(荒川晃大さんプロフィール)
2002年11月15日、東京都出身。ロードレースをしていた父のもと、3歳で初めて電動バイクに乗る。その後ミニバイクレースで大活躍し、13歳のときにSRS-motoに入校。2019年より全日本選手権に参戦し、2022年にはST600タイトルを獲得した。2025年度にAstemo Pro Honda SI Racingに加入。今季もST1000に挑戦する若武者だ。
伊藤真一監督率いるAstemo Pro Honda SI Racingから全日本ロードレース選手権ST1000クラスに参戦する荒川晃大選手が出演! Honda E-Clutchとスロットルバイワイヤシステムを組み合わせた話題のネイキッドCB750 HORNET E-Clutchに試乗していただきました!

購入を検討している街乗り用バイクに、ピッタリな1台
私は今23歳ですが、大型免許を取得したのは19歳のときでした。コロナ禍のときで試験所が混んでいて、1回受けたら次受けられるのは何カ月後という感じでしたので、知人の勧めで近所の教習所に通うことにしました。3歳からバイクには乗っていますが、ちゃんと教習所で運転を学ぶことができたので結果的にはよかったかなと思っています。
バイクは現在複数台所有してはいますが、レース中心の生活なので全部練習用なんです。CBR250RR、モタード仕様のCRF450R、CBR600RRがメインの練習車ですね。ですから、何か街乗り用のバイク1台欲しいなと思ったりします。レースで乗るのは前下がりの姿勢になるSS(スーパースポーツ)なので、街乗り用を選ぶならリラックス姿勢で乗れるバイクが良いですね。
過去に試乗したモデルではレブルのライディングポジションなどが好きですが、ホーネットの750も乗りやすい姿勢なのでとても良いですね。ただ173cm、64kgの僕は気にならなかったですが、シート位置からハンドル位置まで若干距離感があります。シート位置がハンドル位置に対して低くなっていることもあり、女性ライダーや小柄な方はちょっとだけしがみつく姿勢になるかもしれないですね。
ライディングポジション的にはリアに乗るような姿勢で、ハンドルの位置的には低いわけではないのでそんなに前傾にはなりませんし、腕もあまり疲れないです。乗り味的にも前傾姿勢になっていると、ちょっと小さく曲がることろでおっとっと! となりますが、ホーネットは荷重がリア重視なのでジムカーナに使えるくらい取りまわしの良さがありました。伊藤監督も以前連載でホーネットを取り上げた時、ハンドリングを非常に褒めていたそうですが、僕もハンドリングの良さには非常に感心しました。ホーネットはハンドルで操作しやすいバイクだと強く感じましたね。

ホンダ車最大の美徳は足まわりとフレームのまとまり
ハンドルで操作しやすい…というのは、バイクを寝かせなくても曲げられるということです。教習所で教わったとおりに走れるかなと(笑)。例えばCBR1000RR-RのようなSSは、ハンドルが切れないから寝かないといけません。ホーネットはあんまり寝かせない…バイクの重心位置をずらさないと言いますか、ハンドルを良く使えるのでずらす量が少なくて済みます。
足まわりのサスペンションやブレーキについては、走るペースを速くしたりゆっくりにしたり、ブレーキの掛け方に強弱つけたり掛け方を変化させたり色々試してみました。ホーネットのフロントフォークは、結構思いっきりフロントブレーキを握ってガコンと入れてみても、反動がダイレクトに伝わる感じではなくて、減衰も効きながらサスペンションとして作動してくれます。チームのスポンサーだから褒めるわけではないですよ(笑)。しっかりショーワのクオリティを感じさせてくれる、非常に良いサスペンションだと思いました。
ニッシンのフロントブレーキはダブルディスクで、掛けた瞬間にカツンと効いてくれます。初期に甘さとかはなく素直に効いてくれるフィーリングで、握り込むとそれに応じてリニアに制動力が増す印象です。前後ブレーキを使うと、前後サスペンションもそれに追従して動いてくれる印象です。個人的に思いますが、最初から装着されているサスペンションとブレーキの、フレームを含めてのまとまりが、ホンダ車特有の良さです。これら足まわりのパーツを社外品に変えなくても、サーキットでも不満なく走らせることができるのが、ホンダ車を選ぶ大きなメリットだと思います。

街乗り用バイクにとってEクラッチは最高の装備
ナナハンなので小型車や中型車に比べれば重いですが、1000・に比べるとそんなに重すぎず…という感覚です。で、排気量が750・もありますからしっかりパワーがあるので、スロットルを開ければしっかりマシンが前に進みます。2気筒のエンジンはスロットル開度が低いところではそこまでパワー感はありませんが、それでもナナハンですから必要十分です。そこからパーッと開けていくと結構パワーが立ち上がってくるのですが、そのフィーリングがとても良くて気に入りました。パワー的に高速道路を走っていてもとても楽しめ、車重がある程度あることも高速走行時に安定感に結びついてプラスに感じました。そして先ほど話しましたが、ハンドルを切ってバイクを寝かせず曲げられるので、街中や峠道の一般道を走らせていてもとても快適だと思いました。
スロットルバイワイヤに最適化し、リフト機構を2軸化したホーネット用のEクラッチは、乗っていてめちゃくちゃ楽に思いました。街乗り用だったら、絶対Eクラッチ採用モデルがいいです。クラッチを握るタイミングを考える必要がないですし、手でクラッチ操作をすることがないから、エンジンブレーキを最後まできっちり使い切ることもできます。クラッチ操作のこと以外に集中できるので、公道を走らせる乗り物として安全だとも思いました。
そして自分の意思でクラッチ操作したかったら、クラッチレバーを握れば手動で操作できます。特別な切り替え操作が必要ではないので、そういった意味でもEクラッチは使いやすいなと思います。左手によるクラッチレバーの操作感ですが、一般的なMT車と大差はないですが、Eクラッチから切り替わるポイントが最初慣れていないと違和感を覚えるとは思いました。慣れるのが大変と思う場合は、いっそクラッチレバーを使わないと割り切ってしまうのが良いのかもしれませんね。

荒川選手が密かに所有してみたいと思っているバイクとは
1000・のネイキッドよりも軽くて取りまわしがしやすく、クラッチ操作のことを考えずに走らせることができるホーネットのEクラッチ仕様は、その乗りやすさから今回試乗してとても気に入りました。ピーキーすぎるところがない、オールレンジな仕上がりと言いますか、多くの人を満足させられる1台ではないかと思いました。
レース中心の生活がこれからもずっと続きますので、街乗り用のバイクを入手したとしてもなかなかツーリングに行く機会は作れないかなと思います。もしツーリングに行くとしたら行きたいところは…?
そうですね、家から遠いと帰りが大変なのが嫌なので、近場が良いですかね(笑)。まぁ言っていることと矛盾しますが、遠いですが北海道を走ったり、沖縄一周旅行とかしてみたいですね。実はゴールドウイングを所有してみたいとも、思ったりするんです。大容量のトランクならレースで使うライディングギア一式を入れることができるので、全日本ロードレース選手権の各会場入りも、ゴールドウイングで行けるんじゃないかなと思ったりしています。
まとめ:宮崎 健太郎/写真:南 孝幸 *当記事は月刊『オートバイ』(2026年7月号)の内容を編集・再構成したものです。


















