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令和に蘇った約100年前のオーバーオール。知られざる復刻エピソード

山本被服株式会社(以下、山本被服)「STAR OVERALL」とHonda「ダックス125」のコラボ商品として、【STAR OVERALL DAX125】が誕生。

今回紹介するのは、100年以上の歴史を持ち、日本を作業服・制服といった商品で支えてきた山本被服の知られざる歴史と、「STAR OVERALL」にかけた熱い想い。
山本被服とHondaには多くの親和性がありました。

アメリカ発のブランド

山本被服は主にオフィス事務服や、一般作業服を制作している制服・ユニフォームメーカー。
Hondaにもユニフォームを提供していただいています。

山本被服は静岡県に工場を構える日本の服飾メーカーですが、原点はアメリカにありました。

創業者である高祖父夫妻がアメリカへ

時は1910年代、現在山本被服の代表を務める山本陵社長の高祖父に当る、初代 山本彦太郎さんと妻のゑきさんは、アメリカ西海岸へ出稼ぎに。
当時はゴールドラッシュの時代。山本彦太郎さんは炭鉱夫として働いていました。

そこで、アメリカで作業服として使われていたオーバーオールと出会います。
日本ではまだ着物やもんぺが当たり前に着られていた時代、これを日本に持ち帰ったら売れるのではないかと希望を見い出し、服飾の経験や知識を学びながらオーバーオールを研究。
一枚ずつ手作業で縫製し、自らのブランド「STAR OVERALL」をアメリカで起業しました。

日本にノウハウを持ち帰り、1926年に日本で「山本被服」を創業。
作業服という文化も、デニム生地さえも当時の日本人にとって見たこともないものでしたが、そんなオーバーオールは農業、酪農などを中心に丈夫な作業服として人気を呼び、様々な方々に愛されていました。

約100年振りの復刻プロジェクトが決定

現在ではオーバーオールではなく、現代の工場で通用する作業服をメインに制作している山本被服ですが、約100年振りの「STAR OVERALL」の復刻プロジェクトが発足します。
工場で使う作業服をメインに制作してきた山本被服にとって、現代ではファッションとしての側面が強いオーバーオールはこれまで通りに売れるかわからないものでした。
しかし、2021年にクラウドファンディングにより100着限定で復刻。第一弾の2021年、第二弾の2022年ともにすぐに完売するほどの人気でした。

復刻にかけた想い

山本被服の歴史を入社時に知り、かれこれ10年ほど復刻プロジェクトに携わってきた富所さんに「STAR OVERALL」復刻にかけた想いをお伺いしました。

 

入社当時から「STAR OVERALL」を復刻したいという想いがあって、なんとか実現できないものかと相談していました。 しかし現物が残っておらず、難航していましたが、10年ほど試行錯誤を繰り返し、ようやく復刻することができました。

復刻するにあたってデザインを大きく変えず、あくまで当時の「STAR OVERALL」と同じもので現代で機能が活きるもの、というのが大前提にありました。
基本は当時のものを忠実に作っていますが、ボタンのデザインなど当時の技術では実現できなかったことを、現代の加工技術で可能にしているので、そういった部分は先代の想いを汲み取り、復刻版で再現しています。

 

ちなみに今回「ダックス125」とのコラボが決定した際、会社で「ダックス125」を購入いただき、富所さんは休みの日に乗りながらこのバイクに適した仕様、デザインを研究していたそうです。

山本 陵社長も熱い思いを語ってくれました。

 

 「STAR OVERALL」は作業服なので、何かをする時、自分のスイッチを入れるユニフォームとして使ってもらえたら嬉しいです。
ユニフォームという言葉の“ユニ”はラテン語で1つ、“フォーム”は形という意味です。 人間の生活においてみんなで統一された1つのものを着るというのは集団に属しているという重要な意味を感じることができ、「STAR OVERALL」も手に取った方がそんな意識になってもらえたら嬉しいと思います。
ただの作業でもバイクに乗るときでも「STAR OVERALL」を着ることでスイッチが入り、「STAR OVERALL」を着ていることをきっかけに、似た趣味嗜好同士の方が繋がるなど、ただの作業服ではなく人生を共にする相棒として着てもらえたらありがたい事だと思います。

 

「ダックス125」とのコラボが実現

これまで、山本被服では別ブランドとのコラボは行っていませんでした。
Hondaが初のコラボとなりますが、そこには「ダックス125」と「STAR OVERALL」を結ぶ様々な親和性が。

まずは、同じく静岡県の企業であること。そして、モノづくりを通して地域全体を盛り上げたいという想いがありました。

次に、山本被服がこれまでHondaのユニフォームを作っており、その知見を活かして「ダックス125」のユニフォームとなり得る最適なオーバーオールを製作できるということ。
実際に仕上がった「ダックス125」と「STAR OVERALL」のコラボは両企業が納得するクオリティに仕上がっています。

写真左から「STAR OVERALL」開発マネージャー 富所 勢さん (山本被服株式会社/営業第一部 課長)、福知 えりあさん (山本被服株式会社/営業部 )、菅野 菜々子さん (株式会社ホンダモーターサイクルジャパン/企画部)、山口 孝一さん (山本被服株式会社/工場長)、「STAR OVERALL」ディレクター山本 陵さん (山本被服株式会社/代表取締役社長)

「STAR OVERALL」と「ダックス125」の親和性は他にも。
「STAR OVERALL」は約100年振りに復刻。「ダックス125」も、Hondaより1969年にデビューした「ダックスホンダ」が、現代風にアップグレードされ2022年に発売されたもの。
どちらも昔のスタイリングを踏襲しつつ、現代の技術や感性を取り入れ販売されました。

また、「ダックス125」は「大切な家族や仲間とともに楽しんでいただくことで、より充実したバイクライフを過ごしていただく」ことを目指したモデル。
「懐かしくて新しいデザイン」、「休日をライダー一人だけでなく、大切な家族や仲間と共に楽しんでいただく」という想いが合致し、【STAR OVERALL DAX125】が誕生しました。

【STAR OVERALL DAX125】を「ダックス125」に乗る仲間同士や、親子でユニフォームとして合わせることで楽しんだり、「ダックス125」を愛するあなたに趣味としてのユニフォームとして、長く愛着を持ち、一緒に思い出を刻んでいただけたらと思います。


次回はそんな【STAR OVERALL DAX125】について、詳しく紹介していきます!

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STAR OVERALL DAX125】特設サイトは3月3日(月)公開予定

 

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【文/佐藤快(外部ライター)】

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