8月下旬からの後半戦に向けて準備万端な、全日本ロードレース選手権J-GP3クラスに参戦中の岡崎静夏が、人気のICON e:に試乗!
Honda ICON e:
価格:22万円 ●色:白、赤、黒
主要諸元
■全長1795 全幅680 全高1085 軸距1300 シート高742(各㎜) 車重87㎏(装備)
■交流同期電動機 定格出力0.58kW 2.4ps/618rpm 8.7㎏-m/110rpm
■リチウムイオン電池48V/30.6Ah
■タイヤサイズF=90/90-12 R=100/90-10
スイスイ走れちゃうリーズナブルな電動!

日常での利便性に優れて街に馴染む走行性能
私がフル参戦している全日本ロードレース選手権のJ-GP3クラスは、猛暑を避ける約2ヵ月間の夏休みを終え、間もなくシーズン後半戦を迎えます。そのインターバル中に、原付一種に相当する新たな電動スクーターとして’26年3月に発売されたICON e:に乗ってきました。
Hondaはすでに、原付一種クラスの電動パーソナルコミューターとしてEM1 e:を市場投入していて、灯火器類などが共通化されたICON e:はかなり似ているように見えますが、両車の仕様は明確に異なります。もっとも大きな違いは、EM1は共通バッテリー規格のHonda Mobile Power Pack e:を採用し、バッテリー交換ステーションの活用も視野に入れているのに対し、ICONは車体に搭載したままでも取り外しても充電可能なバッテリーを採用している点。そしてICON e:は、現状では車種専用となるこのバッテリーをシート下ではなくフロア下に配置しており、このおかげで26L容量という原付一種クラスとしては広大なラゲッジスペースが確保されています。
私は基本的に、どんなバイクでもフルフェイスヘルメットで乗るので、電動スクーターでありながら、トップケースなどを追加しなくてもヘルメットを収納できるICON e:の設計は大歓迎。しかも、フロントには左右インナーボックスとコンビニフックもあり、荷物の積載性にはかなり優れていて、日常で便利に使える仕様になっています!
1充電あたりの走行可能距離は、カタログスペック上だと81㎞。これは、EM1 e:の53㎞や原付二種クラスに相当するCUV e:の57㎞よりも長め。実際の公道走行環境ではカタログ値ほど距離が伸びないかもしれませんが、残量ゼロから満充電まで約8時間、残量25→75%が約3.5時間という充電時間とともに、十分に実用できるレベルにあります。
しかも、走りもなかなか優秀。87㎏に抑えられた車重と、モーター特有の鋭い立ち上がりで、4スト化された近年の原付一種スクーターよりも鋭いダッシュ力を備えます。原付一種なので30㎞/h以下でしか走れませんが、とはいえストレスを感じさせない加速です!
コーナリングは、軽くてヒラヒラ感がありつつ、一般的な原付二種スクーターに迫る安心感も。これは、前輪が12インチ径でホイールベースがやや長めに確保されていることも効いていると思います。
ブレーキも、車体が軽いおかげもあってよく効くのですが、ひとつ注意しなければならないのは、ブレーキが作動しているときは、スロットルを開けていてもモーターの出力が停止される仕様になっている点。バイク上級者の場合、スロットルを開けつつリヤブレーキも引きずる……というような操作を無意識でもやりがちですが、この状態だと駆動力はカットされてしまいます。
ただしこの仕様には、パニックブレーキでスロットルを完全に戻せていないような状況でも、しっかり車速を落とせるという利点もあります。ICON e:のユーザーには、バイクの運転にそれほど慣れていない人も多いと思うので、そういう層への配慮だと認識しつつ、上級者はスロットルとブレーキを同時に操作しないようにするとスムーズに走れます。
染みついたクセが影響して、少し気になる部分もありましたが、とはいえ積載性と基本的な走行性能には大満足のICON e:。さらにスゴいのは、この電動スクーターが補助金ナシで22万円という、かなり現実的な価格設定になっているところです。新基準原付のDio110 Liteよりもリーズナブルで、とくに自動車免許や原付免許で二輪コミューターに乗りたい人にとっては、有力な愛車候補になると感じました!

↑EM1 e:と似ていますが、外装類はデザインを一新。

↑インホイールモーターの採用も、車体のスリム化に貢献。

↑シートの前側に座れば、身長158㎝でも両足ベタ着き。実際にはできませんが、タンデム仕様のシートは広くて自由度高めです。
SHIZU’s お気に入り
電動だけどメットイン!

一般的な電動スクーターはシート下にバッテリーがあるため、ヘルメットが収納できませんが、ICON e:は26L容量のラゲッジボックスがあり、フルフェイスも収まります!
出足の反応がいいからモタつかずに操れます

けっこう俊敏でストレス少なめ!

↑灯火器類はフルLED。ロービーム時のヘッドライトは下側のみ点灯。

↑10インチ径の後輪にコンパクトなインホイールモーターを採用。

↑車種専用の着脱式リチウムイオンバッテリーを、フロア下に搭載。

↑車体には充電口があり、バッテリーを積んだまま充電できます!

↑バッテリーの重量は11.4㎏。車体から外した状態でも充電可能。

↑反転表示の液晶メーターには、バッテリー残量や走行モードも表示。

↑左側インナーボックスはフタ付きで、USB電源ソケットを内蔵。

↑開口タイプのインナーボックスやコンビニフックも備えています。

↑原付一種なのでタンデム不可ですが、シート前後長に余裕あり!

↑メインスタンドに加え、日常使用に便利なサイドスタンドも装備。
SHIZU’s 評価

スタイリング
平面的でありながら洗練された印象のヘッドライトや、ボディ各部の色使いなど、随所にこだわりが感じられます。都会的な雰囲気も魅力!
スポーツ性
原付一種の電動スクーターなので、スポーツするためのバイクではありませんが、じつはスポーティに走れてしまう身軽さを備えています。
ツーリング
カタログ上の航続距離は81㎞。余裕を見てバッテリー残量が60%以下になったら帰路につくとしても、片道20㎞程度のプチツーなら……。
街乗り
軽量コンパクトですが、車格や走りのフィーリングは一般的な原付二種に近く、動力性能は原付一種相当とはいえ快適に市街地を走れます。
コストパフォーマンス
バッテリーと充電器が付属して22万円というのは、かなりコスパがいいと思います。電動スクーターのさらなる普及につながることに期待!
まとめ:田宮 徹 写真:楠堂亜希


















