感できつつ、アクセル操作にシビアさがまったくないので心穏やかに旅の空気を満喫することができます。
いつだってマイペース。ツーリングシーンにおいて、トランザルプ750は必要以上の主張をしてきません。変な話ですが、何も考えずに『やっぱりバイクはいいよナァ……』って気持ちで満たされていきます。
そこで気づいたんですが、このバイク……疲れないし、常にマイペースで走れるから、どんどん走っちゃう。走り続けられちゃうんです。
そのせいで無理をしている訳じゃないのに休憩の回数も少なくなり、たまに景色の良いところで停まってみることはあるんですが、そんな時も自動販売機で缶コーヒーを買って、自然の中で佇んでいるだけで満足できちゃう。なんだかこう……旅の道中でお金があまり掛からないんです。アレが見たいコレが食べたい！みたいな欲求が湧いてこないというか、走っているだけで幸せになれるというか。
そう考えると、トランザルプ750って、実は高コスパなバイクなのかも？
穏やかな時間の中で、ゆったり自然と戯れるだけ。それだけで気持ちが満たされるっていう事実が、トランザルプ750が『真の旅バイク』であることの証明のように思えます。
いやぁ……このバイクで北海道をソロツーリングとかしたら、たぶん最高にしあわせな時間が味わえる気がするナァ!?
引き続き、【オフロード編】もご覧ください↓
【文／北岡博樹（外部ライター）】
ホンダ『XL750 TRANSALP』に乗ってみたいなら！
※注：HondaGO BIKE RENTALではオフロード走行は禁止されています
