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CB400 SUPER FOUR E-ClutchがHSR九州の「鉄馬」に実証参戦! でもなぜ400ネイキッドでレース? その先に新型CB400SFの新たな可能性が見えた!

2026年8月21日に発売されたばかりの新型「CB400 SUPER FOUR E-Clutch」が、レーシングマシンに姿を変えてHSR九州の「鉄馬」に参戦!Hondaの社内チーム「NEXT STAGE CB」が製作したこのレース仕様車は、いったいどんなマシンに仕上げられ、そしてなぜ新型スタンダード400ネイキッドであるCB400SFで鉄馬レースに出場したのでしょうか?

人気のアマチュアレース「鉄馬」に、なぜ発売直後の新型CB400SFが参戦?

本田熊本製作所の隣にあるサーキットコース「HSR九州」を舞台に開催されている「鉄馬(てつうま)」。2014年から続く九州エリアではおなじみのファンライドレースで、その名前の通り「鉄フレーム」を主体としたマシンで競われる人気アマチュアレースのひとつです。

舞台となるHSR九州のサーキットコースは1周2.35km。トップスピードが200km/hを超えることもある本格的なコースで、アマチュアライダーが中心とはいえ、レースそのものはかなり本気のバトルが繰り広げられます。

このレースに参加するマシンは旧型車から現行モデル、さらには個性的なカスタムマシンまで、さまざまな車両が走れるカテゴリークラスが用意されているのも「鉄馬」の面白いところ。昨年は発売前のCB1000Fが出場・優勝したことでご存知の方も多いと思います。

そんな鉄馬レースのアイアンNK4クラスに、今回Honda自ら持ち込んだのが、発売されたばかりの新型CB400 SUPER FOUR E-Clutchでした。

市販車の基本はそのままに、レース環境で走るために必要な部分をカスタム

CB400 SUPER FOUR E-Clutch 鉄馬レース参戦仕様

まず最初にお伝えしておきたいのが、このCB400 SUPER FOUR E-Clutch<鉄馬レース参戦仕様>は、エンジンやフレームをはじめ、燃料タンクやシートといった車体の主要部分は基本的にノーマルのままだということです。

もちろん、サーキットを走るために足まわりやブレーキ、タイヤ、ハンドルまわりなどにはさまざまなレースカスタムが施されています。しかし、エンジンを開けて大幅なチューニングを行ったり、フレームを加工したり、タンクやシートをレーシング専用品に置き換えたり……というような、いわゆる「Hondaの開発陣だからこそできる特別なマシン」に仕立てたわけではありません。

あくまでも市販されている新型CB400 SUPER FOUR E-Clutchをベースに、レースという特殊な環境で必要となる部分を中心に手が加えられている仕様となっています。

しかしながら、2026年の「鉄馬 with TSK 決戦の日」で4気筒マシンが参戦するカテゴリーのひとつ「アイアンNK4」には、「1990~2010年生産の4気筒400cc以下の鉄フレーム車両」という車両規定があります。

つまり、これまでのCB400SFシリーズのような4気筒400ccクラスの鉄フレーム車はまさにこのカテゴリーに該当する一方、2026年8月に発売されたばかりの新型CB400 SUPER FOUR E-Clutchは、そもそも年式条件から外れています。

さらに新型CB400 SUPER FOUR E-Clutchは、今回のレギュレーションには対象外のクラッチレバー操作を電子制御する新機構「Honda E-Clutch」も搭載されています。

そこで今回の参戦は、通常のアイアンNK4での順位を争うものではなく、賞典外での実証参戦という形が取られました。

「Hondaが本気でレーシングカスタムすれば、そりゃ速いでしょ?」と思ってしまいそうなところですが、今回の目的は究極のレーシングマシンを作ることではありません。

市販車として生まれたCB400 SUPER FOUR E-Clutchが、どこまでスポーツライディングの可能性を広げられるのか。そして、Honda E-Clutchをレース環境で使用するとどうなるのか、などを実際のサーキットで確かめることにあります。

では、ノーマルのCB400 SUPER FOUR E-Clutchに、いったいどんなパーツが組み込まれていたのでしょうか。主なカスタムパーツを見てみましょう。

まず目を引くのがやはりマフラー。排気系にはアールズ・ギアの「ワイバン」チタニウムフルエキゾーストを装着し、エンジンやECU、燃料噴射系は基本的にノーマルながら、フルエキゾーストパイプ+サイレンサーの変更によって軽量化と出力アップにも貢献しています。

サスペンションは前後ともに手が加えられています。フロントにはCBR600RR用のフロントフォークとラジアルマウントキャリパーを採用し、リアにはレース専用にセットアップしたオーリンズ製(G sense)リアショックを装着。ノーマルのサスペンションでも充分スポーツ走行は可能ですが、レース現場で細かいセッティングを可能にするためにリプレイス品でカスタマイズされていました。

他にもホイールにはゲイルスピード、タイヤにはサーキット走行向けのPIRELL「DIABLO SUPER CORSA」を装着。さらにハンドルもCBR600RR用のクリップオンタイプへ変更し、ネイキッドらしいアップライトなポジションから、レースを意識した前傾姿勢へと変更されました。

純正ヘッドライトのレンズをくり抜いてゼッケンプレードを配置し、ノーマルステーを加工して取り付け位置を最適化。機能を残しながら、レーシングマシンらしい低いフロントまわりに仕上げられています。

ノーマルより低く前方へ構えた、サーキット走行に適したポジションへ変更され、これに合わせてヘッドライトとメーターの位置も最適化。ちなみにゼッケンNo.4は、4気筒400ccからつけたものだそうです。

ライディングポジションやバンク角などに関わる部分としてバックステップに変更。ノーマルよりステップ位置を後方・上方へ移動させることで、サーキットでの前傾したライディングポジションに対応。

コーナリング時の車体との一体感を高めるとともに、バンク角を確保する意味でも効果的な変更です。こうしたポジションまわりの変更も、レーシングマシンとして仕上げるうえでは重要なポイントとなっています。

また、オイルキャッチ用としてアンダーカウルは多くのレースレギュレーションで装着が義務付けられているため、試しにCB1000 HORNET用のものを流用したところ、まさかのシンデレラフィット!タンデムシート部分にはワンオフのナンバープレートを装着しています。

そのほかにも、ラジエーターをCBR400R FOUR E-Clutch用に変更するなど、サーキット走行を想定した細かな変更はあるものの、市販車としての基本骨格を残しながら、なるべくお金をかけずに必要な部分のみに手が加えられているレーシングマシンに仕上げられていました。

天候に恵まれたHSR九州でいよいよ決戦! 新型CB400SFの実証走行の結果は⁉︎

そして迎えた「鉄馬」の決戦の日。事前の天気予報では日本列島に台風が接近しており、天候が危ぶまれる状況でしたが、幸いにも台風が逸れたことで予選・決勝ともに天気に恵まれました。

雨を覚悟していた参加者にとっても、サーキットを思い切り走るには絶好のコンディション。HSR九州には朝から多くのライダーやチーム関係者、ギャラリーが集まり、パドックもいつも以上の熱気に包まれていました。

そんな中、いよいよ「NEXT STAGE CB」チームのCB400 SUPER FOUR E-ClutchがHondaパドックブースでお披露目されます。発売からわずか約1カ月という新型車をベースに、Hondaの開発陣自らがレーシングマシンへと仕上げた一台は会場で大きな注目を集めました。

今回の参戦は「賞典外」という扱いではありますが、だからといって走りが“お試し”というわけではありません。むしろ、実際のレースという厳しい環境でCB400 SUPER FOUR E-Clutchのポテンシャルを確かめることこそが、今回の大きな目的。また、来年以降のユーザー参戦に向けた公正なレギュレーション策定に寄与するための実証参戦となります。

まずは9/19土曜日に行われる予選でHSR九州の2.35kmのコースを使い、各車がタイムアタックに挑みます。

いよいよ実戦へ! 新型CB400SFが予選で見せた“想定外”の速さ

発売直後の市販車をベースにしたCB400 SUPER FOUR E-Clutchが、経験豊富な参加者たちを相手にどこまでのタイムを出せるのか。開発陣やエンジニアスタッフにとっても、ここは単なる順位争い以上に重要なセッションだったはずです。

鉄馬レースは予選・決勝ともにヒート1、ヒート2の2回に分けて競われます。ライダーはHonda社員ライダーの大橋淳希選手が担当。今回が新型CB400 SUPER FOUR E-Clutchにとって初めての本格的なレース実戦ということもあり、まずはマシンの状態やコースの感触を確かめながら周回を重ねていきます。

今回のマシンは、エンジンやフレームなどの主要部分を市販状態のまま残しながら、サスペンションやブレーキ、タイヤ、ハンドルなどをサーキット向けに変更したもの。もちろん、開発陣が仕上げたレーシングマシンだけに期待は高まりますが、実際のレーススピードで走らせてみなければ分からないことも少なくありません。

ヒート1では、そうした実走行による確認も重要な意味を持っていました。コーナーへの進入やブレーキング、立ち上がりでのトラクションなど、サーキットを実際に走ることで得られる情報をひとつずつ確認しながら、徐々にペースを上げていきます。

そして続くヒート2では、さらにペースアップ。大橋選手とマシンのコンビネーションも次第に高まり、CB400 SUPER FOUR E-Clutchはライバルたちと互角以上の走りを披露します。

発売からまだ1カ月ほどしか経っていない新型車だけに、実際のレースペースで走らせること自体が今回の大きな検証。マシンの状態を確認しながら徐々にペースを上げ、周回を重ねるごとにタイムを短縮していきました。

そして最終的にマークしたタイムは、HSR九州の2.35kmコースを1分11秒456。なんと予選トップタイムを記録しました。初めて実戦に投入された新型CB400 SUPER FOUR E-Clutchが、いきなり経験豊富なライバルを抑えてトップに立ったのです。

もちろん、これはまだ予選。今回の参戦は賞典外とはいえ、翌日にはセミファイナル、そしてファイナルが待っています。しかも決勝レースでは、他車との駆け引きや接近戦のなかでマシンをコントロールしなければなりません。

果たして、予選で見せた好タイムは、決勝レースでも維持できるのか。そしてE-Clutchを搭載した新型CB400 SUPER FOURは、ライバルたちとのバトルでどんな走りを見せるのか。舞台はいよいよ翌日の決勝へと移ります。

予選トップの勢いそのままに決勝へ! 新型CB400SFが本気のレースで見せた走り

そして迎えた9/20決勝。まず行われた5周のヒート1では、大橋選手が駆るCB400 SUPER FOUR E-Clutchが予選に続いてトップチェッカーを獲得しました。とはいえ、レースの内容は決して余裕のあるものではありません。

2番手につけるライダーも非常に速く、予選タイムの差も約0.13秒という接近戦。実際のレースでは、まさに一瞬の判断とライディングが勝負を分ける展開となりました。

特に興味深かったのが、ストレートでのバトルです。今回のCB400 SUPER FOUR E-Clutchは、エンジン自体はほぼノーマル。

対するライバル車には、エンジンチューニングによってパワーを引き上げたマシンも多く、ストレートでは追いつかれたり、前に出られたりする場面がありました。

ところが、コーナーへ入ると状況が変わります。CB400 SUPER FOUR E-Clutchは、E-Clutchによってクラッチ操作に割く意識を抑えながら、ライダーがブレーキングや車体のコントロール、ライン取りに集中できるのが大きな強み。

ストレートで多少離されても、コーナーで追いつき、さらに旋回性を活かして競り勝つことができました。Hondaが今回の実証参戦で確認したかった「E-Clutchのスポーツ性能」が、まさに実戦のなかで見えてきました。

ちなみに、ライダーの大橋選手曰く、手動クラッチを使ったのはスタート時のみ。その他の全てのコーナーやストレートなどではクラッチレバーを一切触ることなくE-Clutchのみで走ったそうです。

レースに参戦するからには優勝を目指して挑戦するものだとは思います。しかし、開発陣にとっては、実際のレースを走らせたことで「新型CB400SFがここまでスポーツ走行ができるのか」という驚きもあったといいます。

市販車として日常の使いやすさを重視したCB400 SUPER FOUR E-Clutchが、サーキットというハードな環境でも、ライバルと十分に勝負できるポテンシャルを見せたからです。

そして迎えたヒート2。決勝ファイナルのみ7周で争われる今回のレースでは、ヒート1以上にCB400 SUPER FOUR E-Clutchのポテンシャルが試されることになりました。

スタートから大橋選手は上位をキープし、ライバルとの距離を伺いながら周回を重ねていきます。

CB400 SUPER FOUR E-Clutchはチューニングされたライバル車を相手にしっかりと勝負を続けます。エンジンパワーだけを見れば決して有利とはいえないかもしれません。

それでも、車体の仕上がりとライダーの操作、そしてE-Clutchの特性を組み合わせることで、サーキットでも充分に戦えることを実際のレースで示したのです。

そして迎えた最終ラップ。追いすがるライバルを抑えながら、大橋選手は最後まで集中を切らすことなく走り切ります。チェッカーフラッグが振られた瞬間、CB400 SUPER FOUR E-Clutchはトップでフィニッシュ。予選、ヒート1に続き、ヒート2でもトップチェッカーを受けました。

賞典外のレースとはいえ、チームにとっては可能な限り上位を目指した挑戦でしたが、結果として全てのヒートセッションで1位を獲得!しかし、それ以上に大きかったのは、発売されたばかりのスタンダード400ネイキッドが、ここまで本格的なスポーツ走行も可能であるという事実。

市販車の基本を大きく崩すことなく、必要な部分を仕上げることで、レースという厳しいステージでもここまで楽しめる。今回の実証参戦は、そんな新型CB400 SUPER FOUR E-Clutchの“もうひとつの顔”を確認することができたことでしょう。

スポーツ走行が楽しい!鉄馬参戦で見えてきた新型CB400SFの新たな可能性

きっと、Honda開発陣が今回の「鉄馬」への実証参戦で試したかったのは、単純に「CB400 SUPER FOUR E-Clutchがレースで戦える」ということだけではないでしょう。

本来、街乗りやツーリングを楽しむためのスタンダードな400ccネイキッドスポーツが、エンジンやフレームといった車体の基本を大きく変えなくても、ここまで本格的なサーキット走行を楽しめる。そのCB400 SUPER FOUR E-Clutchのスポーツ走行としてのポテンシャルの高さこそ、今回の挑戦で見えた大きな発見だったことでしょう。

もちろんこの鉄馬参戦でレースポテンシャルを証明して終わり、ではありません。むしろ、CB400 SUPER FOUR E-Clutchの歴史はここからがスタート。今後、鉄馬やファンライドレースのレギュレーションが改訂され、CB400 SUPER FOUR E-Clutchが正式に参戦できる環境が整えば、私たち一般のライダーも、この新型CB400SFでレースに挑戦できる日が来るかもしれません。

市販車として気軽に付き合えるスタンダード400ネイキッドでありながら、サーキットへ持ち込めば本格的なスポーツ走行も楽しめる。そしてHonda E-Clutchによって、これまでとは違った走りの可能性も見えてくる。

今回の「鉄馬」参戦は、新型CB400 SUPER FOUR E-Clutchが持つ、そんな“もうひとつの顔”を、Honda社員チームが実証した挑戦だったのではないでしょうか。今後、この一台を使った新たな楽しみ方がどこまで広がっていくのか、今から楽しみです。

【Honda CB400 SUPER FOUR E-Clutch 公式サイト】

https://www.honda.co.jp/CB400SF/

【Honda CBシリーズ スペシャルサイト】

https://www.honda.co.jp/CB/

【写真・文/岩瀬孝昌(外部ライター)】

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