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“スーパーカブ”シリーズって何機種あるの? 乗り味も違ったりするの!?

スーパーカブ110

突然ですが、「ホンダを代表するバイクを現行機種から1台選んで欲しい!」と言われたら、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか? 多くの人が教習所でお世話になったであろうCB400 SUPER FOUR? それともフラッグシップモデルのGold Wingシリーズ? あるいはサーキット性能を極限まで突き詰めたCBR1000RR-R FIREBLADE SPでしょうか?

その答えは人それぞれだと思いますが、僕なら悩んだ末にスーパーカブと答えます。釣りの世界には「フナに始まり、フナに終わる」なんて言葉があるようです。生まれて初めて釣った魚はフナで、それから趣味として色々な魚を釣っても最後は再びフナ釣りに戻る……という意味ですが、バイクの世界でも「スーパーカブに始まり、スーパーカブに終わる」というライダーも多いようですが、そこまで走り続けられたらどんなに素晴らしい人生でしょう。

…なんてことを書いているわたくしは、スーパーカブ110プロ(JA10)とクロスカブ110(JA45)のオーナーだったりします! 今回はちょっとそんなスーパーカブファンである僕の目線で“スーパーカブの世界”をちょっとだけ紹介させてください!

スーパーカブ110

スーパーカブ110

 

こんなにスゴイぞ、スーパーカブ!

“乗る人を選ばない親しみやすさ”に、簡単操作の自動遠心クラッチ”、そして優れた燃費性能”と信頼性の高さ”などなど。スーパーカブの魅力はいくらでも出てきますが、ファンである僕がいくら「スーパーカブはすごいんです!」と声を大にしたところで、所詮はファンのたわ言にしか聞こえないでしょう。ということでまずは、誰もが“あっと驚くような”スーバーカブのすごいトコロを3つに絞って紹介していきます!

60年以上の歴史がある!

始まりのスーパーカブ『C100』が登場したのは1958年。実に今から60年以上前のことなんです。ここまで長い歴史を持っているバイクはホンダのモデルのなかでもスーパーカブくらいです。長年その名が受け継がれている“CB”であっても、その名が歴史に登場するのは1959年のことでスーパーカブの方が1年先輩。スーパーカブというモデルはホンダの中で最も長く売られているロングセラーモデルなんです。

C100

空冷4ストロークOHV単気筒49cc、4.5馬力のエンジンを搭載して登場したC100。スーパーカブの長い歴史はここからスタートしました。

それだけ歴史の長いモデルですから、これまでたくさんの種類のスーパーカブが売られてきました。なので世の中には“スーパーカブ”と名の付くバイクがたくさんあるわけですが、オーナーの間では混乱を避けるために愛車の車名と合わせて“型式”も覚えておくのが慣わしになっているくらい。僕の場合、スーパーカブ110プロ(JA10)とクロスカブ110(JA45)になるわけですが、カッコの中のJA10やJA45というのが型式になります。「スーパーカブ110プロのJA10に乗ってるんですよ~」というと、「あ、中国工場生産の時代のスーパーカブ110プロですね! 僕のは熊本工場生産になってからのJA45のクロスカブです」というふうに話が早いんです。

全世界での生産累計台数が1億台を超えている!

1958年に登場したスーパーカブは、次年の1959年には米国へと輸出が開始されます。その後、数々のモデルチェンジを行ったり、バリエーションモデルを増加。また海外では販売する現地の交通事情に合わせた進化を行ったことでスーパーカブは現地の生活に広く浸透して行きました。その結果、タイ、インドネシア、ベトナム、ブラジル、中国など世界中でスーパーカブが生産されることになり、2017年には全世界での生産累計台数が1億台突破という快挙を成し遂げることになったんです。

ベトナムの通勤ラッシュ

ベトナムの通勤ラッシュ時間帯は路上がスーパーカブで溢れかえる。

上の写真は20年ほど前に、僕がベトナムを現地のスーパーカブでツーリングした時の写真ですが、朝夕のラッシュ時には都市部の道路は無数のスーパーカブで埋め尽くされます。海外での日本の製品がこれほどまでに愛されていることにとにかくびっくり! これはあくまで僕の私見ですが、スーパーカブは世界の歴史の中で一番売れたバイクであり、そしてその頑丈さゆえ世界で一番の数が走ってるバイクだと思ってます。

現地に根差すバイクでその土地を走るのが僕の趣味。レンタルしたのはベトナムのスーパーカブであるウェーブ110。後ろの看に“HONDA”の赤文字が見えますが、当時のベトナムではメーカー問わずバイクのことを“HONDA”と呼んでおり、“HONDA”の看板の横にタイヤが積み上がっていれば、「バイクの修理やってます」という意味なんです。

スーパーカブの生産台数の推移

1958年の登場から、2017年10月に1億台を突破するまでのスーパーカブの生産台数の推移。

 

スーパーカブの形状は立体商標登録されている!

そんな長い歴史があり、全世界で愛され続けているスーパーカブは2014年6月に立体商標登録されています。立体商標とは自社と他社の製品を識別できる立体物を商標法で保護する制度で、わかりやすい言葉に変換すれば“カタチの特許”。スーパーカブは「1958年の誕生から50年以上の間、機能的な向上を図りつつも一貫したデザインコンセプトを守り続けた結果、デザインを見ただけでHondaの製品であると認識できること」が特許庁の審査で認められたというわけです。

その名前を聞いただけで多くの人が思い浮かぶデザインであるということが立体商標においては重要になりますが、乗り物が立体商標として認められることはとても珍しいことだそう。他の例としてはコカ・コーラの瓶やフォルクスワーゲンのビートルなどが立体商標として登録されているそうですが、確かに言われてみれば、「あ、アレね!」とピンとくる形がありますよね。

スーパーカブの立体商標見本。

スーパーカブの立体商標見本。

そんな立体商標登録となったスーパーカブの特徴を挙げると、「ユニットステアの軽量コンパクトな車体」、「前後17インチの細身のタイヤ」、「特徴的なレッグシールド」、「横置きエンジンによる跨ぎやすさ」、「クラッチレバーの操作がなく左手がフリーになる自動遠心クラッチ」……と、なんだか途端に陳腐になってしまいます。ですが「スーパーカブってどんな形?」と問われれば漠然と思い浮かべる“スーパーカブのカタチ”が多くの人にあるはずなのです。それがバイク乗りに限らず、バイクに乗らない人の多くがイメージできるというのですから、こんなバイクは日本はおろかどこの国を探したってありません。

現在のスーパーカブは5系統、8機種

さてここからは、現行モデルのスーパーカブを見ていきましょう。ちなみに車名に“スーパー”が付いていなかったり、車体の構造がちょっと違っているモデルもありますが、これらは広い意味で全て“スーパーカブ”です。なので「CT125・ハンターカブ」を所有していれば、「うちにも1台スーパーカブがあるよ。ハンターカブね!」なんて感じで使ってしまって大丈夫です。

史上最もゴージャスな「スーパーカブC125」

スーパーカブC125

ゴージャスなスーパーカブC125(パールニルタバブルー)

チューブレス仕様の切削キャストホイールにステンレス製マフラー、スーバーカブ史上初となるスマートキーの採用など、とにかく装備が豪華なのがスーパーカブC125です。デザインモチーフは、その名前からもわかるとおり1958年登場の“初代スーパーカブ”であるC100。

また乗ってみると他のスーパーカブが発進加速に重きを置いているのに対し、スーパーカブC125は巡航速度域での走行性能が追求されています。60km/hくらいの速度域での振動が少なく快適で、再加速も力強く“ツーリングしやすいスーパーカブ”と言えます。ちょっと他のスーパーカブに比べると車格も大柄でがっしりしており、走りにもそんな骨太感が表れます。

カラーリングは「パールニルタバブルー」、「パールネビュラレッド」の2色展開。

メーカー希望小売価格(消費税10%込み)

スーパーカブC125 440,000円(消費税抜き本体価格 400,000円)
* 価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません。

 

スタンダードモデルにあたる「スーパーカブ110」「スーパーカブ50」

スーパーカブ110

スーパーカブ110(グリントウェーブブルーメタリック)

5系統、8機種ある現在のスーパーカブシリーズですが、最も“スーパーカブの立体商標見本”に近いスタイリングを持ち、スタンダードと言えるモデルがこのスーパーカブ110/50です。排気量違いでスーパーカブ110とスーパーカブ50の2機種があり、最近モデルチェンジしたスーパーカブ110は、キャストホイールに加え、フロントディスクブレーキおよびABSを装備しました。

またスーパーカブは鮮やかな青のグリントウェーブブルーメタリック」や目の覚めるような「パールフラッシュイエロー」をはじめ、シックなタスマニアグリーンメタリック」や「クラシカルホワイト」など、カラーリングが豊富なのも特徴。趣味の乗り物としてはもちろんですが、豊富なカラーリングをとり揃えることでビジネスユースにも使いやすくしています。

スーパーカブ50

スーパーカブ50(バージンベージュ)

一方のスーパーカブ50は、従来どおりのスポークホイール&チューブリムを採用し、ブレーキも前後ドラムブレーキというオーソドックスなスタイルとなっています。

 

カラーリングはスーパーカブ110がグリントウェーブブルーメタリック」、「タスマニアグリーンメタリック」、「クラシカルホワイト」、「パールフラッシュイエロー」、「バージンベージュ」の5色展開。

 

スーパーカブ50がバージンベージュ」、「グリントウェーブブルーメタリック」、「タスマニアグリーンメタリック」の3色展開。

メーカー希望小売価格(消費税10%込み)

スーパーカブ110 302,500円(消費税抜き本体価格 275,000円)

スーパーカブ50 247,500円(消費税抜き本体価格 225,000円)

* 価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません。

 

オフロードも走れるスーパーカブ「CT125・ハンターカブ」

CT125・ハンターカブ

CT125・ハンターカブ(グローイングレッド)

2020年に登場して大人気となったCT125・ハンターカブ。C125同様、かつて販売されていたハンターカブシリーズをモチーフとしており、鮮やかなレッドも当時からのイメージカラー。

最大の特徴は、フロントのステアリング構造がカブシリーズ定番のユニットステアではなく、一般的なスポーツバイクと同じように2本のフロントフォークがハンドルあたりまでしっかり伸びていることにあります。

このより高い車体剛性が確保できる構造のおかげでCT125・ハンターカブは、他のスーパーカブとは比べられないようなダイレクト感のあるハンドリングがその持ち味。“ハンターカブ”なんていういかにもタフそうな名前が付いてますが、そのイメージ通り、未舗装林道をちゃんと走ることができるオフロード仕様のスーパーカブとなっています。

カラーリングは「マットアーマードシルバーメタリック」、「パールオーガニックグリーン」、「グローイングレッド」の3色展開。

メーカー希望小売価格(消費税10%込み)

CT125・ハンターカブ 440,000円(消費税抜き本体価格400,000円)

* 価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません。

 

アウトドアイメージのスーパーカブ「クロスカブ110/50」

クロスカブ110

クロスカブ110(マットアーマードグリーンメタリック)

クロスカブ50

クロスカブ50(パールディープマッドグレー)

CT125・ハンターカブほどの本格的でなくていいから、遊び心のあるスーパーカブが欲しいという方におすすめなのがクロスカブシリーズです。とかく比較されがちなクロスカブ110とCT125・ハンターカブですが、キャラクターは全く別で、牧歌的な“スーパーカブらしさ”を求めのであれば、CT125・ハンターカブよりもクロスカブ110の方がオススメです。

スーパーカブ110同様、排気量違いのクロスカブ110とクロスカブ50がラインナップしていますが、よくみるとタイヤの大きさやハンドルやシートの形状がちょっと違っています。クロスカブ110のホイールはスーパーカブ定番の前後17インチサイズで、クロスカブ50は小径14インチサイズのホイールを採用。これはクロスカブ50が、次に紹介するスーパーカブ50プロをベースとしているからで、タイヤが小さいぶんシート高が下がって足つきが良くなり、小回りもきくというわけです。

また、このクロスカブ110と50には、ホンダの二輪工場がある熊本県とのコラボレーションで生まれた、同県PRマスコットキャラクターであるくまモンをイメージした「くまモン バージョン」も用意されています。

クロスカブ110・くまモン バージョン

クロスカブ110・くまモン バージョン(グラファイトブラック)

 

カラーリングはクロスカブ110が「マットアーマードグリーンメタリック」、「パールディープマッドグレー」、「プコブルー」の3色展開に加え、くまモン バージョンが加わります。

 

クロスカブ50がパールディープマッドグレー」、「マットアーマードグリーンメタリック」の2色展開に加え、くまモン バージョンが加わります。

メーカー希望小売価格(消費税10%込み)

クロスカブ110 363,000円(消費税抜き本体価格 330,000円)

クロスカブ110・くまモン バージョン 374,000円(消費税抜き本体価格 340,000円)

クロスカブ50 308,000円(消費税抜き本体価格 280,000円)

クロスカブ50・くまモン バージョン 319,000円(消費税抜き本体価格 290,000円)

* 価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません。

 

積載能力に優れたスーパーカブ、その名も「スーパーカブ110プロ/50プロ」

新聞配達をはじめとする働くスーパーカブの代名詞がこのスーパーカブ110プロとスーパーカブ50プロです。スーパーカブシリーズの中で最も大きなリヤキャリアを備える上に頑丈なフロントバスケットも装備。“プロ”の現場ではとにかくたくさんの荷物を積んで走ることになるため、より力強いキャラクターとなっており、路地裏で小回りがきくようにひと回り小さな前後14インチホイールを装備しています。

スーパーカブ110プロ

スーパーカブ110プロ(セイシェルナイトブルー)

……なんてことを書くと“お仕事”のイメージがものすごく強いですが、このスーパーカブ随一の積載性能は最近流行りのキャンプツーリングでも大活躍。「スーパーカブ110プロが相棒なら、シートバッグがどんなに大かろうと載せられる!」とスーパーカブ110プロオーナーの僕が太鼓判を押させていただきます。

それに走ってみてスゴイと思うのはやはり力強さ。その分ちょっと最高速の頭打ちは他のスーパーカブに比べて早いですが、配達業で鍛えられた運搬能力はとてつもなく、キャンプ道具フル積載の状態だって急な坂道をぐいぐい登っていきます。重たい荷物に耐える強化サイドスタンドもキャンプツーリングでは非常に便利です!

これであとは他の110、125系のスーパーカブ同様、タンデムステップを装備しているとツーリングマシンとしては完璧なのですが、“プロ”仕様にそこまで求めるのは酷ってものでしょう。

スーパーカブ50プロ

スーパーカブ50プロ(セイシェルナイトブルー)

またちょっと細かい話ですが“岡持ち仕様”の話もさせてください。これは本田宗一郎さんの発案でおそば屋さんが配達(岡持ち)で使いやすいようにスロットルやウインカーといった運転に必要な操作を右手だけで完結できるようにしたスーパーカブならではの工夫。「右ウインカー」とも言いますが、これが採用されているのは現行モデルのスーパーカブの中ではこのスーパーカブ110プロ/50プロとクロスカブ50だけとなっています。

メーカー希望小売価格(消費税10%込み)

スーパーカブ110プロ 346,500円(消費税抜き本体価格 315,000円)

スーパーカブ50 プロ 269,500円(消費税抜き本体価格 245,000円)

* 価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません。

 

まとめ

さて、ついつい大好きなスーパーカブの話題で長くなってしまいましたが、スーパーカブの素晴らしさは伝わりましたでしょうか? このほかにもスーパーカブにはまだまだいろいろな魅力や逸話が詰まっており、僕にとっては最高の旅バイクだったりします。長いバイク人生、一度くらいはホンダのスーパーカブを1台お手元に置いて“カブ主”になってみるのも楽しいのではないでしょうか?

【文:谷田貝 洋暁(外部ライター)

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