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伊藤真一 PRESENTS ロングラン研究所 NX400 E-Clutch 編

(大倉さんプロフィール)
大倉 由揮(おおくら ゆうき)
1998年、大阪府大東市出身。2003年、5歳のときにモトクロスを始め、2016年には全日本選手権IBオープンでチャンピオン獲得。2017年から2021年はIA2クラスを戦い、2022年にヤマハからホンダに乗り換え、最高峰IA1クラスにステップアップ。2025年、昇格4年目にしてIA1タイトルを獲得。今年度もHonda Dream Racing Bellsに所属し、IA1連覇に挑む。

今回のロングランはホンダCRF450Rを駆り、全日本モトクロス選手権で活躍する大倉由揮さんをゲストに招いてお送りいたします。取り上げるのは6月18日に発売された、Eクラッチを新たに採用したクロスオーバーモデルのNX400 E-Clutch。全日本王者による貴重なインプレッションを、ご一読ください!

乗りやすい…とにかく めちゃくちゃ乗りやすいです!

タイヤが4つ付いてるみたい!その安定感の高さに驚嘆

中型(普二輪)免許は、18歳になってすぐに取りました。試験場で取ったのですが、4回目で合格だったかな? 今27歳なので、だいぶ前のことになりますね…。大型免許も取りたいのですが、なかなか行く時間が作れないです。大型免許の取得は、今年の目標にしたいです。あ、もちろん、全日本モトクロス選手権IA1クラスタイトル防衛が一番の目標です!

近場への足として125㏄のスクーターは所有していますが、乗る時間がないこともあって街乗り用のバイクは持っていません。ですから今回の撮影で、公道をバイクで走るのはかなり久しぶりになります…。編集部を出発してまず首都高に入りましたが、バイクで高速道路走るのは人生初体験でした(苦笑)。最初は怖かったですが、だんだん慣れて楽しくなりました。ただ、オフロード用ヘルメットのバイザーへの空気抵抗がすごくて、頭がかなりブレてしまいました。この黒白基調のヘルメットは、普段レースで使用しているものです。

NXに乗るのはもちろん初めてですが、とても乗りやすいですね。当たり前ですが、モトクロスで乗っているCRF450Rとは全然違う乗り物です。旋回性を重視するモトクロス用マシンは、コーナーで倒し込むとパタンと車体が寝ます。寝かし込むとそのまま倒れて行ってしまいますが、NXは倒してみてもその後安定して起き上がってきます。とにかく安定感がすごくて、タイヤが4つ付いているみたいな? これならば全く転ぶ気がしないくらいでした。モトクロス用マシンよりもある意味ダルな特性といえますが、そんなにめっちゃ重いという感じはないです。

アスファルトの上をバイクで走ること自体かなり久しぶりですが、モトクロス用マシンとは異なる、街乗り用バイクならではの特性が楽しかったです。フロントブレーキがダブルディスクのバイクはモトクロスでは基本ないですけど、そんなに違和感はなかったですね。

オンロードとオフロードそれぞれ求められる要素の違い

モトクロス用マシンと公道用オンロードバイクでは、ブレーキングの感覚は全く違います。アスファルトの上では、モトクロスほどリアブレーキ使わないですね。免許の最初の試験で40㎞/hから急制動をしたとき、モトクロスの感覚でブレーキペダルを踏んだらリアをロックさせて、タイヤから白煙を上げてしまいました。それまでアスファルトの上を走った経験がなかったので…(苦笑)。

サスペンションについてもモトクロス用マシンに比べると、動かないという感覚です。ただ乗り心地は非常に良いですね。公道での使用に適したセッティングになっていると感じました。今回の試乗で未舗装路は砂の上をちょっと走ったくらいでしたが、NXのサスペンションとブレーキの組み合わせであれば、オフロードも全然行けちゃうと思います。未舗装林道とかも、気持ちよく上がって行けそうですね。ライディングポジションは自然にスッとシートに座れる感じで、勝手に身体が良い位置に来るようになっていると思いました。タンクのまわりを足で挟みやすいし、とても良くできています。

余談ですがモトクロスのシートの場合、僕はちょっとでもシートがヘタるのが嫌なので…。練習後に洗車するときは水に濡れてシートが柔らかくならないように、シートは絶対車体から外すようにしています。昔はそこまで意識しませんでしたが、ここ数年は経験からかマシンに対して敏感になりました。ハンドル取付位置も、1㎜の違いが気になります。

Eクラッチは、モトクロスの世界でも役に立つのか?

Eクラッチは初めて経験しましたが、とても楽なので気に入りました。普通のMT車は発進時にエンストを注意しないといけませんが、システム有効時はエンストの心配がありません。その心配がないのは、すごく安心感があります。NXのエンジンはトルク感がすごくあるので、高めのギアを選んで走っていてもトトトト…とスロットルを開ければ加速してくれます。急いでシフトチェンジしなくても…例えば前がクルマで詰まっていても困ることがありません。エンストしないし、シフトチェンジを急がなくて済むという、NXのエンジン特性とEクラッチの組み合わせは乗るのが楽で、特に半クラッチ操作に不慣れな初心者の方には喜ばれると思いました。

モトクロスにおけるEクラッチの可能性ですか? モトクロスの場合はパワーをかけたいタイミングとか半クラ操作とか、クラッチ操作が走るときの大前提になっています。またギャップなどで車体の挙動を減らすためにクラッチレバーを握ったり、ギャップからギャップへ飛んで行くときにポンとクラッチを切って跳ねたりとか、結構クラッチレバーを操作しています。ですから、モトクロス用マシンにEクラッチを採用しても戦闘力アップにはならないかもしれませんが、Eクラッチの長所であるエンストしないところとかは、オフロードを始めたての初心者には非常に楽かもしれないですね。

NXのスタイリングについてですが、子供のころからモトクロスをずっとやってきたので、ホンダ、イコール赤というイメージがあります。ですから今日乗せていただいたNXの水色とオレンジの車体色を見ると、僕としては非常に新鮮な印象を受けました。

もし今、大倉選手が、公道用バイクを購入するとしたら…

もしバイクを買うとしたら…? CBR250RRとかそっち系ですね。単純に格好良いですし、乗ることのないタイプのマシンには憧れがあります。あとオフ車になると、段差とか気にせず走っちゃって、バイクで入ってはいけないところにも入ってしまいそうなので(笑)。

ロードレース関係の友人が多いのですが、昨年末は桶川スポーツランドで(小椋)藍くんたちと一緒に走りました。藍くんの練習車を借りたのですが、コーナーの最初からスピードを乗せていかないと出口が遅いとか、モトクロスとのスピードの乗せ方の違いとかを学びました。ロードレースの一流ライダーたちがコーチしてくれて、僕が初心者なこともあってやればやるだけタイムがどんどん縮まっていくので、このまま永遠に走り続けたいと感じるくらい、とても楽しかったです。

ですからもしオンロードバイクを買ったとしても、サーキット専用にしちゃうかもしれません(笑)。街乗りバイクを楽しむのは、モトクロスの現役を引退してからなので、だいぶ先になると思います。

 

宮崎 健太郎/写真:南 孝幸 *当記事は月刊『オートバイ』(2026年9月号)の内容を編集・再構成したものです。

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